この物語はすべて心理描写的に口述しているので、読者の中には普通一般的の著者に比べて非常に露骨だとか在りえないことを書いていると批評する人がいるようです。
しかし霊的、内的意志を基として述べたものだから、一片の虚偽も虚飾もなく、人心の奥底に入ってその真相を究め尽くし、これを神助の下に編纂したものである。
書中の高姫の物語についても、実に非常識に見える部分があるかもしれない。しかしこれもまた、その心底深く別け入って憑依する精霊や本人の至誠心の情態や、時々の変転のありさまを描き出したものである。
すべての人の心理状態もまた、高姫のごときものであることを思考して、自らを戒め省み、愛善の徳を養い、信真の光明を照らし、地獄的境域を脱出して天国の住民として永遠無窮に人生の本分を守り、神明の御心に和合し、もって神性成就の太柱となって現幽神三界のために十分の努力を励まれることを希望する。
口述者も目下のところ、ある事情に制せられて実に悲境に陥った身ながらも、一分の時間も空費せず、心骨を苦しめつつ三界一般の万霊救済のために奉仕の誠を尽くし、この物語の編纂に努力しつつある次第である。読者よろしく瑞月の至誠を御諒承あって、御研究あらんことを願うものである。