バラモン軍は、牢獄につないでいたビクトリヤ王をはじめビク国の重臣たちを和睦の酒宴に招くことになった。鬼春別、久米彦らが上座を占め、王家の人々は下座に座って和睦の謝意を述べた。
ビクトリヤ王とハルナは、鬼春別・久米彦の傍らに控えている女性がヒルナ姫、カルナ姫によく似ていることに気が付き、突然バラモン軍が和睦を申し出てきたのも、彼女たちの働きがあったのではないか、とうすうす感じていた。
鬼春別と久米彦は、ヒルナ姫とカルナ姫を自分の妻のように扱っていた。将軍たちの酔った機嫌を幸い、ヒルナ姫とカルナ姫は酒の冗談にかまけて将軍たちをからかった。
ヒルナ姫とカルナ姫は、酒席のからかい話にまぎれて、ビク国王家の人々を解放するために自分たちがバラモンの将軍たちに取り入っていることを知らせた。刹帝利もハルナもそれによって二女の働きを悟り、女の魔力にひそかに舌を巻いていた。
鬼春別と久米彦は、ますます酒に酔ってよい機嫌になり、歌を唸りだした。そして二女にも歌を所望した。ヒルナ姫とカルナ姫は、歌の中に自分たちの赤誠と状況をバラモン軍に悟られないように籠めた。
これによって刹帝利をはじめ左守、右守、ハルナ、タルマンらビク国の人々は二女の貞節と活躍を知ることになった。
両将軍をはじめバラモン軍の士官たちは酔いつぶされて、酒宴の席で眠ってしまった。