伯耆の国皆生温泉浜屋旅館の見晴らしのよい二階の広間をあてがわれ、朝日の光と大山の雄姿を眺めながら、大正十二年如月八日から十日までの三日間にていよいよ第五十七巻を口述し終わった。
スーラヤ(日天子)、ラトナブラバ(宝光天子)、アワバーサブラ(光耀天子)の守護の下にようやく印度の国、波斯の国境テルモン山の昔物語の大要を述べ終わった。
顧みれば瑞月が神の大道に入ってから満二十五年に相当する今日、富士の神使に導かれ神教を伝えられた今日、出雲富士として名も高い大山の雄姿を拝し、三保の松原に等しい夜見ヶ浜の白砂青松の磯辺を筆録者と共に逍遥しながら、今昔の感に打たれ、思わず嘆息せざるを得ない。
隠岐の島は遠く波間に浮かびかすかに山の頂を現し、三保ヶ関の霊地は眼前に横たわり、日本海の波に漂えるがごとくに見えている。八大竜王は鼓を打って吾ら一行を迎え給う。
北村隆光、加藤明子、藤田、松田、紙本の氏をはじめ谷川常清氏、湯浅清高ならびに米子支部信者、および近国の信者諸氏の日々の訪問を歓喜しながら、神の恵みのまにまに五七の巻を述べ終わる。
時しも綾の聖地から三代直澄教主は、大本瑞祥会会長井上留五郎氏および前会長湯川貫一氏とともに来る。瑞月は感きわまって言うところを知らず。ここに序文に代えて一言を記すこととする。