ヘールは初稚姫の居間の前にやって来たが、なんだか敷居が高くて心が怖気づく。ヘールは自分の副守を落ち着かせ、また恐怖心を落ち着かせ、歌で歌いかけて初稚姫にアピールしようと歌いだした。
ヘールは初稚姫と自分を夫婦神になぞらえて、勝手な理屈をこねつつ、チルテルよりも自分になびくべきだと歌った。
初稚姫は中から戸を開いて、ヘールの姿を見て微笑しつつ、自分は神の使いとして夫を持つことはできないと歌い返した。ヘールは初稚姫への恋の思いを歌い、互いに歌を交わしていく。
ヘールはついに力づくで迫ろうと表戸を開けて初稚姫の手を握ろうとした。初稚姫は手早くかわして、襟髪をとって窓の外にフワリと投げ出した。
ヘールは、男の恋の意地だと言って起き上がり、再び初稚姫に武者ぶりつく。初稚姫は手もなくヘールを押さえつけてしまった。
ヘールは、初稚姫の姿を見て神がかりとなり、神の命にしたがって初稚姫に迫ったのだ、と屁理屈をこねる。初稚姫は剛力でヘールを押さえつけながら笑い飛ばしている。そこへチルテルが血相を変えてやってきた。