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文献名1霊界物語 第57巻 真善美愛 申の巻
文献名2第3篇 天上天下よみ(新仮名遣い)てんじょうてんか
文献名3第17章 涼窓〔1467〕よみ(新仮名遣い)りょうそう
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日----
あらすじ
小国姫は三千彦たちを出迎え、求道居士とヘルには一室をあてがい、ケリナ姫が看病することになった。そして三千彦をどこまでも救いの親としてどこまでもついていく覚悟を示した。
主な人物 舞台 口述日1923(大正12)年03月26日(旧02月10日) 口述場所皆生温泉 浜屋 筆録者加藤明子 校正日 校正場所 初版発行日1925(大正14)年5月24日 愛善世界社版223頁 八幡書店版第10輯 341頁 修補版 校定版231頁 普及版107頁 初版 ページ備考
OBC rm5717
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本文  色と欲とに囚はれし  家令の倅ワックスは
 日頃の野望を達せむと  悪友二人を唆かし
 神の館に納まりし  如意の宝珠を盗みだし
 其監督を任されし  小国別を陥れ
 無理往生に最愛の  デビスの姫を手に入れて
 神の館を占領し  栄耀栄華に暮さむと
 悪逆無道の企みをば  今や遂げむとする時に
 三五教の宣伝使  神の教の三千彦が
 旭の如くに下り来て  旧悪忽ち暴露され
 身のおき処なきままに  種々雑多の奸計を
 巡らし遂に三千彦を  魔法使と云ひ触らし
 姫の危急を救ひたる  求道居士を初めとし
 憐れや二人の姉妹を  白狐の化身と強弁し
 数多の町人詐りて  雁字搦みに縛り上げ
 テルモン山の奥深く  醜の岩窟に叩き込み
 時を窺ひ夜な夜なに  岩窟の前に忍び行き
 恋の炎を燃やしつつ  口説き立つれど魂の
 据りきつたる姉妹は  何の容赦もあら涙
 怒りて手もなく撥ねつける  恋の奴隷となり果てし
 頓馬息子のワックスも  手を下すべき余地もなく
 遂には自暴自棄となり  鋭利な竹槍引き扱き
 デビスの姫を一突きと  構ふる折しも草を分け
 飛鳥の如く飛び来る  神の使のスマートに
 右の利腕一噛ぶり  アツと悲鳴を上げながら
 少時其場に倒れしが  痛さを耐へて起き上り
 恋の恨を晴らさむと  悪酔怪の荒武者を
 煽動なして引き来り  求道居士を閉ぢ込めし
 岩窟の前に押し寄せて  鉄門を手もなく打破り
 二人を外へ引き出し  各自に槍や刀をば
 携へ二人を責つける  身に数十の創を受け
 露の命の落ちなむと  する時もあれ三千彦が
 猛犬スマート引き連れて  求道居士を救はむと
 来りて見れば案の定  数十人の荒男
 三千彦目蒐けて攻め来る  少しも騒がぬ三千彦は
 天津祝詞を奏上し  生言霊の数歌を
 唱へ居たりし真最中  猛犬スマートは右左
 獅子奮迅の勢で  大活動を始め出し
 何の容赦も荒男  バタバタバタと小口から
 将棊倒しに苛めば  遉無謀の若者も
 これや敵はぬと吾先に  草生茂る野の中を
 のたのたのたと四這ひに  思ひ思ひに逃げて行く
 其光景ぞ可笑しけれ  三千彦思はず吹き出し
 アハハハハと笑ふ間も  容赦嵐に吹かれつつ
 求道居士の傍により  言葉優しく慰めつ
 手負を背に負ひながら  ヘル諸共に神館
 人目を忍び帰り行く  アア惟神々々
 神の助けぞ有難き。
 小国の姫を初とし  デビス、ケリナの姉妹は
 求道居士を背に負ひ  スマート、ヘルを従へて
 神の館の裏口に  悠々帰り来りたる
 三千彦司を待ち迎へ
小国姫『神の柱の宣伝使  其神徳も三千彦の
 誠一つの救主  いかいお世話になりました
 サアサア早く奥の間に  お進みなさつて一休み
 醍醐味なりときこし召し  疲れを休め下さんせ
 数多の手創を負ひ給ふ  求道居士やヘルさまは
 ケリナの姫が付添うて  厚く看護を致します
 先づ先づ安心なさいませ  娘二人が大変な
 厚いお世話になりました  貴方は二人の助け神
 三千彦さまと相並び  経と緯との神柱
 その神徳の高きをば  尊び敬ひ奉る
 朝日は照るとも曇るとも  月は盈つとも虧くるとも
 仮令大地は沈むとも  誠の神の在す限り
 テルモン山の此館  如何なる曲の攻め来とも
 如何でか畏れむ敷島の  誠心を振り起し
 破邪の剣を振り翳し  快刀乱麻を断つ如き
 無限の神徳現はして  迷へる百の人々を
 誠の神の御教に  救はにや置かぬ吾心
 守らせたまへ惟神  国治立の大御神
 其外百の大御神  救ひの司と現れませる
 三千世界の救世主  三千彦司や求道居士
 守らせたまへ吾々が  親子の者の運命を
 アア惟神々々  清き心を現はして
 神に誓ひて願ぎ奉る』
と歌ひ、双手を拍つて三千彦の無事帰館を祝し且つ将来の覚悟を述べた。三千彦は小国姫の案内につれて奥の一室に通りデビス姫と四方八方の話に時を移した。求道居士、ヘルの両人は見晴しのよき一室に担ぎ込まれ窓を開け放ち、涼しき夜風を浴びながら創所の痛みも打ち忘れ、親切なケリナ姫の介抱のもとにソファーの上に横はつた。ヘルも亦枕を並べて横はり、ケリナ姫の親切な介抱を受くる事となつた。
(大正一二・三・二六 旧二・一〇 於皆生温泉浜屋 加藤明子録)
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