ワックスは、三千彦を袋叩きにして川に投げ込み、意気揚々として自分の館に戻ってきた。父のオールスチンは怪我のためにふせっている。ワックスは容態を看護婦に尋ねたが、治る見込みはないという答えが返ってきた。
それを聞いたビルマは、ワックスが父親の財産を狙っていることをふと漏らした。オールスチンはそれを聞いて、ワックスがいつもそのようなことを言っているからビルマがそのようなことを口にするのだ、と注意した。
看護婦に注意されてワックスとビルマは別館に退散し、酒をあおりはじめた。ビルマはへべれけに酔いつぶれ、オールスチンが死ねばワックスは財産が手に入り、自分も出世できると大声で歌い始めた。ワックスは父親が死ぬのは悲しいが財産が手に入るのは嬉しくもあり、と複雑な心中を吐露する。
そこへエキスとヘルマンが酔って現れた。門をやたらに叩き、押し開けてオールスチンの病室にどかどかと入ってくると、金をせびりはじめた。看護婦に注意され、二人は別館のワックスのところにやってきた。そして金をゆすりはじめた。
ワックスは酒をすすめてこの場を乗り切ろうとする。エキスとヘルマンはすすめられた酒を飲んでさらに酔っ払うと、ワックスの悪事を大声で歌いだした。ワックスはたまりかねて、父親の病室に隠してあった六百両の黄金を取り出し、仕方なく二人に与えた。
エキスとヘルマンは、三十日したらまた金をもらいにくると言い置いて、酒臭い息を吐きながら帰って行った。