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文献名1霊界物語 第48巻 舎身活躍 亥の巻
文献名2第4篇 福音輝陣よみ(新仮名遣い)ふくいんきじん
文献名3第20章 心の鬼〔1274〕よみ(新仮名遣い)こころのおに
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2023-06-04 13:44:57
あらすじ
テルンスは、ランチと片彦が三五教に惚けた今、自分が全軍の指揮権を握るチャンスがやってきたと打ち笑い、軍隊解散をよしとするエムとワクはランチと片彦の間者に違いないと独り言した。

そして、あくまで戦いを主張するコーと示し合わせてことをなそうと考えていた。そこへコーが剣を杖についてやってきた。テルンスは、戦争に反対するエムとワクはこのとおり切って捨てたので、ハルナの都にランチと片彦の裏切りを注進し、二人で全軍の指揮権を握って将軍となろう、とコーにもちかけた。

コーはテルンスの申し出を承知したが、にわかに首筋がぞくぞくして体が動かなくなった。コーはうわごとを言い始め、エムとワクの幽霊にさいなまれ始めた。やがて二人の死骸から青い火が現れてだんだんと大きくなり、テルンスとコーを責めたてた。

テルンスは手足が震えおののいて逃げることもできず、恐ろしい悲鳴を上げて助けを求めるのみであった。コーは雪の上を転げ、肝をつぶして伸びてしまった。

この有様をみた二人の夜警は驚き、片彦将軍に幽霊がテルンスをさいなんでいると報告した。片彦は実地検分に行ってみようと床から起き上がった。

またこの話を聞いたお寅は一人、先に現場に行ってみた。すると確かに幽霊がテルンスを責め立てている。お寅はそばに走り寄り、天津祝詞を奏上して天の数歌を歌った。すると二人の幽霊は煙のように消えてしまった。

よくよく見れば、エムとワクの二人は、酒に酔って雪の上に倒れているだけで、怪我ひとつしていなかった。テルンスは事の顛末におおいに驚き、自分の企みを包まず隠さずランチと片彦の前に自白し、罪を謝した。

この陣営には二千人ばかりの軍卒がいたが、ランチと片彦が三五教に帰順したことを発表すると、武器を捨ててどこかに自由に出て行く者もあり、鬼春別将軍に報告に行く者もあり、ハルナの都に忠義立てをして注進に行く者もあった。

浮木の森の陣営は解体され、この地は以前の平和な村落に戻った。治国別、ランチ将軍ほか一同の今後の行動は後日述べることとなる。
主な人物 舞台 口述日1923(大正12)年01月14日(旧11月28日) 口述場所 筆録者加藤明子 校正日 校正場所 初版発行日1924(大正13)年10月25日 愛善世界社版283頁 八幡書店版第8輯 692頁 修補版 校定版295頁 普及版141頁 初版 ページ備考
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本文  テルンスは、エム、ワクの両人を秘密の暴露せむ事を恐れて無残にも切り捨て、心地よげに打ち笑ひ独言、
『此奴等両人はランチ、片彦両将軍の間者だと云ふ事は予て承知し居つた。吾々が軍隊の指揮権を握る時節がいよいよ到来致したと云ふものだ。両将軍はいよいよ三五教の宣伝使にチヨロまかされ、骨のない蛸か蒟蒻の化物の様になつて了つた。いつ迄も上に大将があると、吾々の向上の道を硬塞し、金槌の川流れ、出世する道がない、然るに都合よく両将軍初め両副官エキス迄がすつかり軍職を止めて了ひよつた。かうなる上は、階級順によつて全軍の指揮官となるのはトランス、バルクの両人だ。俺達は折角栄進の道が開けても矢張り人の頤使に甘んぜなくてはならぬ。此時こそは時刻を移さずハルナの都に急使を馳せ、大黒主様に「治国別のため、ランチ、片彦両将軍及びガリヤ、ケース両人は、バラモン教を捨てて却て職権を利用し、反対にハルナの都に攻め寄せむとす。故にテルンス、コーの両人は此計略を知り注進仕る。何卒臨時にても差支へなくば、全軍指揮官をテルンス、コーの両人にお任せ下さい」と云はうものなら、いよいよ願望成就だ。然るに此等二人が居ては秘密が洩れると思うて、コーに喋し合せ、酒によせて泥を吐かせ置いたのだ』
 かかる所へコーは剣を杖につきながらヒヨロリ ヒヨロリとやつて来た。
『ヤア、其方はコーではないか』
『ハイ左様で厶います。此奴等両人を切つて捨てむと追ひまくる中、少々酩酊致して居りましたせいか、庭石に躓き一時気も遠くなりましたが、やうやう起き直り、剣を杖に痛い膝を押へながら此処迄参りました。何と心地よく斃つたものですなア』
『アハヽヽヽ、拙者の深謀奇策はマア、ざつと此通りだ。斯うなる上は一刻も早く手紙を認め、早馬使を部下より選抜してハルナの都に遣はさう。さうすれば、このテルンスはランチ将軍の後釜、其方は片彦将軍の後釜だ。グヅグヅして居て他の奴に先を越されては詰らない、サア早く、コー、用意をせよ』
『ハイ、直様用意を致しますが、何だか首筋がゾクゾク致しまして、思ふやうに身体が動きませぬわ。手足の筋も骨も固くなつて仕舞ふやうです。あれ御覧なさいませ。二人の死骸から青い火がボヤボヤボヤと燃え出したぢやありませぬか』
 テルンスの目には何も見えなかつたが、コーには二人の死骸から青い光が頻りと燃え出した。そして青い火から青い人の顔が見え出した。よく見ればエム、ワクの両人であつた。コーは手足をブルブルさせながら、
『コヽヽヽコレ、ワヽヽワク、ソヽヽヽそんな怖い顔をして俺を睨んだつて、俺が殺したのぢやない、恨があるなら、テルンス様に云ふがよい。私は酒の上で只剣を抜いただけだ。コリヤ、ソヽそんな怖い顔をするな、ユヽヽ幽霊め、もしもしテルンス様、どうかして下さいな。火の中から怖い顔をして、今にも噛みつきさうにして居ります』
『オイ、コー、確りせぬか。火が出るの幽霊が出るのと、そりや貴様の神経だ。二人の死骸は前に首と胴とになつて斃つて居るが、そんな青い火だの幽霊だのと、そんなものがあつて耐るか』
『アヽヽヽ此奴は耐らぬ。オイ、ワク、エム、見当違しちや困る、俺ぢやない、下手人はテルンスさまだ。恨みるのならテルンスさまを恨みて呉れ。コヽヽコレヤ、そんな怖い顔をすな』
 青い火は段々と大きくなり、遂にはテルンスの目にも入るやうになつて来た。テルンスは初めて驚き、ちりげもとがザクザクし出した。されど気が弱くては叶はじと戦く胸をじつと抑へ空気焔を吐いて居る。されど手も足もワクワクと地震の孫のやうに慄うて居る。今、斬り捨てられたワク、エムの両人は厭らしき形相となり、口より火焔を吐き、真青の頬となり、血走つた眼を剥き出しながら、両手を前に垂れ、身体一面慄はせながら、細き蚊の鳴くやうな声で、
ワク『恨めしやな、残念至極、口惜しやな、汝テルンスの悪人輩、仮令此肉体は汝の手にかかつて果つとも、魂魄此世に留まつて、汝が素首を引きぬき、地獄のどん底に連れ行き、無念を晴らさねば置かぬぞ。ヤア恨めしや』
と死体に足をくつつけながら、前によつたり後に引いたりして居る。
 一方エムの体よりは、又もや怪しき幽霊立ち出で、青い火に包まれながら、
『ヤア恨めしや、テルンスの悪人奴。よくも某を無残にも手にかけたな、此恨み晴らさで置かうか』
と二人の幽霊は交る交るにテルンスの左右より進んだり退いたりして睨め付けて居る。テルンスは恐怖心にかられ、手足は慄ひ戦き逃げる事も得せず、遂にはキヤツ キヤツと声張り上げて救ひを叫び出した。其声は何とも云へぬ、凄味を帯びた嫌らしいものであつた。コーは此体を見て雪の上を転げながら、十間ばかり此方に逃げ来り、肝を潰してパタリとふん伸びて了つた。
 折から進み来る夜警の二人は此有様を見て、腰を抜かさむばかりに打ち驚き、片彦将軍の居間をさして韋駄天走りに駆けつけ、
夜警の一『モシモシ将軍様、タヽ大変で厶います。ユヽ幽霊が二体も現はれました。そしてテルンスが両方から幽霊に責悩まされ困つて居ります。如何致してよろしきや、余りの怖ろしさに一寸御報告申します』
『何、幽霊が出たと、そいつは妙な事を聞くものだ。拙者も幽界旅行より帰つてまだ間もなきに、幽霊が出たとは不思議千万だ。ドレ、是から治国別様に夜中ながら申上げ、実地検分に往つて見よう』
夜警の二『将軍様、どうぞ貴方来て下さいませ、私は恐ろしくて体が縮みます』
『アハヽヽヽ、何と気のチヨロイ男だな。俺も何だか首元が、ゾクゾクと致しはせぬでもないワイ』
 かかる所へ、お寅は小便に出で、人声がするので不思議と思ひ門口を覗けば、片彦将軍と二人の夜警が幽霊の出た話をして居る。お寅はこれを聞くより気丈な女とて、夜警を促し其場に到り見れば、果して夜警の云つた通り、テルンスは門口に立ち、怪しき幽霊が両方より蟷螂のやうな手つきで互交に苦しめて居る。お寅は傍に走り寄り、泰然自若として天津祝詞を奏上した上に、天の数歌を声緩やかに歌ひ終つた。不思議や二人の幽霊は、数歌を歌ひ終ると共に煙の如く消えて仕舞つた。
 よくよく見れば、エム、ワクの両人は雪の上に酒に酔つて打つ倒れ、怪我一つして居なかつた。テルンスは大に驚き、自分の悪しき企みを、包まず隠さず、ランチ、片彦両将軍の前に自白して其罪を謝した。併しながら此陣営には二千人ばかりの軍卒が、ランチ将軍指揮の下に駐屯して居たが、将軍が三五教に帰順せし事を発表すると共に、武器を捨てて各地に自由に出で往くもあり、中には鬼春別将軍に早馬に乗つて報告するものもあり、遥々とハルナの都へ忠義だてに駆け往くものもあつた。
 そして浮木の森の陣営は支離滅裂に解体され、殺風景のこの地も、軍人の片影をも認めない以前の平和なる村落となつた。
 治国別、ランチ将軍、其他一同の今後の行動は後日述ぶる事とする。嗚呼惟神霊幸倍坐世。
(大正一二・一・一四 旧一一・一一・二八 加藤明子録)
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