楓の叫び声を聞いて、酔った五人はその場へやってきた。楓の頼みでイルが高姫を引き離そうとしたが、高姫に突かれて倒されてしまった。残りの者は高姫めがけて武者ぶりつこうとしたが、酔っていたので皆高姫に放り出されてしまった。
高姫は一人、座敷の真中で大声で見栄を切っていい気になっている。そのすきに楓が後ろから高姫の両足をすくったので、高姫は転回して五人の上にひっくり返ってしまった。高姫は膝頭とむこうずねをしたたか縁板に打ち付けて呻いている。楓はそのすきに両親にこのことを知らせようと裏口から神殿に駆けて行った。
五人は高姫が上に倒れかかってきたので、それぞれ悪態をついた。高姫は怒って五人に打ってかかろうとしたが、そこにスマートが現れて、高姫が怪我をしないように、しかし怪力にまかせて後ろ向きに森の方へ引きずっていってしまった。
高姫は五人に助けを求めたが、一同はただ高姫を見送るだけであった。そこへ楓が戻ってきて、高姫の行方を尋ねた。イルは、スマートが森に高姫を引きずって行ったので、大方喰われてしまったのだろうと答えた。
楓は呑気なことを言っていないで高姫を助けるように五人に指示した。そこへ初稚姫が、珍彦と静子を連れて現れた。珍彦と静子は、楓が高姫に食って掛かったことを注意するが、楓は、高姫が両親を毒殺しようとした、と抗弁する。
イルたち五人はそれを聞いて憤慨するが、初稚姫がとんちを利かせて、楓が夢を見たことにして五人をなだめた。初稚姫は、五人に高姫の救出に行かせた。
楓は、自分の言うことは夢でも嘘でもないと駄々をこねるが、初稚姫は何事も神様にお任せするようにと楓をなだめた。