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文献名1霊界物語 第52巻 真善美愛 卯の巻
文献名2第2篇 文明盲者よみ(新仮名遣い)ぶんめいもうじゃ
文献名3第11章 千代の菊〔1347〕よみ(新仮名遣い)ちよのきく
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2023-11-22 19:30:45
あらすじ
お菊とお千代は続いて、これまでの述懐と文助の改心・回復を祝う祝歌を歌った。またあまたの信者たちも祝歌を歌った。

文助は生来の下戸であったが、数多の人々に盃をさされ、せっかくの志といただいているうちに酩酊し、階段を踏み外して地上に転落し、またもや人事不省に陥った。

松姫一同は祝酒の酔いもたちまちさめ、河鹿川に禊をして文助の平癒を祈ることになった。数多の役員信者の熱心な祈願の声は九天に響き山岳も揺るぐばかりに思われた。
主な人物 舞台 口述日1923(大正12)年01月30日(旧12月14日) 口述場所 筆録者北村隆光 校正日 校正場所 初版発行日1925(大正14)年1月28日 愛善世界社版157頁 八幡書店版第9輯 435頁 修補版 校定版164頁 普及版68頁 初版 ページ備考
OBC rm5211
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本文  お菊は歌ふ。
『三月三日の桃の花  散り敷く庭の小北山
 春めき渡り何となく  小鳥の歌ふ声さへも
 いとど長閑に聞えくる  四四十六の菊の花
 一つ越えたる此お菊  朝な夕なに大前に
 清く仕へし文助の  翁の祝に加はりて
 此聖場に並びます  多士済々の役員が
 前をも怖ぢず一言の  言霊奏で奉る
 朝日は照るとも曇るとも  月は盈つとも虧くるとも
 地異天変は起るとも  只一身を神様に
 任して仕へまつりなば  世に恐ろしきものはない
 文助さまの甦り  霊界土産の物語
 聞くにつけても神様の  広大無辺の御神徳
 実に有難く拝します  百の司よ信徒よ
 此世の泥を雪がむと  地上に降りて三五の
 教を開き給ひたる  国治立の大神や
 豊国姫の大神の  化身とあれます厳御魂
 瑞の御霊の御教を  朝な夕なに畏みて
 心に悟り味はひつ  其行ひを忠実に
 尽して神の御心に  酬いまつるは吾々の
 最第一の務めぞや  高姫司の開きたる
 ウラナイ教の神々は  世に恐ろしき兇党界
 醜の身魂の憑依して  書きあらはせる醜道を
 此上なく尊み敬いて  世の人々を迷はせし
 蠑螈別や魔我彦や  母のお寅に至るまで
 日に夜に深き罪重ね  此世を曇らせまつれども
 至仁至愛の神様は  広き心に見直して
 許し給はむ惟神  神の心はありありと
 手にとる如く知られけり  文助さまがよい手本
 ウラナイ教に惑溺し  千座の置戸を負ひまして
 汚れし此世を清めます  神素盞嗚の大神を
 悪鬼邪神と貶しつつ  教を伝へ来りしゆ
 もし文助が世を去らば  忽ち無限の地獄道
 神に背きし罪科を  冥官共に数へられ
 無残の運命に陥らむ  由々しき事よと恐れみて
 蠑螈別や魔我彦や  母の罪をば救はむと
 朝な夕なに祈りけり  さはさりながら大神の
 心は吾等人々の  如何でか図り知られむや
 悔い改めて大道に  甦りなば大神は
 必ず許し給ふべく  無限の楽土に導きて
 円満具足の生涯を  送らせ給ふ事の由
 実に有難く悟りけり  ああ惟神々々
 神の御為世の為に  之より腹帯締め直し
 災多き世の中の  小さき欲を打忘れ
 水に溺れず火に焼けず  錆び朽ち腐らぬ宝をば
 高天原の天国に  貯へ置きて永遠の
 死後の生涯送るべく  決心したる此お菊
 心の空も晴れ渡り  月日は輝き綺羅星は
 我霊身に閃きて  愉絶快絶譬ふるに
 物なき身とはなりにけり  ああ惟神々々
 神の御前に吾々が  犯し来りし罪科を
 慎み敬ひ悔いまつる』
 お千代は又歌ふ。
『常世の春の気はひして  四方の山々青々と
 甦りたる現世界  花咲き匂ひ蝶は舞ひ
 小鳥は歌ふ楽しさよ  小北の山の霊場も
 一度は冬の凩に  吹かれて法灯滅尽し
 已に危くなりけるが  松姫司が現はれて
 朝な夕なに誠心を  籠めさせ給ひ神の道
 仕へまつりし折柄に  蠑螈別や魔我彦の
 踏み荒したる聖域も  漸くここに返り咲き
 やや賑はしくなりにける  此時松彦神司
 五三公さまを始めとし  アク、タク、テクや万公司
 引連れ来り三五の  教の道に立直し
 世に恐ろしき兇党界  醜の魔神を追ひ出し
 誠一つの三五の  正しき神を奉斎し
 正しき清きいと赤き  誠心を捧げつつ
 仕へまつりし甲斐ありて  今は漸く立春の
 梅咲く季節も打過ぎて  百の花咲く弥生空
 草青々と生茂る  常世の春となりにけり
 蕪大根黒蛇や  其外百の絵姿を
 描きて四方の信徒に  配り与へし文助も
 漸くここに目をさまし  厳の御霊と瑞御霊
 経と緯との経綸を  悟らせ給ひ今迄の
 偏狭心を立直し  四辺輝く朝日子の
 日の出神や木花姫の  神の教を真解し
 義理天上と自称せる  日の出神の贋神を
 放逐したる雄々しさよ  ウラナイ教の発起人
 高姫司が現はれて  妖幻坊の杢助と
 此処に本拠を構へつつ  一旗挙げむと企らみて
 言葉巧に司等を  言向けせむとする時に
 皇大神の御光に  曲の心を照破され
 アツと驚く其途端  断岩上より墜落し
 二人は傷を負ひながら  魔法使の宝物
 曲輪の玉を文助の  内懐に捻ぢ込んで
 後白浪と逃げて行く  小さき欲に捉はれて
 神に背きし初、徳の  二人は後を慕ひつつ
 八百長芝居がききすぎて  尻を破られ血を出し
 足の痛みを堪へつつ  テクテク後を追つて行く
 後に残りし文助は  吾懐に残りたる
 曲輪の玉を打眺め  ブンブン玉よと恐れつつ
 小箱に固く封じ込み  守り居たりし折もあれ
 初公、徳公帰り来て  曲輪の玉を奪はむと
 文助さまを殴りつけ  倒れた隙を見すまして
 スタスタ逃げ行く憎らしさ  文助さまは其日より
 人事不省に陥りて  訳の分らぬ囈言を
 喋り出せしぞ悲しけれ  かかる所へ三五の
 教の司イク、サール  日の出神の賜ひてし
 夜光の玉の神力を  現はしまして文助を
 全く生かし給ひけり  文助さまは霊界に
 彷徨ひ給ひ種々と  現界人の夢にだも
 悟り得ざりし秘密をば  詳細に委曲に目撃し
 吾等が前に概略を  伝へ給ひし尊さよ
 斯く明かに霊界の  様子を悟る上からは
 尚吾々は心をば  洗ひ清めて日々の
 その行ひを改良し  神の心にかなふべく
 仕へまつらであるべきや  思へば思へば人の世は
 実に浅間しきものなれど  必ず死後の生涯は
 栄えに満てるパラダイス  円満具足の天国に
 救ひ上げられ永遠の  清き正しき生涯を
 送られ得べきものぞかし  神を敬ひ且つ愛し
 神の心に逆らはず  世人の為めに善業を
 勤め励みて神界の  人を此世に下したる
 其目的に叶ふべく  仕へまつれよ百の人
 吾等と共に大前に  誓ひを立てて懇ろに
 身の幸ひを祈るべし  ああ惟神々々
 恩頼を賜へかし  朝日は照るとも曇るとも
 月は盈つとも虧くるとも  地異天変は起るとも
 神の此世にます限り  誠一つを通しなば
 必ず救ひ給ふべし  吾等は神の子神の宮
 世の万物に勝れたる  奇き尊きものなれば
 神の順序を克く守り  愛と信との全徳に
 浸りて此世の花となり  光ともなり塩となり
 穢れを洗ひ魔を払ひ  天地の花と謳はれて
 人の人たる本分を  尽すも嬉し神国に
 生ひ立ち出でし吾々は  実にも至幸のものぞかし
 仰ぎ敬へ神の子よ  勇み行へ善の道
 ああ惟神々々  御霊幸はひましませよ』
 此外神の司等並に信徒の祝歌は数限りなくあれども此処には省略する。扨て文助は数多の人々に盃をさされ、折角の志を受けぬ訳にも行かぬので少しく頭の痛む身に、元来下戸の事とて忽ち酩酊し階段を踏み外して地上に顛落し、又もや人事不省に陥つた。ここに松姫外一同は忽ち祝酒の酔も醒め、河鹿川に禊して文助の病気平癒を祈る事となつた。数多の役員信者の熱心なる祈願の声は九天に響き山岳も揺ぐばかりに思はれた。
(大正一二・一・三〇 旧一一・一二・一四 北村隆光録)
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