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文献名1霊界物語 第62巻 山河草木 丑の巻
文献名2第6篇 聖地の花よみ(新仮名遣い)せいちのはな
文献名3第31章 神閣〔1606〕よみ(新仮名遣い)しんかく
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日----
あらすじ
主な人物 舞台 口述日1923(大正12)年05月16日(旧04月1日) 口述場所教主殿 筆録者明子 校正日 校正場所 初版発行日1925(大正14)年10月16日 愛善世界社版364頁 八幡書店版第11輯 250頁 修補版 校定版397頁 普及版61頁 初版 ページ備考
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本文の文字数1699
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本文
  第五五二

    一

 常闇の夜の帳は降されて
  初めて慕ふ月の影かな。

    二

 足引の五十路の山を二つ越えて
  三つの神ます花園に進む。

    三

 一人行くも惜しくぞ思ふ花の山
  ふりかへりつつ招く友垣。

    四

 暁を告ぐる御殿の太鼓の音に
  長き眠りをさましつつゆく。

    五

 人は皆深き暗路を渡り川
  清き流れに更生主一人立つ。

  第五五三

    一

 傾きし月に心の澄みぬれば
  仇に一夜も寝られざりけり。

    二

 紫の雲棚曳きて大空に
  傾く月を慕ひ見るかな。

    三

 大空に慄ひて澄める月影は
  地の凩を歎ち顔なる。

    四

 小夜更けて山川草木静かなり
  只月のみぞ空に冴えぬる。

    五

 わくらはに心の月の澄みぬるは
  悟りに入るの初めなりけり。

  第五五四

    一

 玉の井の底に沈むも大空に
  著けき月も同じ光ぞ。

    二

 白梅の花は匂ひていつしかに
  疎みし人も尋ね来るかな。

    三

 神垣を後に見捨てて行く雁の
  中にも残る一列ありけり。

    四

 白梅の匂ふも待たで行く雁の
  心の空は淋しかるらむ。

    五

 神垣の春もあさ野の若草に
  かくれて雉子鳴き渡るなり。

  第五五五

    一

 円山の木々の梢の呼子鳥
  誰を招くらむ声も静けく。

    二

 神園の梅手折らむと来て見れば
  早くも散りて実は結びたり。

    三

 白梅の外にかぐはし友もなし
  散りたる後の心淋しさ。

    四

 散るとてもまた来る春を松ケ枝に
  緑の色のすがすがしくあれ。

    五

 凩の荒みし跡の円山に
  照る月影はいとも長閑けし。

  第五五六

    一

 三五の月は御空を唯一人
  わがもの顔に澄み渡るなり。

    二

 久方の天津日影も月影も
  元津御神の光なりけり。

    三

 時鳥五月の空に里なれて
  夜の更くるまで啼き渡るかな。

    四

 金竜の池のみぎはもさみだれて
  菖蒲の花の紫に咲く。

    五

 皇神の恵もわけて大八洲
  松の木の間に迦陵頻伽鳴く。

  第五五七

    一

 和田の原澄み渡りたる月影の
  傾く見れば淋しかりけり。

    二

 金竜の池の氷の解けてより
  水底深くうつる月影。

    三

 空高く立つ河霧の隙間より
  漏れ来る月の光慕はし。

    四

 長き夜も明けて悔しく思ふかな
  月の光のあせて見ゆれば。

    五

 神垣の空を包みし黒雲を
  すかして照れる有明の月。

  第五五八

    一

 月出でて松の緑は栄えけり
  紅葉散り敷く凩の後に。

    二

 呉竹の筧の水におく露も
  月の光をうけて輝ふ。

    三

 富士の根に積む白雪のいと清く
  永久に消えざる心ともがな。

    四

 富士の雪の永久に消えざる心もて
  清く御前に仕へまつらむ。

    五

 霜の褥月の枕を数重ね
  神国のために道伝へ往く。

  第五五九

    一

 山川に風のかけたる花の橋を
  渡らむとすも今の世人は。

    二

 光無き谷の底にも岩躑躅
  月の恵の露に匂へる。

    三

 世の為に建てし宮居を醜司
  真金の鉾を打ちふり砕きぬ。

    四

 世のために尽すと言ひし醜司の
  醜の限りを尽したるかな。

    五

 ひたすらに世を安かれと祈るかな
  朝な夕なに神の御前に。

  第五六〇

    一

 神垣の松の心の誓ひにて
  主が千歳を朝夕祈る。

    二

 千早振神代は知らず老松の
  梢に澄める月はさやけし。

    三

 綿津海の真砂の数はかぞふとも
  数へきれぬは神の御恵。

    四

 白梅の花も常磐の色添ひて
  八重神垣に匂ひけるかな。

    五

 世の人の心の闇や晴れぬらむ
  澄み渡りたる円山の月に。

  第五六一

    一

 大空の月も澄みけり池水も
  澄み渡りたる神垣の庭。

    二

 御禊する小雲の川の小波の
  日数重ねて神に祈りつ。

    三

 皆人のやがて渡らむ三瀬川
  せき留むるよしも無き涙かな。

    四

 白妙のわが衣手は濡れにけり
  露と消えにし可憐児のため。

    五

 草の葉におく白露のいつまでも
  醜の嵐に散らぬものかは。
(大正一二・五・一六 旧四・一 於教主殿 明子録)
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