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文献名1霊界物語 第57巻 真善美愛 申の巻
文献名2第1篇 照門山颪よみ(新仮名遣い)てるもんざんおろし
文献名3第5章 糞闘〔1455〕よみ(新仮名遣い)ふんとう
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2022-04-12 12:52:52
あらすじ
館の受付にはエル、オークス、ビルマの三人がたがいに泡沫のような出世話にふけっている。エルは、オークスとビルマが町人たちの財産を盗んで三五教の宣伝使のせいにしていることを知りながら、二人とともにワックスを追い出して、自分たち三人で館の重職を占領しようという話に乗ってきた。

ワックスは三人の話を陰で聞いていて業腹が立ち、大便所に入って長柄杓に汚いものを持ってきて、三人の顔に振りかけた。ワックスは逃げ出すとたんに畳の破れに足を引っかけ、倒れてしまった。倒れた拍子に敷居に鼻を打ち、息をつめて苦しんでいる。

三人は不意に臭いものを顔にかけられて、洗いに行こうと走ったとたんにワックスの体につまづいて倒れてしまった。四人は糞まみれになてひっくり返り、ウンウンとうめいている。

小国姫は物音にこの場に走ってきた。小国姫は悪人たちが糞まみれになって倒れているのを見て、彼らの腹黒さをなじる歌を歌った。ワックスとオークスは小国姫を非難し、互いにいがみあっている。

エキスとヘルマンはこの場にやってきて、小国姫が四人を害しようとしたと非難し、ハルナの都の大黒主に報告すると捨て台詞を吐いて駆け出して行った。

四人はやっとおきあがり体を洗濯すると、今までの喧嘩は横に置き、ふたたび野心を充たすべく秘密相談会を開くことになった。

小国姫は病気の夫を気遣って早々にこの場を立って奥の間に身を隠した。
主な人物 舞台 口述日1923(大正12)年03月24日(旧02月8日) 口述場所皆生温泉 浜屋 筆録者北村隆光 校正日 校正場所 初版発行日1925(大正14)年5月24日 愛善世界社版60頁 八幡書店版第10輯 280頁 修補版 校定版62頁 普及版28頁 初版 ページ備考
OBC rm5705
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本文  館の受付の溜りにはエル、オークス、ビルマの三人、机を真中に置いて胡床をかき虫のよい夢を見て、互に泡沫の如き出世譚を争うて居る。
エル『おい、オークス、貴様は門番の癖にドカドカと受付の関所を突破して奥の間へ進入して行つたと見えるが、余程奥様からお目玉を喰つたと見え、随分面を膨らしてゐるぢやないか。俺は梟の化物と思つたよ』
オークス『ヘン、門番門番て、偉相に云ふない。睾丸潰しの大将奴、俺は今迄の門番オークスとはチト違ふのだ。これから此館の家令職となり、奥住ひとなつてオークス勤めをするのだから、何事も此方の吩咐に服従するのだぞ。なあビルマ、お前がよく知つてるだらう』
ビルマ『さうだな。マアマア夢の中の家令位なものだらうかい。こんな処で、かれい、これ云うて居ると人に聞かれて、サア今と云ふ時に総ての計劃が画餅に帰するかも知れないぞ。成功する人は黙つて居るよ。黙つてる人が夜光の玉をとると云つてな、何でもガラガラ云ふものぢやない。沈黙が一等だ』
オークス『馬鹿云ふな。已に已に奥様から証言を得て居るのだ。誰が何と云つてもワックスさまを此館の主人となし、デビス姫様と芽出たく合衾の式を挙げさせ、此オークスが家令職となり、妹のケリナ姫が軈て帰らるると云ふ事だから、ケリナ姫の夫となり、教務、政務を刷新し、綱紀を振粛し尭舜の世を来たすのだ。今迄のやうな老耄や、狼狽者の睾丸潰しの受付では駄目だからな。エツヘヘヘヘヘ』
エル『イツヒヒヒヒヒアイタタタタ余りしようもない事を吐すので、可笑しうて睾丸に響いて睾丸が痛くて碌に笑ふことも出来やせないわ。貴様日が永いので、そんな夢でも見たのだらう。それよりも早く門番を神妙に勤めぬかい。旦那様が何時知れぬ様な御病気が起つてるのに、ウカウカして居る時ぢやないぞ』
オークス『おい、エル、旦那様は已に御帰幽になつたと云つて触れて歩いたぢやないか。随分いい狼狽者だな』
エル『定つた事だ。何でも手廻しよくして置かねば間尺に合ぬぢやないか。病人ぢやなくても年寄が先に死ぬのは当然だ。何時迄も旦那様が生きて居ると思へば何時アフンとせなくちやならぬか分らぬから、一寸町民の目を覚ますために布令を出し、予行演習をやつたのだ。英雄の心事が門番に分つて堪るかい。エヘン、イヒン、アイタタタタどうも睾丸の奴、もの云ひやがつて仕方がないわ』
オークス『おい、エル、ここは一つ真面目になつて聞いて呉れ。本当に俺は今日から家令職だぞ。そしてワックス様が当館の御世継だ。それから此のビルマが受付に坐り、お前は暫く睾丸が癒る迄お暇を賜つて休養するのだな。俺が家令になつた上は、滅多に受付より下の役はささぬから、柔順しく控へたが宜からう』
エル『俺は死んでも受付は止めぬのだ。何程貴様が家令になつた処で、俺の受付はハルナの都の大黒主様から、命令を受けてゐるのだから、俺の地位を到底動かすことは出来まい。そんな事云はずに門番でも神妙に勤めたが宜からうぞ』
オークス『よし、そんなら俺が受付を免職させて見せよう。貴様は受付であり乍ら門外へ飛び出し、死んでも厶らぬ旦那様をお逝れになつたと触れ歩き、町内を騒がした大罪人だ。これを大黒主様に上申しようものなら、それこそ免職は宵の口、貴様の笠の台が飛んで了ふのだ。どうだ、それでも苦しうないのか』
エル『マママママ待つて呉れ。それやさうぢやけれど、実の所は夢を見て居つたのだ。夢でした事は仕方がないぢやないか』
オークス『何、夢を見たと、貴様はさうすると怠慢の罪を免るる事は出来ない。朝から晩まで平家蟹のやうに目の玉をツン出して、お役目大切に受付を守つて居らねばならぬ役目でありながら、昼の中からサボタージュをやつて昼寝をやつて居つたのだな。益々怪しからぬ。おいビルマ、貴様が証拠人だ。ここで一つ上申書を書くから、お前証拠人になつて呉れ』
ビルマ『そら、俺も証拠人にならぬ事はないが、町に事勿れと云つてエルの事を上申すると、それが一つの引かかりとなり、終には貴様と俺との……それ……窃盗事件が発覚するぢやないか。ここはお互に辛抱したが宜からうぞ』
オークス『何、何時俺が窃盗した。馬鹿な事を云ふな』
ビルマ『セツトウと云ふのは盗人の事ぢやない。去年の冬、テルモン山の谷間で雪を固めて洞を穿ち、そこで遊んだ事があるだらう。それを雪洞と云ふのだ。それでも矢張サボになるからのう』
オークス『何、俺等は門番だから、立派な門を造らうと思つて、雪で雛型を作つて其下を通つたのだから、云はば職務に忠実になるのだ。そんな事が何、罪にならう』
と巧く二人寄つて窃盗事件を誤魔化して了つた。
エル『ヒヒヒヒ、アイタタタタ何だか知らぬが、二人とも云ひ滑つた事を巧く塗りつけたやうな気分がしてならぬわ。此奴ア探つて見れば何かあるに相違ない。香爐や金銀の水壺を、あの騒ぎに皆盗んで了つたと云うてるからにやお前等が、よもや……ではあるまいかの』
オークス『馬鹿云ふな。俺は旦那様の御病気について、門番を休んで今の今まで奥で御用をして居つたのだから、そんな事は些とも知らないわ。大方三五教の魔法使が持つて去んだのだらう』
ビルマ『オイ両人、こんな話は止めにして、兎も角旦那様が何時お国替へになるやら分らぬなり、家令も亦何時死ぬか知れぬ場合だ。ここで俺等三人同盟して一つ出世の門を開かうぢやないか。何時迄も門番や受付では面白うないからのう。幸ひ年も若し独身者だから、家令の息子のワックスの馬鹿を此館の養子にするのは勿体ない。一層の事、俺等三人で、此館のお世継と、家令と、受付兼内事頭の三つの役を占領する事にしようぢやないか』
エル『ウン、そりや面白からう。然し乍ら奥さまが諾と云つて呉れるだらうかな』
オークス『そこはそれ、弱味につけ込む風の神さまだ。此尊い霊地に三五教の魔法使をソツと引張り込んだと云ふ、奥さまに弱点があるのだから、屹度俺等の意見を採用するにきまつてる。若し採用せなけりや身の破滅だからな』
エル『成程、そりや妙案だ。そんなら俺が此館の養子になるから、貴様等両人は家令並びに内事係兼受付としてやらう。門番の分際として異数の抜擢だらう』
オークス『馬鹿云ふな。俺はデビス姫さまの夫となり当家のお世継だ。お前等二人は籤でもして家令と受付とをやつたが宜からう。家令職と受付とは大変な段階がある。若受付となつたものは、妹さまが帰られたら受付の女房にする。お世継はどうしても姉さまの婿に限つてる。家令は役柄が上だから姫様を貰はずに辛抱するのだ。さうすりや不公平が無いだらう』
エル『時に綿屋の老爺の話に聞けば、高倉とか、旭とか云ふ三五教の化狐が、二人の姫様に化けて狸坊主と一緒にパインの森で捉まへられたと云ふ事だが、実際そんな事があるだらうか。俺や不思議で堪らぬのだ。中にはコソコソ話をしてる奴があつて、あれは狐ぢやない本真物の姫様と云つてるものもあるが、あれが本真物ならばワックスが匿しよつた岩窟に助けに行つて、姫さまの恋を独占するのも一興だがな』
オークス『馬鹿云ふな。彼奴は狐にきまつてる。犬に噛まれよつて首筋や耳を噛まれたり、狸坊主迄が首筋を噛まれたと云つて、紫になつてはれ上つて居つた、何ぼ本真物でも、あの御面相では御免だ』
ビルマ『おい、エル、貴様は睾丸を潰されて綿屋の離室にスツ込んで居り乍ら、どうしてそんな事が目に着いたのだ。チツト可笑しいぢやないか』
エル『何、俺だつて女と聞いちやジツとして聞いて居れないので、「ワツシヨワツシヨ」と門前を担いで行くのを、門口に飛び出し、トツクリ見た所が姫様に似て居るが、何となしに険相な顔して居るので、狐のお化けかと思つて居たのだ。どうも人間の目で真偽は分らぬが、マア百人の者が七十人迄がお化けと云ふのだから、大勢の目の方が本当だらうかい』
オークス『サア、無駄話はどうでも宜いが、手つ取り早く約束を定めて置かうぢやないか。俺は此館の御養子にきめて置いて、家令職と受付との、これから約束だ。どうぢや家令職になれば姫様はもらへぬなり、低い役の受付になればケリナ姫を女房に貰へるのだ。位をとるか、色をとるか、と云ふ処だ』
ビルマ『そんなら俺は受付になるわ』
エル『馬鹿云ふな。受付は俺の持前だ。天下御免の受付だ。受付は俺にきまつてる。ヘン済みませぬな』
オークス『オイ、両人、姫様は実際生きて厶るか厶らぬか分らぬのだ。万一此世に生きて厶らぬとすれば矢張家令になつた方が得だぞ』
エル『そんなら、思ひきつて俺は家令になるわ。ビルマ、お前、受付になつて呉れ』
ビルマ『馬鹿云ふな、誰が受付なんかするものかい。適材適所と云つて、此館の家令は貴様のやうな狼狽者では到底勤まりつこはない。ビルマに限つてるワイ』
エル『然し、さうするとワックスさまのやり場が無いぢやないか』
オークス『何、ワックスなんか、彼奴の悪事を素破抜いてやれば、文句なしに命惜しさに逃ぐるにきまつてる。三人でさへも配置に困つてるのに、彼奴が出て来て堪らうかい。彼奴は勘定外だ。彼奴の老爺も近々に死んで了ふから、さうすりや門番の端にでも使つてやるのだな。エツヘヘヘヘヘヘ』
 斯く何時の間にか話に身が入つて大声で囀つて居る。最前からワックスは壁に耳をあてて体を隠し、三人の話を聞いて居たが業が湧いて堪らぬので、ソツと大便所に入り長柄杓に汚いものを持つて来て、自分の顔を隠し乍ら三人の前に現はれ、バツと顔にふりかけ、逃げ出す途端に畳の破れに足を引つかけ、スツテンドウと倒れて了つた。倒れた拍子に間と間を隔てた閾に高い鼻を打ち、ウンと息をつめ、ビクともせず苦しんで居る。
 三人は不意に臭い物を顔一面にかけられ、顔をハンカチーフにて抑へ乍ら、炊事場の方へ洗ひに行かうと走つた途端に、ワックスの体に躓きバタリと倒れた。次から次から四人が糞まぶれになつて引つくり覆り、ウンウン唸いて居る。此物音に小国姫は此場に走り来り見れば、何とも云へぬ臭い香がプンプンと鼻をつく。姫は鼻を抓み乍ら近寄り見れば、糞まぶれの長柄杓が一本と、四人の男が糞まぶれになつて、其処へ倒れ居たり。

小国姫『糞度胸据ゑた男が糞まぶれ
  足躓いて苦楚を嘗めけり。

 婆の身も糞にまぶれた糞奴
  臭い奴には呆れ果てたり。

 物臭い企み致した天罰で
  男が癪で倒れしならむ。

 オークスの心汚き門番が
  今日は大糞被りけるかな。

 睾丸を牛に踏まれて又ここで
  糞被せられ吠エル馬鹿者。

 ワックスか又は糞かは知らねども
  どちらにしても臭い奴かな』

ワックス『糞奴三人揃ふ其中へ
  糞まぶしたり糞婆の家で』

小国姫『ワックスよ、吾に向つて糞婆と
  云つた言葉を忘れずに居よ。

 いろいろと臭い思案を廻らして
  糞を嘗めたる今の天罰』

オークス『テルモンの館の家令となる身には
  糞の苦労も何のものかは』

小国姫『いろいろと臭い奴めが寄り合うて
  これの館に糞まき散らす。

 これよりはハルナの都の神柱
  大黒主に申上げなむ。

 何事も皆三千彦の神司
  諭し玉ひぬ汝等が企みを。

 人の家の悩みにつけ込み糞思案
  廻らし吾身を捨つる馬鹿者』

オークス『三千彦は三五教の魔法使
  詳さに告げむ大黒主へ。

 大黒主此有様を聞きまさば
  小国姫の身の終りぞや』

 かかる処へエキス、ヘルマンの両人は慌しく走り来り、プンプン嗅ふ臭気に鼻を抓み乍ら、
エキス『モシ奥様、ワックス其他の連中ぢや厶いませぬか。貴女は四人の者に陰謀露顕を恐れて糞を浴びせ打ち倒し、命をとらうとなさつたのですか、こりや怪しからぬ。モウ斯うなつては御主人様だとて容赦は致しませぬぞ。さあワックスさま確りなさいませ。之からハルナの都へ早馬使を立て貴方等の敵を討つて上げませう』
と云ひ乍ら尻ひつからげ、エキス、ヘルマン両人は表門さして雲を霞と駆け出したり。四人はヤツと起き上り、互に体の洗濯を終り、一間に入つて今迄の喧嘩は暫く横に置き、再び野心を充すべく秘密相談会を開く事となつた。小国姫は夫の病気を気遣ひ匆々に此場を立つて奥の間に身を隠しけり。
(大正一二・三・二四 旧二・八 於皆生温泉浜屋 北村隆光録)
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