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文献名1霊界物語 第54巻 真善美愛 巳の巻
文献名2第5篇 神光増進よみ(新仮名遣い)しんこうぞうしん
文献名3第21章 鼻向〔1407〕よみ(新仮名遣い)はなむけ
著者出口王仁三郎
概要
備考
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あらすじ
治国別一行は、刹帝利の催した直会に臨み、盛大な酒宴に一夜を明かした。

あくる朝未明のうちに、刹帝利をはじめ一同はビクトル山の神殿に初詣をした。竜彦はたちまち神懸りになって天教山の木花姫命の霊を宿し、ビク国はすでに安泰となったこと、バラモン軍にとらわれた庄屋の娘の救出に向かった晴公が危難に陥っていることを伝えた。

治国別は刹帝利に、神勅のとおり舎弟を救出に向かうために暇乞いをした。刹帝利は馬の用意を申し出た。出立にあたって刹帝利は別れの盃に涙を流し見送りの歌を歌った。ビク国の重臣たちもそれぞれ名残を惜しみ、治国別一行も返歌を返し、名残を惜しんだ。

治国別一行は代わる代わる宣伝歌や進行歌を歌いながら、玉木の里のテームス館に着いた。治国別は万公の軽口を戒め、松彦がテームスの表門を叩いた。
主な人物 舞台 口述日1923(大正12)年02月23日(旧01月8日) 口述場所竜宮館 筆録者北村隆光 校正日 校正場所 初版発行日1925(大正14)年3月26日 愛善世界社版261頁 八幡書店版第9輯 713頁 修補版 校定版267頁 普及版117頁 初版 ページ備考
OBC rm5421
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本文  治国別一行は刹帝利の催したホーフスの直会の会に臨み、盛大なる酒宴を終り一夜をここに明かした。朝未明よりビクトル山の神殿に王を始め一同は初詣をした。竜彦は忽ち神懸となつて云ふ。
竜彦『吾は天教山の木花姫命である。汝治国別、最早ビクの国は風塵治まり後顧の憂ひなければ、一刻も早く西に向つて出立せよ。汝が徒弟道晴別は玉木村の里庄テームスの娘スミエル、スガールの両人が、バラモン軍のゼネラル、鬼春別、久米彦一派に奪はれたるを救はむとして、却て、岩窟内の深き穴に墜し入れられむとして居るから、一時も早く猪倉山に立向ふべし。時遅れては一大事、松彦、竜彦、万公も共に救援に向ふべし』
と宣らせ給ひ神上がり玉うた。
 治国別は此神勅を聞いて吾徒弟の晴公が道晴別となり憐れなる女を救はむが為に敵の術中に陥りたる事を覚り、此由を刹帝利に告げて時を移さず出立する事となつた。
治国『只今お聞きの通り神勅が下りましたから、長らくお世話に預かりましたが、之でお暇を致します』
刹帝『長らくお世話に預かりましてお礼の申上様も厶いませぬ。併し乍ら此儘お別れ申すのは実に本意無う厶りますれば、兎も角一度ホーフスにお帰りの上、袂別の盃を取交し度う厶ります。あまり廻り道でもありませぬからお寄り下さい。又お急ぎとならば馬の用意も致さねばなりませぬから』
治国『然らば折角の思召、此まま徒歩で急ぐよりもお馬を拝借すれば非常に便利が宜しう厶います。然らば今一応お世話になりませう』
と一行四人は刹帝利以下の役員と共に急ぎホーフスに帰つた。左守司は部下に命じ名馬を四頭選り出して、一行が出立の用意を急いでゐる。刹帝利は別れを惜み涙を流し乍ら、自ら盃をとつて治国別に渡し、酒をなみなみと酌いで袂別の式を挙げた。

刹帝利『何時迄も君の御影を拝まむと
  思ひし事の水泡となりぬる。

 さりながら君の残せし勲功は
  万代迄も朽つる事なし。

 かねてより斯くある事と知り乍ら
  今更の如悲しかりけり』

治国別『七十路を越えさせ玉ふ身なれども
  健やかに在す御姿ぞ嬉しき。

 村肝の心を後に残しつつ
  進みて行かむ神の大道に。

 ヒルナ姫治国別は只今ゆ
  君に別れて旅に出でむとす。

 願はくば国王の君を朝夕に
  心配らせ守らせ玉へ』

ヒルナ姫『なつかしき治国別の神司
  別れむとして涙こぼるる。

 吾君の身に附き添ひて朝夕に
  守り守らむ神の恵みに。

 治国の別の司よ松彦よ
  竜彦万公健やかに在せ』

松彦『千代八千代動かぬビクの国柱
  立てさせ玉へ神を祈りて。

 いざさらば吾師の君と諸共に
  駒に鞭ち別れ行かなむ』

タルマン『天地の神の力を身に受けて
  進ませ玉へ月の御国へ。

 治国の別の命は神にませば
  如何なる曲もさやらざるらむ。

 吾君は云ふも更なり此国の
  司や民は如何に嘆かむ。

 さり乍ら心安けく思召せ
  君師の教厚く守れば』

治国別『有難し別れに臨み一言の
  言の葉さへも出でぬ悲しさ。

 さり乍ら神の賜ひし魂は
  これの御国にとどまりて守る』

左守『治国の別の命よ心して
  進ませ玉へ醜野ケ原を。

 バラモンの又もや醜の軍人
  払はむとして出でます君よ。

 健気なる教の司の首途を
  見送る吾ぞ涙こぼるる』

治国別『大神の厚き恵みに抱かれて
  進みて行かむ心安かれ』

右守『常暗の世を照らします神司
  今は果敢なく別れむとする。

 今暫し輿を止め玉へかしと
  頼む甲斐なき今日の首途。

 君往かばこれのホーフスは忽ちに
  火の消えしごと淋しくならむ』

治国別『仮令吾ビクの御国を去るとても
  神ましませば淋しからまじ。

 願はくば右守の司よ国王の君に
  誠心捧げ仕へ玉はれ。

 三五の神の大道を夢にだに
  忘れ玉ふな夢にも現にも』

竜彦『いざさらば君の館を竜彦も
  神のまにまに別れ行かなむ。

 刹帝利百の司の人々に
  袂を分ち行くぞ悲しき。

 さり乍ら道晴別を救はずば
  神の司の道が立たねば』

右守『竜彦の神の司の御言葉
  聞くにつけても勇ましきかな』

万公『万代もいと健かにましませと
  祈るは誠心なりけり』

ハルナ『吾国の艱難を払ひ吾君を
  助け玉ひし人ぞ尊き。

 万代も御側に仕へまつらむと
  思ひし甲斐なく別れむとぞする。

 願はくば三五教の神司
  ビクの御国を忘れ玉ふな』

治国別『いかにして神のまします神国を
  神の司の忘れるべきかは』

カルナ姫『大神の恵みの露に霑ひし
  人の悉さぞや嘆かむ。

 吾も亦今日の別れを何となく
  涙ぐまれぬ惜まれにける』

 斯く互に歌を取り交し、早くも刹帝利より賜はつた駿馬に跨り、轡を並べて四人の師弟は別れを告げ鞭を上げて一目散に大原野を駆り行く。後見送つて一同は両手を合せ感謝の涙に声を曇らせてゐた。
 治国別の一行は  神の御言を畏みて
 ビクの国王や司等に  暇を告げて潔く
 心尽しの駒に乗り  轡を並べ戞々と
 青葉茂れる露の道  初夏の微風に面をば
 なめられ乍ら進み行く  瞬く間に五十里の
 原野を踏み越え猪倉の  魔神の籠る峰続き
 シメジ峠の麓まで  早くも無事に着きにけり
 ここに四人は蹄をば  とどめて大地に飛び下りつ
 馬首をば東に差向けて  一鞭あつればさしもの名馬
 もと来し道へ引返し  名残惜げに嘶きつ
 一目散に帰り行く  治国別の一行は
 シメジ峠の急坂を  エンヤラヤツと登りつめ
 暫し汗をばいれ乍ら  四方の景色を打眺め
 絵に見る様な風色に  旅の疲れを癒やしけり
 少時ありて一行は  立板なせる坂道を
 行進歌をば歌ひつつ  注意し乍ら降り行く。
 万公は先に立ち一歩々々調子をとつて歌ひ出した。
万公『バラモン軍の将軍と  威張り散らした両人が
 ビクの国をば退はれて  命からがらドツコイシヨ
 卑怯未練に猪倉の  山に漸う落延びて
 土竜の様な穴住まひ  三千余騎を引率し
 さも強さうに構へゐる  その権幕と反対に
 僅か四人の神司  打出す厳の言霊に
 恐れて逃げ出す卑怯さよ  いざ之よりはフサの国
 玉木の村に立向ひ  始終の様子を探索し
 吾師の君に従ひて  魔神の住まへる岩窟に
 一大騒動起すべく  進みて行かむ楽しさよ
 ア、ウントコドツコイ危ないぞ  松彦さまよ、竜彦よ
 貴方は足が弱い故  用心なさるが宜しかろ
 これこれ御覧この坂は  一方は断岩屹立し
 一方は千尋の谷の底  岩石起伏の間をば
 飛沫を飛ばす水の音  見るさへ胆が寒くなる
 命あつての物種だ  必ず怪我の無い様に
 大神様に太祝詞  唱へ上げつつ下りませ
 ア、ウントコドツコイドツコイシヨ  これ程難所が又と世に
 如何してあらうか親不知  子不知峠を行く様だ
 命知らずの宣伝使  とは云ふものの肉体が
 なくては神業勤まらぬ  人の体は神様の
 御使用遊ばす傀儡だ  此傀儡を何処までも
 立派に保護し奉り  大黒主が三五の
 教の道に服ひて  誠心に復るまで
 大必要の此体  守らせ玉へ惟神
 神の御前に願ぎまつる  朝日は照るとも曇るとも
 月は盈つとも虧くるとも  仮令大地は沈むとも
 神の任しの使命をば  果さにやおかぬ益良夫の
 赤き心を臠し  猪倉山は云ふも更
 黄金山や大雲山  寄り来る曲津を言向けて
 太しき勲功を万代に  立てさせ玉へ惟神
 亀の齢の万公が  真心こめて願ぎまつる
 ウントコドツコイ ドツコイシヨ  皆さま気をつけなさいませ
 シメジ峠で第一の  ここが難所と云ふ事だ
 足許大切に頼みます  ア、ウントコドツコイ、アイタツタ
 あんまり歌に気をとられ  注意を与へた万公が
 第一番に転けよつた  アイタタタツタこれや如何ぢや
 お尻の皮が剥けた様だ  これも全く神様の
 私の体に降り来る  大厄難を小難に
 見直しましたお蔭だろ  ああ惟神々々
 御霊幸はひましませよ』
 治国別一行は交る交る宣伝歌や進行歌を歌ひ乍ら、漸くにして玉木の里のテームスの館に着いた。邸内は老木鬱蒼として際限もなく広く、立派な建物が沢山に立並んでゐた。されども何処ともなく此館の内に憂事が包まれて居る様な気配がしてゐる。
万公『もし先生、ここが木花姫様がお示しになつた、玉木の村の里庄テームスの館と見えますな。二人の娘が捕はれて居るので心配があると見え、立派な家の棟までが何だか力無げに俯向いて嘆いてゐる様に見えますな。何時も先生は人の家の屋根を見たら其処の宅は栄える家か、衰へる家か、喜びがあるか、悲しみがあるか、分るものだと仰有いましたが、如何にも其通り、何とはなしに家迄が心配にしてゐるぢやありませぬか』
治国『万公、こんな処で左様な事を云ふものでない。之からテームスの館へ行けば決して喋つてはいかぬぞ。治国別が命令する迄普通一般の挨拶だけしたら黙つてゐるのだ。脱線だらけの事を喋り立てると却てお前の人格を軽く見られ、ひいては私迄が恥しい目をせなくてはならぬから屹度慎んでくれよ』
万公『はい、慎みます。万口と云へば万の口ですから一口づつ云つても万口並べ様と思へば、随分量が多うなりますからな』
松彦『アハハハハハさア先生の御言葉の通り、これから万口ぢやない、篏口令だ』
と云ひ乍ら表門に立ちトントンと拳を以て訪れた。
(大正一二・二・二三 旧一・八 於竜宮館 北村隆光録)
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