関守長カントの報告に、一同は打ち驚いた。国家の危急にさすがの右守もいままでの確執よりも防衛に焦慮しだした。そして、一切の作戦計画を王家と左守家に一任するときっぱり言ってのけた。
そこで左守と王・王妃が、軍を二隊に分けてそれぞれ左守と右守が率い、迎撃態勢を整えるように命じたが、右守はなんだかんだと言い訳をつけて、城を動こうとしない。そうしている間にも次々に敵軍による被害の報告が上がってくる。
実は右守はこの事態に腰を抜かして自力で立てなくなっていた。それを悟られたくないためだけに、危急のときにあたっても立ち上がろうとしなかった。妹のカルナ姫は自分が出陣すると言って兄を振り切り、夫のハルナを促して部屋を出て行った。
ビクトリヤ王は右守の不甲斐なさに怒って、右守を切りつけようとした。王妃ヒルナ姫は王に取りすがり、右守がここまで慢心してしまった責任は自分にあり、右守の野心を探り、改心させるために、右守と不義の交わりをしたと告白した。
ビクトリヤ王は、ヒルナ姫の忠義を認め、離縁を言い渡しながらも、感謝を述べて今後も王家につかえるように言い渡した。ヒルナ姫はとっさに自害しようとしたが、タルマンはそれを止め、今は防衛に全力を勤めるように諭した。
ヒルナ姫はタルマンの諭しを容れ、武装を整えて戦陣に向かった。左守は老齢のため王のそばに仕えることになり、タルマンも出陣して行った。