回顧すれば、今から三年前(満二年)の今月今日(二月十二日)は大本にとってもっとも深刻な記念日である。大阪梅田の大正日日新聞の本社社長として大活躍を試みていた折りしも、突然二三の冥使にさらわれて、牢獄の中に収容された日である。
裏の筆先にも、大正十年は変性女子の身魂にとって後にも先にもないエライ事ができる年であるが、節分祭が済んだら女子の肉体を神が連れ参る、と示されてあった。
それから世界は御神示のごとく時々刻々と変転し、満二年を経た今日、新聞に取り上げられている主な事実を挙げても、実に今昔の感に打たれざるを得ないのである。
普通選挙の実施を求める運動、労働運動、浄土宗内の内紛、ローマ法王庁使節交換への仏教界の反発、フランスによるバーデン地方占領とドイツとの対立、メソポタミヤにおける欧米諸国とトルコの対立、アメリカでの排日運動の高まり等、いまわしき報道が全紙面を埋め、世界はさながら地獄餓鬼畜生修羅の光景を暴露している有様である。
吾人は大神の神示によって前途の暗澹たる光景を洞察し、世界のために憂慮に堪えざるものである。ゆえに一日も早く世界の人類に対し五六七神政の福音を伝達せんと昼夜寝食を忘れてこれに従事しつつある。
されど、地獄道に霊の籍を置ける当局者をはじめ、現代人は自然愛と世間愛のみに惑溺し、神の光明にそむき、智慧証覚を曇らせている。いかなる大声叱呼の喊声も、雷霆の響きも、継承乱打の声も、とうてい耳には透らない悲しむべき世態である。
記してもって後日の参考に供する。