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文献名1霊界物語 第60巻 真善美愛 亥の巻
文献名2第1篇 天仁和楽よみ(新仮名遣い)てんじんわらく
文献名3第5章 鎮祭〔1530〕よみ(新仮名遣い)ちんさい
著者出口王仁三郎
概要
備考
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あらすじ
真善美を尽くした二棟の宮殿は、玉国別以下一同の丹精によってようやく完成した。東の宮には大国常立大神を祀り、西の宮には大国彦命を鎮祭することになった。

玉国別は斎主となり、荘厳な遷宮式を挙行した。大国常立尊の御神体としてはバーチルの家に古くから伝わる直径三尺三寸の瑪瑙の宝玉に神霊をとりかけた。大国彦命の御神体としては、直径三寸ばかりの水晶の玉に神霊をとりかけた。

バーチルは東の宮の、サーベル姫は西の宮の神主となり、朝夕心身を清めて奉仕することになった。

祭典は無事に終了し、直会の宴が開かれた。おのおの神酒をいただきながら、思い思いに今日の盛事を祝した。バーチルは祝歌を歌い、サーベル姫は花を手に取り音楽に和して歌いながら舞った。

サーベル姫は歌い終わると一同に拝礼し、里人への財産提供の準備をなすべく、数多の猩々に前後を守られて館に引き換えした。
主な人物 舞台 口述日1923(大正12)年04月07日(旧02月22日) 口述場所皆生温泉 浜屋 筆録者北村隆光 校正日 校正場所 初版発行日1925(大正14)年8月12日 愛善世界社版54頁 八幡書店版第10輯 615頁 修補版 校定版58頁 普及版60頁 初版 ページ備考
OBC rm6005
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本文  真善美を尽したる二棟の宮殿は玉国別以下一同の丹精によつて漸く完成し、東側の宮には大国常立大神を祀り、西の宮には大国彦命を鎮祭する事となつた。
 玉国別は斎主として新調の祭服を身に着け、真純彦以下の宣伝使及び主人側のバーチル夫婦並にバラモンのチルテル以下里人一同と共に荘厳なる遷宮式を挙行した。
 大国常立尊の御神体としてはバーチルの家に古くより伝はりし直径三尺三寸の瑪瑙の宝玉に神霊をとりかけ、大国彦命の御神体としてはチルテルが大切に保存せる直径三寸許りの水晶の玉に神霊をとりかけ、これを奉斎する事となつた。
 さうしてバーチルは東の宮の神主となり、サーベル姫は西の宮の神主となり、朝夕心身を清めて之に奉仕する事となつた。
 玉国別の宣伝使は遷宮式の祝詞を歌に代へて歌ふ。
玉国別『朝日輝くアヅモスの  テーヷラージャーの森の中
 大峡小峡の木を伐りて  清き心の里人が
 下津岩根に宮柱  太しく造り高天原に
 千木高知りて三五の  皇大神やバラモンの
 教司の神等を  斎まつらむ今日の日は
 天の岩戸の開くなる  生日足日の生時ぞ
 此世を造り固めたる  大国常立大御神
 天王星より下ります  梵天帝釈自在天
 大国彦の大神の  深き恵みを蒙りて
 漸くここに宮柱  建て了りたる目出度さよ
 高天原の霊国の  姿を移すスメールの
 山は世界の救ひ主  天地の神も寄り集ひ
 世を常久に守らむと  寄り来仕ふる目出度さよ
 朝日は照るとも曇るとも  月は盈つとも虧くるとも
 仮令天地は覆るとも  元津御祖の大神が
 此地に鎮まります限り  如何なる枉も来るべき
 大三災の風水火  小三災の饑病戦
 煙の如く霧の如  朝の風や夕風の
 吹き払ふ如影もなく  安全無事の霊場と
 弥永久に鎮まりて  世人を守り玉へかし
 此世を造りし神直日  心も広き大直日
 只何事も人の世は  直日に見直し聞直し
 身の過ちは宣り直す  善言美詞の神嘉言
 朝な夕なに宣り上げて  総ての邪気を拭き払ひ
 神の御国の歓楽を  この国人は永久に
 味はひまつる有難さ  アヽ惟神々々
 此神床に永久に  鎮まりまして常暗の
 世界を救ひ玉ひつつ  神の御稜威はラシューズダ
 サハスラバリ・ブールナドヷヂャ  サルワサットワブリヤダルシャナと
 現はれ玉ひて永久に  鎮まり居ませと願ぎ奉る
 この里人の誠心ゆ  捧げまつりし海河や
 山野の種々珍味物  八足の机に弥広く
 弥高らかに横山の  姿の如く置き足らし
 真心こめて大神酒や  大神饌御水奉る
 此二柱大御神  青人草の真心を
 完全に委曲に聞し召し  今日の喜び永久に
 続かせ玉へ惟神  尊き神の御前に
 三五教の神司  玉国別が真心を
 籠めて一同になり代はり  畏み畏み願ぎ奉る
 アヽ惟神々々  御霊幸はひましませよ』
 祭典は無事に終了し、各聖地に処狭き迄群集り居て撤饌の供物により直会の宴を開き、神酒を頂き乍ら思ひ思ひに今日の盛事を祝した。其中重なる人の歌を一、二左に述べて置く。
バーチル『アヽ有難し有難し  天の岩戸は開きけり
 暗の帳は上りけり  四辺の空気は何となく
 いと爽かに風そよぐ  木々の梢は淑かに
 自然の音楽相奏で  梢は舞踏を演じつつ
 今日の盛事を祝ふなり  野辺に咲きぬる蓮花
 香りも高く吹き送る  牡丹芍薬ダリヤ迄
 艶をば競ひ香を送る  天国浄土も目のあたり
 眺むる如き心地なり  朽ち果てたりし宮殿も
 今は目出度く新まり  木の香新に鼻をつく
 見るもの聞くもの一として  尊き神の御恵の
 籠らせ玉はぬものはなし  父の犯せし罪科の
 吾身に巡り来りてゆ  日夜に心を痛めつつ
 清めの湖に浮び出で  百の鱗族漁りつつ
 心を慰め居たりしが  神の恵みの引合せ
 例もあらぬ颶風に遭ひ  猩々の島に助けられ
 因縁因果の巡り合ひ  猩々の姫とゆくりなく
 鴛鴦の縁を契りつつ  三年を過ぐる暁に
 救ひの神の来りまし  吾を助けてイヅミなる
 スマの館に送りまし  今又神の神勅
 忝なみて伊太彦の  神の司に一族を
 これの神山に迎へられ  霊魂の親子は喜びて
 スメール山の神殿に  朝な夕なに仕へ行く
 嬉しき身とはなりにけり  吾は之より比丘となり
 神の柱となる上は  父祖の伝へし吾館
 その外山野田畑を  天地の神に奉還し
 里人各持場をば  定めて自由に稲や麦
 豆粟黍は云ふも更  羊や豚の数限り
 知られぬ許りの財産を  皆里人の有となし
 この儘地上の天国を  弥永久に築きつつ
 その神恩に浴されよ  神に仕へし上からは
 物質的の宝をば  塵もとどめず放り出し
 神の恵に与りて  夫婦親子は聖場に
 楽しく仕へ奉るべし  諾ひ玉へ天津神
 国津神等八百万  その生宮と現れませる
 バラモン軍のキャプテンを  始め奉りて部下とます
 百の軍も里人も  公平無私に吾宝
 分配なして穏かに  此世を送り玉へかし
 朝日は照るとも曇るとも  月は盈つとも虧くるとも
 仮令大地は沈むとも  神の司のバーチルが
 言葉は永久に変らまじ  心安けく平らけく
 思召されよと皇神の  御前に誓ひて宣りまつる
 あゝ惟神々々  御霊幸はひましませよ』
 里人が原野を捜つて集め来りし四種の曼陀羅華を神殿処狭きまで供へまつり、サーベル姫はその花の中心に立つて曼陀羅華を手にし、太鼓、羯鼓、笙、篳篥、翼琴等の微妙の音楽の音に和して歌を歌ひ乍ら舞ひ狂うた。
 因に四種の曼陀羅華とは、
 一、マーンダーラヷ
 二、マハーマンダーラヷ
 三、マンヂュシャカ
 四、マハーマンヂュシャカ
を云ふ。さうして曼陀羅は適意花、成意花、円花、悦音花、雑色花、天妙花とも翻訳され、その色は赤に似て黄色を帯びたり、青に似て紫、紫に似て黒を帯びたり種々雑妙の色がある。マハーマンダーラヷは白華又は大白華となすものがある。マンジュシャカは柔軟草、如意草、赤団華とするものもある。
サーベル姫『天火水地と結びたる  青赤白黄紫の
 曼陀羅華をば大前に  処狭き迄奉り
 天地の水火に叶ひたる  真善美愛の花束を
 里人等が慎みて  真心捧げて奉る
 皇大神は言霊の  天火水地を結びまし
 地上の人は曼陀羅華  天火水地と結びたる
 種々雑妙のこの花を  大宮前に立て並べ
 至誠を現はし奉る  皇大神よ大神よ
 吾等を初め里人が  清き心を臠し
 アヅモス山の霊場に  大宮柱太しりて
 鎮まり居ます珍宮の  司と永遠に仕へませ
 バーチル夫婦が真心を  ここに現はし願ぎ奉る
 吾等夫婦は大神の  恵みの露に霑ひて
 咲き匂ひたる曼陀羅華  一度に開く花蓮
 心の空に天界の  平和と歓喜の国を建て
 神の御為世の為に  三五教やバラモンの
 一体不二の神教を  普く四方に宣べ伝へ
 世人を救はせ玉へかし  三百三十三体の
 此愛らしき猩々は  吾身に憑りし猩々姫
 神の使の生みませる  天地の愛の珍の子と
 憐れみ玉ひて永久に  身魂を守り平安に
 この世を渡らせ玉へかし  執着心や世染をば
 科戸の風に払拭し  安の河原に垢離をとり
 清浄無垢の魂となり  仕へまつらせ玉へかし
 あゝ惟神々々  御霊の恩頼を願ぎまつる』
 斯く歌ひ終り一同に拝礼し、数多の猩々に前後を守られて、一先づ元の館へ引返し村人一般に対し財産全部提供の準備をなすべく欣々として嬉しげに立ち帰る。
(大正一二・四・七 旧二・二二 於皆生温泉浜屋 北村隆光録)
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