四人は美しい奥の一間に導かれた。ガリヤは終始注意の眼であたりの不可解な光景を凝視していた。初と徳は、その場に現れた高宮姫を見て、どことなく高姫に似ていると首をひねっている。
高宮姫は、杢助が高宮彦となり、初と徳が奪い返してきた曲輪の神力によって、このような壮麗な城郭ができあがり、自分も若返ったのだと初と徳に自慢げに説明した。初は、杢助と高姫の仕打ちに文句を言うが、この曲輪城の左守と右守に任じるという高宮彦・高宮姫の言にすっかり有頂天になり、手なづけられてしまった。
高宮姫は、左守の妻は初稚姫、右守の妻は宮野姫と決められていると告げた。ケースは不服を言い、職務と結婚は別だと言い出した。そこで次の間に控えている初稚姫と宮野姫に、それぞれ言い寄って夫婦を決めることになった。
徳公は、考えてみれば、また狸にだまされているようでここは怪しいと注意をした。ガリヤは目がくらんですっかり高宮彦を信じてしまっている。そこへ四五人の美人が現れ、その中のサベル姫が徳公に言い寄ってきた。
徳公は、サベル姫の容貌に目がくらみ、目じりを下げてサベル姫の居間に導かれてしまった。そこへ四人の美人がやってきて、徳公の体に食らいつく。徳公は、体をかじられて血を吸われているのにもkがつかず、良い気分になり、しかし段々青くなってぐったりと寝てしまった。
ガリヤは心の中に神言を称えながら、警戒しつつ呆けたような顔を装って様子を考えていた。高宮姫はガリヤをうまく説きつけようと全力を尽くし、副城主の地位をもちかけた。ガリヤは副城主の地位に未練があるふりをして高宮姫を安心させた。
いつの間にか高宮彦がいなくなっていたので、後を追って高宮姫も出て行った。後にガリヤ一人が居間に残された。ガリヤが考え込んでいると、さきほどのサベル姫がやってきて、徳公は嫌になったとガリヤに色目を使う。