昨夜見た不思議な夢に、顔も知らない神人と日本海の空高く、黄金の翼に乗せられて、金剛不壊の山の根に苦も無く降りてゆく。
「弥勒菩薩」と呼ぶ声にはっと気が付いて我が身を見れば、紫磨黄金の肌となり、諸々の天人に囲まれて世界の人の前に立ち、苦集滅道の真理を完全に委曲に説き出だす。
天地はたちまち震動し、道法礼節は遅滞なく治まり、海の内外もたがいに睦び親しんで一天一地一神の治世を見ることこそ尊いことである。
折りから春風が窓を打つ声に目をさませば、月の光はキラキラと二階の方舟を照らしつつニコニコと笑み給う。惟神御霊幸はえましませよ。