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文献名1霊界物語 第59巻 真善美愛 戌の巻
文献名2第4篇 六根猩々よみ(新仮名遣い)ろっこんしょうじょう
文献名3第20章 海竜王〔1520〕よみ(新仮名遣い)さあがらりゅうおう
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグサァガラ竜王(サーガラ竜王) データ凡例 データ最終更新日2019-05-15 04:00:17
あらすじ
伊太彦たちは船団を出航させた。アキス、アンチーは舟歌に述懐を乗せて歌った。一行の舟は自然に猩々ヶ島に向かった。早くも正午ごろには船団は島に着いた。

見れば、島の中心に屹立する岩山に大蛇が取り巻き、猩々の群れを飲み喰らおうとしていた。これはキヨメの湖の底深く潜んでいる海竜でサァガラ竜王という。三年に一度この島に現れて、あらゆる生き物を食い尽くそうとする恐ろしい悪竜である。

今までは猩々女王が控えていたためにサァガラ竜王も島に上陸することができなかったが、女王が死んだ今、眷属たちを飲みこもうと上がってきたのであった。猩々たちは磯端に集まって、ヤッコス、ハール、サボールたちに救いを求めていた。

ヤッコスたちは自分たちもどうせ食われるならできる限り抵抗しようと覚悟を決め、磯端の石を拾って竜神に投げつけた。三百余匹の猩々たちも三人にならって石つぶてを投げ始めた。

さすがの竜王も辟易し、まず人間を倒そうと鎌首を上げて目を怒らし、隙を狙っている。伊太彦はこの様子を見ると船の先に立ちあがり天の数歌を奏上した。すると竜王の身体の各部より煙を吐きだし、鱗の間から火焔が立ち上った。

竜王はついに熱さに堪えかねて岩山から転げ落ち、湖水中深くに沈んでしまった。あたりの水は湯のように熱くなり、たくさんの魚が浮いてきた。伊太彦は魚族を助けるために天津祝詞を奏上し、天の数歌を唱えた。水は冷え、魚は動きだし、幾十万とも知れず磯端の泳ぎ来て伊太彦に感謝の意を表すごとく首を上下に振りながら、一斉に姿を水中に隠した。

ヤッコスたちは伊太彦に感謝の意を表した。伊太彦が酒樽の栓を抜かせると、猩々たちは集まってきて舟に乗り込んだ。ヤッコスたち三人も舟に乗せると、天の数歌と祝詞を唱え、船首を転じて帰路に就いた。
主な人物 舞台 口述日1923(大正12)年04月03日(旧02月18日) 口述場所皆生温泉 浜屋 筆録者松村真澄 校正日 校正場所 初版発行日1925(大正14)年7月8日 愛善世界社版259頁 八幡書店版第10輯 576頁 修補版 校定版274頁 普及版 初版 ページ備考
OBC rm5920
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本文  猩々の島へ渡るべく  使命を受けし伊太彦は
 アキスやカールやアンチーを  左右の柱と定めつつ
 二十の舟に酒樽を  半つめこみ四十人
 船頭を選み朝まだき  大海原を勇ましく
 波に鼓をうたせつつ  旗鼓堂々と辷りゆく
 折柄吹来る南風に  真帆を掲げて驀地
 一瀉千里の勢は  見るも目覚しき次第なり。
 アンチーは船頭頭として、旗艦の先に立ち、

アンチー『ここは名に負ふキヨメの湖よ
 波に浮かべる猩々ケ島へ
 やらるる此身は厭はねど
 跡に残りしバーチルさまの
 どうして女房子が永い月日を暮すやら。
 なぜなれば
 人の体で人でなし
 ぢやとて神ではない程に
 さぞや皆さまが困るだろ
 案じすごして舟を待つ。
 舟を待つ間の猩々の姫は
 奥の一間でキヤツ キヤツ キヤツと
 怪体な声を張あげて
 玉国別の一行に
 鎮魂帰神で責められる
 どうして其間が暮れるやら』
アキス『内の主人は偉い人  三年三月も和田中の
 猩々ケ島に現はれて  お猿の王をば妻となし
 三百余りの子を持つて  一つの島の王となり
 誰憚らず悠々と  暮し玉ふた猛者ぞ
 玉国別の神様が  迎ひの舟に乗せられて
 アヅモス山の聖場に  帰らせ玉ひし今日の日は
 スマの神村勇み立ち  老若男女の分ちなく
 呑めよ騒げよと勇み立つ  たつた一人のバーチルが
 帰つて厶つた許りに  イヅミの国のスマの里
 湿り勝なる草村も  俄にかわきはしやいで
 夜明の如くなつたぞや  サア是からは是からは
 アヅモス山の古社  眷族さまの木像を
 刻み直して古の  健康体に造り替へ
 手が折れ足は虫が喰ひ  首までぬけた負傷者を
 一つも残らずアヅモスの  衛獣病院に担ぎこみ
 彫刻医者をば招んで来て  完全無欠に修繕し
 新旧両派が睦まじく  一つの宮に集まつて
 真善美愛の実況を  現はし玉ふ世となつた
 其魁けと吾々は  肝心要の眷族を
 伊太彦さまに従ひて  迎へむ為に二十艘の
 舟を拵へ波の上  真帆を上げつつ進むのだ
 あゝ惟神々々  神の恵の深くして
 猩々ケ島のお客さま  一人も残さず此舟に
 収容なして恙なく  アヅモス山の聖場に
 帰らせ玉へと願ぎまつる  旭は照るとも曇るとも
 月は盈つとも虧くる共  仮令大地は沈む共
 猩々ケ島に預けたる  バラモン教のヤッコスや
 ハール、サボール三人は  助けてやらない積だが
 伊太彦さまの御心は  私は計りかねてゐる
 もしもあんな者舟に乗せ  連れて帰らうものなれば
 天国浄土と治まつた  イヅミの国のスマ里は
 再修羅の八衢と  なるかも知らぬ恐ろしや
 鬼や大蛇や狼を  野原に放ちし如くだと
 里人たちが案じてる  只何事も吾々の
 考へ通りにやゆきませぬ  皇大神の御心を
 奉戴したる伊太彦の  艦長さまの思召
 只吾々は只管に  従ひまつる許りなり
 あゝ惟神々々  バラモン教の三人を
 何卒スマの聖場へ  帰らぬ様に頼みます』
 伊太彦の乗つた舟は一艘目立つて新しく大きい。さうしてアキス、カールの両人が左守右守然と控へてゐる。十九艘の船を指揮してゐるのはアンチーであつた。各船は雁列の陣を張つて、旭の照り輝く浪の上を、各舷を叩き、唄を唄ひ、鉦をすり、豆太鼓を打鳴らし、海若を驚かしつつ辷つて行く。神の守りか猩々姫の精霊の守護か、二十哩以上の速力にて矢の如く自然に船は猩々ケ島に向つて船頭の櫓櫂も、帆の力も何の者かはと言はぬ許りに、帆を逆様に膨らせ乍ら走つて行く。風は南から吹いてゐる。どうしても帆は北の方へ膨れねばならぬ。それにも拘らず、帆は風の方向へ膨れてるのを見ても、其速力の早きを伺ひ知る事が出来る。
 七八十里の湖路を早くも正午頃には、猩々ケ島の岸に、一艘の落伍船もなく横着になつた。よくよく見れば、幾丈とも知れぬ大蛇が猩々島の中心に屹立せる岩山を取巻き、岩の上から大口をあけ、舌をペロペロ出し乍ら、猩々の群を一匹も残さず呑み喰はむとしてゐる最中である。これはキヨメの湖の底深く潜んでゐる海竜で、サァガラ竜王と称へられ、三年に一度位此島に現はれて、所在生物を食ひ尽さむとする怖ろしき悪竜である。今迄猩々王が此島に厳然として控へてゐた為、流石のサァガラ竜王も上陸する事を恐れてゐたが、王が亡くなつたのを幸、其死骸を只一口に呑んで了ひ勢に乗じて上陸し、岩山を長大なる体にて巻きつけ、一匹も残らず食ひ絶さむとしてゐる真最中なりける。
 猩々はキヤツキヤツと泣叫び、磯端に集まり、ヤッコス、ハール、サボールの側に集まり来つて、かの悪竜を退治し、吾等の危難を救へと、形容を以て歎願した。ヤッコス外二人も猩々のみか、グヅグヅしてゐては、自分等も共に呑まれて了ふのだ。同じ食はれるのなら、与ふ限りの抵抗をやつてみようと覚悟を定め、何一つ武器がないので、磯端の手頃の石を拾ひ、竜神の急所を狙つて石礫を投げつける。三百有余の猩々は三人に倣つて、各石を拾ひ、雨霰と打ちつけてゐる。遉の竜王も石礫に辟易し、岩山を力にグツと尻尾を以て巻きかかへ乍ら、鎌首を立て、先づ人間より呑み喰はむと目を怒らし、隙を狙つてゐる、其光景の凄じさ。伊太彦は見るより船の舳に立上りつつ、一生懸命に天の数歌を奏上した。竜王は俄に身体の各部より煙を吐出し、一枚々々鱗の間から火焔立ちのぼり、熱さ苦しさに堪へかねてや、矢庭に身を躍らして、岩山を転げ落ち乍ら、バサリと音を立てて海中に飛込むで了つた。四辺一里許りは忽ち海水は湯の如く熱くなり、沢山の魚が白、青いろいろの腹を水面に現はし、ブカブカと浮き来たる。
 伊太彦は又もや魚族を助けむと天津祝詞を奏上し、天の数歌を称へた。漸くにして水は熱冷え、魚は溌溂として動き出し、幾十万とも知れず磯端に泳ぎ来り、伊太彦に向つて感謝の意を表はすものの如く、何れも一斉に首を上下に振り乍ら大小無数の魚族は一斉に水中に姿を隠しけり。
 ヤッコス始め猩々の群は磯端に立つて列を造り、伊太彦の船に向つて掌を合せ、感謝の意を表してゐる。伊太彦は一同に向つて酒樽の鏡をぬく事を命じた。忽ち酒の匂ひは四辺に漂うた。猩々の群は先を争うて、吾身の危険を忘れ、二十の船に思ひ思ひに飛乗つた。三人の男も恐る恐る、伊太彦の船に飛び乗り、両手を合せ涙を流して、感謝の誠を表はしゐる。
伊太『アンチーさま、モウこれで猩々潔白さまはスツカリ乗船なされただらうかなア。一人でも残つてゐるやうな事があつては、帰つて申訳がないから、能く査べて下さい』
アンチー『ハイ大抵皆お乗になつたと思ひますが、念の為モ一度査べてみませうか』
ヤッコス『お査べには及びませぬ。此島の猩々は決して一人離れて遊んだりは致しませぬ。暫くの間に吾々に能くなづき、一緒に暮して居りましたが、本当に友誼の厚い動物で親切な者です。又一匹でもゐないやうな事があれば、キツと猩々がどんな場合でも探して伴れて参ります。御安心下さいませ』
伊太『島の王が言ふ言葉にはヨモヤ間違ひはあるまい。サア是から天津祝詞を奏上し、此島に別れを告げる事とせう』
と言ひ乍ら、船首を全部島の方に向け直し、伊太彦が導師の下に天の数歌を歌ひ祝詞を奏上し了つて、再船首を転じ、此度は帆を巻き下し、波のまにまに海上を漕ぎ帰る事となつた。
(大正一二・四・三 旧二・一八 於皆生温泉浜屋 松村真澄録)
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