次に八衢の関所にやってきた女は、スミエルだった。守衛との問答の中で、スミエルは自分が婿養子の縁談を断っていたのは、番頭のシーナに恋着していたことを明かす。
スミエルは夫婦の理想こそが重要で、双方に人格が平等な関係でなければ真の結婚とは言えないと結婚論を披露した。赤の守衛は、また恋愛至上主義者がやってきたと言いながらも、スミエルの論が最も優れていると評した。
そこへスガールがやってきた。守衛は二人に対して、二人の肉体は暗い落とし穴に放り込まれているが、まだ生死簿には寿命が残っているからには神様が何とかして現界に帰してくれるだろう、と言い渡した。
そこへ道治別とシーナが宣伝歌を歌いながらやってきた。道晴別とシーナも、守衛からまだ寿命が残っていることを知らされた。赤の守衛は四人に対して、何れ立派な宣伝使の精霊がやってきて、四人を現界に連れて行ってくれるだろうと述べた。
すると東の方から呼ばわる声が聞こえてきた。一道の光明が低空を轟かして進み来たり、四人の前に緩やかに落ちた。火団はたちまち四柱の神人と化した。
道晴別がよくよく見れば、師匠の治国別、松彦、竜彦、万公の一行であった。道晴別はうれし涙にくれながら、四人に呼びかけてお礼を述べた。
いつとはなしに四方から普遍的な光明が差してきた。この光明に照らされて、八人の姿は煙のように消えてしまった。八衢の関所も、赤と白の守衛の姿も見えなくなった。