霊界物語口述開始以来、種々雑多の学者やパリサイ人の妨害を突破し、ようやく累計五十二巻の完結を告げた。
瑞月に来れる精霊は、特別の記憶力に富んでいると見えて、肉体が一度見聞し読み上げた書物の文意をそのまま記憶し、肉体の記憶を離れている文章でも知らずに口述筆記することがある。
そのため、肉体人の瑞月が著した文章の中にも、古今の学者が著した文章をそのまま書くことがある。また精霊自身も、自己の作物と信じている。これは霊界の消息に達した者にはよく知られたことである。
これまで三十年の間に二三回もこのようなことがあり、他人の文章を盗んだように非難されて大いに迷惑を感じた。その後はなるべく他人の著書を読まないことにして注意しているが、この長い物語の中には、あるいはさまざまな人の作文が混入しているかもしれないため、断りを申し上げておく。
しかし今日の学者の物した書物もまた、古今聖哲の涎を集めたものであることは、読者も熟知されるところと考える。すべての明文は意志や想念のうちに吸収され、それが自発的に現れ来るものであることを考えていただきたい。