テクは番頭頭になった気持ちで蔵から酒を担ぎ出し、酒を飲みながら他愛もなくしゃべり続けている。邸内には数百人の里人が、庄屋の旦那が帰られたとのことでお祝いに詰めかけ、酒を飲んで歌い舞い踊りなどして騒いでいる。
テクは番頭頭気分で、アキスとカールによく気を付けてお客様の世話をするようにと酔って説教をしている。アキスとカールは適当にいなし、ア主人夫婦に天王の森の猩々の霊が憑いているといったうわさ話にふけっている。
門の方がにぎやかになってきたので二人が表口へ駆け出すと、テクが大柄杓を肩にかけながら、酔った勢いで勝手な歌を歌い踊っている。
そこへキヨの港を守るバラモン軍のキャプテン・チルテルが数十人の部下を連れてやってきた。チルテルは、三五教の宣伝使・玉国別たちがこの館に潜んでいるとの情報で召し捕りにやってきたと大音声に告げた。
テク、アキス、カールは酒をなみなみと汲んで、チルテルの前に突きだした。チルテルは酒と聞いてたまらず、馬を下りてガブリガブリと呑みはじめた。チルテルの部下も群衆に交じって酒を飲み、肝心の使命を忘れて踊っている。
空中には迦陵頻伽、鳳凰、孔雀らの瑞鳥が舞っている。