伊太彦が入り口に座っていると、今度はワックス、エキス、ヘルマン、エルの四人が転がり落ちていた。またバラモン軍の兵士たちも十七八人落ち込んできた。伊太彦は相変わらず宿屋の受付気取りで応対する。
チルテルは、部下たちが全員落ち込んでしまったので、外から岩窟の出入り口を上げてくれる者がいなくなってしまったと心配する。三千彦は、玉国別たちが助けてくれるだろうと安堵するが、夜になって玉国別一行が落とし穴に落ち込んできた。
一行が岩窟に入ってみると、バラモン軍たちは、もうここから出る手段がないと嘆いている。玉国別は朗々と宣伝歌を歌って、改心して心静かに助けを待つようにと教えを示した。
一同が述懐の歌を歌い合っていると、スマートを先頭に初稚姫が燈火を捧げながらやってきた。初稚姫は関所の岩窟の入り口の錠を外して、石段を降って皆を助けに来てくれたのであった。
この初稚姫は白狐の化身ではなく、本物の初稚姫がイクとサールを従えて、落とし穴に落ちた人々を助けるためにやってきたのであった。