地上に戻ると、玉国別は伊太彦の功績をねぎらった。そしてタクシャカ竜王に向かい、歌で持って呼びかけ、竜王の改心と赦免を祝った。竜王は答えて改めて改心と感謝の情を表した。
一同がそれぞれ述懐の歌を交わしていると、大地はにわかに震動し、湖の波が立ち狂いパッと二つに開いた。湖中から恐ろしいサーガラ竜王が、七八才の乙女を背に乗せてスマの浜辺に浮かび出た。竜王はたちまち老媼の姿となり、幼児をかかえて中空を翔け、タクシャカ竜王の前に現れた。
サーガラ竜王は夫であるタクシャカ竜王の赦免を喜ぶ歌を歌った。そしてこの乙女は、自分の身魂から生まれた如意宝珠の化身であると明かした。
玉国別はこれより夫婦で世を守るようにと二人に命じた。サーガラ竜王が乙女に息を吹きかけると如意宝珠の玉と変じた。サーガラ竜王は玉を玉国別に奉じた。宣伝使たちはおのおの述懐の歌を交わした。
これよりタクシャカ竜王とサーガラ竜王はそれぞれ猩々翁、猩々媼となり、珍しい果物の酒を作って朝夕神前に献じて神慮をなぐさめ、罪を謝することとなった。
バーチル夫婦は二つの宮の宮司として仕え、子孫繁栄し神の柱と世に敬われた。元バラモン軍キャプテンのチルテルはスマの里の里庄となって村民を愛撫し、部下はいずれも里人の列に加えて美しく新しい村を造り余生を楽しく送り、その霊は天国に至って天人の列に加わり、アヅモス山の聖地を守ることとなった。