鬼春別は、ヒルナ姫と上機嫌でくつろぎながら葡萄酒を傾けている。鬼春別は、ヒルナ姫が久米彦に秋波を送ったことを責めてからかった。ヒルナ姫は、自分が捨てられてはたまらないので、そうやって予防線を張っているのだと答えた。
ヒルナ姫は、鬼春別が自分にのろけきっているのを幸い、自分が鬼春別に非常に執着しているようなふりをして、つねったりたたいたりした。
そして、至善至愛のバラモン軍の将軍であれば、ビク国を破壊したり人々を苦しめるようなことはしないはずだと釘を刺し、そのような乱暴な所業は久米彦の指示だろうと吹き込んだ。そしてビク国の王や重臣たちを解放して実地を示すよう促した。
そこへ久米彦とカルナ姫がやってきた。鬼春別は、ヒルナ姫の手前、久米彦をいきなり怒鳴りつけてビク国侵略の乱暴を、彼のせいにしようとした。
久米彦はけげんな顔で、放火や捕囚はすべて鬼春別の命令でしたことだと答えて口論になった。ヒルナ姫は間に入り、カルナ姫は、久米彦がやってきたのは捕虜の解放についてだと話題を変えた。
鬼春別は言い遅れてはならないと、自分も同意見だと言って、副官たちとともに捕虜を解放するよう久米彦に命令した。久米彦はあきれながらも満足の意を表した。ヒルナ姫とカルナ姫は、すかさず二人を仁慈あふれる将軍だと持ち上げた。