四人は、妖幻坊の高宮彦の巨大な姿にうち驚き、心に深く神を念じて助けを祈っていた。妖幻坊の高宮彦は四人の素性を並べ立て、ひとつ風が吹けばまた悪道へ逆転するだろうと嘲笑した。
ガリヤはやっきになって、自分の信仰の堅固なことをまくしたて、高宮彦を妖怪変化と疑い、どうやって短期間にここに立派な城郭を建てたのか説明を迫った。
高宮彦は、自分は元は三五教の宣伝使・時置師の杢助だったが、思うところあって斎苑の館を脱退し、ここに君臨しているのだと明かした。そして四人に、ここに休息して実地を見学するよう勧めた。
一同は高宮彦の案に賛成したが、ガリヤは心の内ではうまくだまされたように装って帰順させるか退治しなくてはならない、と考えていた。
妖幻坊は、自分の娘・初稚姫が逗留しているから、会ってくれるように頼んだ。そして、四人の中に初稚姫の婿候補がいるかのように発言し、四人の気を引こうとした。ガリヤは相変わらず高宮彦を警戒していたが、他の三人は、自分こそ初稚姫の婿候補ではないかと騙されてしまった。
美しい城内の庭園をよこぎり、豪華な門をいくつもくぐって玄関口に着いた。七宝で飾られた椅子やテーブルが並べられ、八人の美しい美女が四人の手を一本ずつ取り、居間へ導いた。