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文献名1霊界物語 第58巻 真善美愛 酉の巻
文献名2第1篇 玉石混淆よみ(新仮名遣い)ぎょくせきこんこう
文献名3第5章 潔別〔1480〕よみ(新仮名遣い)けつべつ
著者出口王仁三郎
概要
備考
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あらすじ
館に帰り来た三千彦は、玉国別にテルモン山宮町の事件の顛末を語った。そしてデビス姫からの求婚についても師匠の意見を聞きたいと語った。

宮町の騒動が収まった上は、一時も早く本来の神業であるハルナの都への遠征に出立しなければならない。三千彦はデビス姫の同道について玉国別に尋ねた。玉国別は、デビス姫の両親の許しがあれば同道することを認めた。

求道居士はケリナ姫と共に館に留まり、小国別夫婦を支えることとなった。またニコラスは軍職を捨てて神に仕えることになった。

一同は互いに別れの歌を交わし合い、テルモン山神館の後事を求道居士に託して、玉国別、真純彦、伊太彦、三千彦、デビス姫はハルナの都目指して出立して行った。
主な人物 舞台 口述日1923(大正12)年03月28日(旧02月12日) 口述場所皆生温泉 浜屋 筆録者加藤明子 校正日 校正場所 初版発行日1925(大正14)年6月15日 愛善世界社版58頁 八幡書店版第10輯 393頁 修補版 校定版62頁 普及版24頁 初版 ページ備考
OBC rm5805
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本文  テルモン山の神館  青葉の茂る庭園に
 咲き誇りたる花菖蒲  青紫や白黄色
 所狭まで燕子花  咲き匂ひたる床しさよ
 パインの枝は涼風に  吹かれて自然の音楽を
 奏でて舞踏を演じつつ  至治泰平の瑞祥を
 現はし居るこそ目出度けれ  常磐の松の青々と
 緑ものびて玉の露  風吹く毎にバタバタと
 金砂銀砂の上に落つ  三五教の宣伝使
 恵の露を浴びながら  進んで来りし玉国の
 別の命を初めとし  比丘の姿の求道居士
 バラモン教のキャプテンが  伴ひ来る下士官と
 膝を交へて奥の間に  涼しき風を入れながら
 天地の恵を嬉しみて  心の隔て相はづし
 語り出づるも神ながら  誠の道の教より
 外に言葉は荒風の  青野を渡る有様に
 天国浄土の真相を  今目の当り見る如し
 ああ惟神々々  神の恵の幸はひて
 三五教やバラモンの  教の区別を取り払ひ
 旭も清くテルモンの  山の麓に楽園を
 築き初めしぞ尊けれ  茲に三千彦宣伝使
 神の館に仇なせる  ワックス、エキス、ヘルマンや
 エルの司を追放し  タンク、トンクを伴ひて
 悠々帰り坐につけば  玉国別は声をかけ
 汝三千彦神司  館の前の馬場にて
 老若男女の叫び声  御空を焦す篝火の
 その顛末を詳細に  宣らせたまへと促せば
 三千彦両手をつき乍ら  恭しくも答へける。
    ○
『月の都に現ませる  大黒主の神柱
 古此処に在しまして  バラモン教の御教を
 開き給ひし霊場の  記念となして如意宝珠
 珍の宝を奉斎し  館の主人二柱
 教司に相命じ  固く守らせ給ひしが
 オールスチンの悴なる  頑迷愚鈍のワックスが
 野心を充す其為に  エキス、ヘルマン両人を
 使嗾なしつつ奥殿に  忍ばせ玉を窃取して
 深く吾家の床下に  土をば被ひ隠し居る
 其心根の醜さよ  館の主人は村肝の
 心を痛め給ひつつ  重き病の身となりて
 命旦夕に迫る折  神の命を畏みて
 これの館に入り来り  小国姫に頼まれて
 玉の所在を探索し  館の難儀を救ひつつ
 少時留まる折もあれ  色と欲とに迷ひたる
 ワックス司初めとし  其外百の悪漢が
 教の道の三千彦を  魔法使と云ひ触らし
 此霊場に永久に  住める男女を嗾かし
 悪酔怪を組織して  館を目宛に攻め来る
 其勢の凄じさ  吾は僅かに身をもつて
 寄せくる曲に打ち向ひ  力限りに戦へど
 味方は一人敵軍は  雲霞の如き勢に
 やみやみ敵に捉へられ  アンブラック河に投げ込まれ
 生死不明の境涯に  陥りたるぞ腑甲斐なき
 斯る所へスマートが  現はれ来り懇に
 厳の言霊のり出し  清水を口に含みつつ
 吾が生魂を呼び生けて  再び元の身となしぬ
 勇気日頃に百倍し  神の館の災を
 取り除かむと勇み立ち  種々雑多と身を焦し
 心を配り漸くに  悪漢共を捕縛して
 定めの儘に鞭を当て  タンク、トンクの両人が
 笞の下に悪漢は  雲を霞と逃げ去りぬ
 ああ惟神々々  貴き神の御恵
 危き命を助けられ  館の主人の重病も
 日に夜に快方に相向ひ  デビスの姫やケリナ姫
 目出度茲に帰りまし  親子対面恙なく
 済まして喜ぶ折もあれ  玉国別の師の君が
 真純の彦や伊太彦を  伴ひ来り嬉しくも
 師弟の対面なし遂げぬ  ああ惟神々々
 神の御前に赤心を  捧げて感謝し奉る
 朝日は照るとも曇るとも  月は盈つとも虧くるとも
 空おち星は失するとも  千尋の海は涸るるとも
 神の依さしの熱誠に  尽さにやおかぬ三千彦が
 心を察し師の君が  これの館を立ち出でて
 吾等と共に月の国  ハルナの都にスクスクと
 進ませ給へ惟神  猶予もならぬ今日の空
 昨日に変り四方八方に  霞棚引き風荒く
 雨さへ交る夏の日の  行方定めぬ人の身は
 片時さへも空費せず  神の御為世の為に
 進ませ給へと願ぎ奉る  デビスの姫は吾前に
 百の言霊宣り給ひ  妹背の道を契らむと
 心せつなき談判に  吾は言葉も返しかね
 躊ひ居たる時ぞかし  吾師の君の出ましを
 これ幸と逸早く  館を出でて月の国
 一日も早く進むべし  真純の彦よ伊太彦よ
 神の教の三千彦が  生言霊を諾ひて
 吾師の君と諸共に  膝の栗毛に鞭ちて
 青野が原を打ち渡り  暑熱と戦ひ雨を浴び
 風に髪をば梳ずり  進みて行かむいざ早く
 早く早く』とせき立てる
    ○
 真純の彦は立上り  大神前に打ち向ひ
 恭しくも拍手して  玉国別に打ち向ひ
 言葉も低う腰屈め  『吾師の君と仕へたる
 玉国別の宣伝使  三千彦司の言の葉を
 諾ひまして片時も  早く此場を立ち出でて
 悪魔の征途に上りませ  如何なる曲の攻め来とも
 如何でか怖れむ神の道  千里の山川打ち越えて
 浪風猛る湖や  濁水漲る大川を
 神の恵に打ち渡り  嶮しき坂を攀登り
 道々悪魔を言向けて  進み行かなむ惟神
 許させたまへと願ぎ奉る』
    ○

玉国別『テルモンの山の嵐もをさまりぬ
  いざ立ち行かむ月の御国へ』

三千彦『師の君の宣りのまにまに出でて行く
  行手の道は安けからまし』

デビス姫『三千彦の神の司よ若草の
  妻を伴ひ進ませ給へ』

三千彦『大神の宣りのまにまに出でて行く
  三千彦司如何に苦しき。

 師の君の許させ給ふ事あらば
  伴ひ行かむ月の御国へ』

デビス姫『玉国別神の命に物申す
  妾を印度につれて行きませ』

玉国別『垂乳根の許しありせば連れ行かむ
  唯何事も神のまにまに』

小国姫『デビス姫三千彦司の妻として
  連れさせ給へ神の司よ』

玉国別『垂乳根の母の許しのある上は
  如何で拒まむ旅の伴連れ』

真純彦『永久の花開くなる春秋の
  喜び胸に三千彦の君』

伊太彦『いたいけのデビスの姫を妻となし
  旅に出でます君ぞかしこき』

三千彦『さりとても心に染まぬ道連れよ
  神の使命を相果すまで』

真純彦『言の葉の綾をかざりて若草の
  妻忌みがてにのるぞ可笑しき』

求道居士『三千彦の神の司の心根は
  三五の月の如くなりけり。

 いざさらば吾は此家に止まりて
  二人の親に厚く仕へむ』

ニコラス『玉国の別の命に物申す
  これの館を如何に治めむ』

玉国別『バラモンや、三五教の隔てなく
  斎たまはれ大本の神。

 さりながらこれの館はバラモンの
  神をば捨つる訳にはゆかず。

 三五の神を斎きてバラモンの
  皇大神に厚く仕へよ』

ニコラス『隔てなき君の言葉に従ひて
  斎き奉らむ百の神達。

 バラモンの軍の君を今日よりは
  離れて厚く神に仕へむ』

玉国別『いざさらば百の司よ心安く
  いとまめやかに世を過ごしませ』

小国姫『懐しき教の君に遇ひ乍ら
  いま別れむとする胸の苦しさ』

ケリナ姫『皇神の教の道を伝へ行く
  玉国別よやすく出でませ』

玉国別『時の間は早くも移りケリナ姫
  親に仕へて清くましませ』

と、互に離別の歌を歌ひ和気靄々として盃を取りかはし玉国別、真純彦、伊太彦、三千彦、デビス姫の一行は、後事を求道居士に一任し置き、宣伝歌を歌ひながら、欣々としてテルモン山を南に下り、青葉の影に隠れ行く。ああ惟神霊幸倍坐世。
(大正一二・三・二八 旧二・一二 於皆生温泉浜屋 加藤明子録)
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