副官のスパールとエミシは、軍を指揮統率する将軍職の二人が切り合いをしていることの重大さを説いてきかせて二人を諌めた。鬼春別は撃剣の稽古だとごまかしたが、久米彦は、鬼春別が軍律を乱そうとしたので斬ろうとしたと答えた。
久米彦の副官エミシは、それが本当であっても、上官に刃で向かうとことは許されないと憤慨した。スパールは、ヒルナ姫・カルナ姫の争奪戦が原因だと断じ、それぞれの副官が二人の女を助けたのだから、鬼春別はヒルナ姫、久米彦はカルナ姫を取るべきだとその場を裁定した。
久米彦は、仕方なくカルナ姫で辛抱しようと言った。これを聞いたカルナ姫は怒り、鬼春別に下女にでも使ってもらう方がましだとはねつけた。
久米彦はまたもや怒ってカルナ姫を斬りつけようとしたが、エミシに制止された。カルナ姫は久米彦を嘲弄して、鬼春別に取り入ろうとする。色男気取りになった鬼春別に、今度はヒルナ姫が愛想をつかしたふりをして、久米彦を持ち上げた。するとカルナ姫は、先ほどは久米彦の気を引こうとわざとあんなことを言ったのだ、とヒルナ姫に食ってかかった。
将軍たちは二人の女が自分を想っているとすっかり信用して骨抜きにされてしまい、鬼春別はヒルナ姫と、久米彦はカルナ姫を連れて、悦に入りながら自室に戻って行った。