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文献名1霊界物語 第63巻 山河草木 寅の巻
文献名2第1篇 妙法山月よみ(新仮名遣い)すだるまさんげつ
文献名3第1章 玉の露〔1608〕よみ(新仮名遣い)たまのつゆ
著者出口王仁三郎
概要
備考
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あらすじ
主神・大国治立大神の御言により、国常立大神は黄金山下に現れて珍の掟を定め、神人のゆくべき道を立てた。しかし醜の身霊が次第に現れ、その非道な所業によって珍の聖地を追われた。

神の仕組とはいえ、国常立大神は自転倒島に隠れざるを得ず、国武彦と名を変えて世を忍び、日の出の御代を待ち給うた。

妻神である瑞御魂の豊国姫大神は、メソポタミヤの山奥に永く御身を忍んだ。

大国常立大神は厳の御霊・天照大御神として諾冊二神の間に生まれた。豊国姫大神は神素盞嗚大神と現れ給うた。

魔神の猛る世の中を鎮めようと神素盞嗚大神は御心を千々に砕かせ給うたが、修羅の巷の惨状に憂い嘆かせ給うた。

伊邪那岐大神は神素盞嗚大神に対して、大海原をしろしめす権威がないのであれば、根底の国に行くべしと、悲しみを胸にたたえて厳かに言い渡した。

神素盞嗚大神は姉の天照大御神に名残を告げようと訪れたが、姉神は弟の来意を疑った。そこで姉弟二神は天の安河で誓約を行った。

誓約によって神素盞嗚大神の瑞御魂の清明無垢の御精神は明らかになった。しかしこの事件に心が収まらない神人たちが騒ぎ立てたため、天照大御神がお隠れになり、暗黒の世となってしまった。

神々が音楽を奏で太祝詞を宣すと、天照大御神は再びこの世に現れた。神素盞嗚大神は千座の置戸を負わされて高天原から追われてしまった。

天地は一時穏やかに治まったかに見えたが、豊葦原の国々は魔神が荒れ狂いふたたび修羅の巷となり変わってしまった。

この惨状を見るに忍びず、瑞御魂と国武彦は三五教を開き、悪霊を言向け和して姉御神に奉り世の災いを除こうと、コーカス山やウブスナ山の上に尊くも神館を建て給うた。

八岐大蛇の分霊が懸かってこの世を乱すハルナの都の悪神を第一に言向け和そうと、数多の宣伝使を派遣した。

その中には、神素盞嗚大神の御娘・五十子姫の夫である玉国別がいた。玉国別は真純彦、三千彦、伊太彦を共としてハルナの都に遣わされたのである。

玉国別宣伝使は、河鹿峠で山猿に苦しんだが、神力に守られて祠の森の宮を打ち建て、テルモン山でデビス姫姉妹・親子の危機を救った。デビス姫は三千彦の妻となって一行にしたがった。

テルモン湖水を渡る間に様々な神業を成し遂げ、アヅモス山に隠れていたタクシャカ竜王・サーガラ竜王を救い、夜光の玉や如意宝珠を竜王から受け取った。

宣伝使四柱一行はハルナの都を指して進んでいく道の辺の祠で、元バラモン軍の将軍鬼春別、今は比丘となった治道居士と巡り合い、スダルマ山の山麓を進んでいくこととなった。
主な人物 舞台 口述日1923(大正12)年05月18日(旧04月3日) 口述場所竜宮館 筆録者北村隆光 校正日 校正場所 初版発行日1926(大正15)年2月3日 愛善世界社版7頁 八幡書店版第11輯 265頁 修補版 校定版7頁 普及版 初版 ページ備考
OBC rm6301
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本文  天地万有悉く  霊力体の三元を
 与へて創造なし給ひ  各其所を得せしめし
 国の御祖の大御神  国常立の大神は
 大国治立大神の  貴の御言を畏みて
 大海原の中心地  黄金山下にあれまして
 天地百の生物を  いと安らけく平けく
 守らせ給ひ厳かに  珍の掟を定めまし
 神と人との踏みて行く  道を立てさせ給ひしが
 日は行き月たち星移り  世はくれ竹のおひおひに
 天足の彦や胞場姫の  醜の身霊ゆなり出でし
 八岐大蛇や醜神の  いやなき業に畏くも
 珍の聖地を後にして  神の仕組と云ひ乍ら
 大海中に浮びたる  自転倒島にかくれまし
 国武彦と名を変へて  此世を忍び曙の
 日の出の御代を待ち給ひ  女神とあれし瑞御霊
 豊国姫の大神は  夫神の命のなやみをば
 居ながら見るに忍びずと  豊葦原の中津国
 メソポタミヤの山奥に  永く御身を忍びまし
 五六七の御代を待ち給ふ  大国常立大神は
 厳の御霊と現はれて  四方久方の天盛留向津媛
 御稜威も殊に大日婁女貴  女神となりて諾冊の
 二神の間に生れまし  豊国姫の大神は
 神素盞嗚の大神と  現はれ給ひ天地を
 おのもおのもに持ち分けて  守らせ給ふ折もあれ
 魔神の猛り強くして  岩の根木根立百草の
 片葉も言向ひ騒ぎ立て  豊葦原の瑞穂国
 再び常世の暗となり  神素盞嗚の大神は
 この惨状を如何にして  鎮めむものと村肝の
 御心千々に砕かせつ  朝な夕なに憂ひまし
 山河草木枯れ果てて  修羅の巷となりにけり
 父とあれます伊邪那岐の  皇大神は大空ゆ
 下らせ給ひて素盞嗚の  珍の御子に打向ひ
 憂ひ歎かすその理由を  尋ね給へば瑞御霊
 完全に詳細に世の状を  語らせ給ひ我は今
 母のまします月の国  罷らむものと思ひ立ち
 この世の名残に泣くなりと  答へ給へば父の神
 いたく怒らせ給ひつつ  胸に涙を湛へまし
 大海原を知食す  権威なければ汝が尊
 根底の国に至れよと  いと厳かに宣り給ふ
 千万無量の悲しみを  胸に湛へて父神は
 日の若宮にかへりまし  神素盞嗚の大神は
 姉大神とあれませる  厳の御霊の大日婁女
 天照神の御前に  此の世の名残を告げむとて
 上らせ給へば山河は  一度に動み地は揺り
 八十の枉津の叫ぶ声  天にまします大神の
 御許に高く響きけり  天照します大神は
 此有様をみそなはし  弟神の来ませるは
 必ず汚き心もて  吾神国を奪はむと
 攻め寄せたるに間違ひなし  備へせよやと八百万
 神を集へて剣太刀  弓矢を飾り堅庭に
 弓腹振り立て雄猛びし  待ち問ひ給へば素盞嗚の
 瑞の御霊の大神は  言葉静に答へらく
 我は汚き心なし  父大神の御言以て
 母の御国に行かむとす  いとも親しき我姉に
 只一言の暇乞ひ  告げむが為に上りしと
 云はせも果てず姉神は  いと厳かに宣らすやう
 汝の心の清きこと  今この場にて証せむ
 云ひつつ弟素盞嗚の  神の佩かせる御剣を
 御手に執らせつ安河を  中に隔てて誓約ます
 この神業に素盞嗚の  神の尊は瑞御霊
 清明無垢の御精神  いと明かになりにけり
 神素盞嗚の大神は  姉のまかせる美須麻琉の
 玉を御手に受取りて  天の真名井に振り濺ぎ
 奴那止母母由良に取由良し  狭嚼みに咬て吹き棄つる
 伊吹の狭霧に五御魂  現はれませしぞ畏けれ
 姉大神の御心は  初めて疑ひ晴れぬれど
 天津神等国津神  容易に心治まらず
 高天原は忽ちに  いと騒がしくなりければ
 姉大神は驚きて  天の岩戸の奥深く
 御姿かくし給ひけり  六合忽ち暗黒と
 なりて悪神横行し  大蛇曲霊のおとなひは
 狭蠅の如く充ち沸きぬ  ここに神々寄り集ひ
 岩戸の前に音楽を  奏でまつりて太祝詞
 宣らせ給へば大神は  再び此世にあれまして
 六合ここに明け渡り  栄光の御代となり初めぬ
 斯くもかしこき騒ぎをば  始めし神の罪科を
 神素盞嗚の大神に  千座の置戸を負はせつつ
 高天原より神退ひ  退ひ給ひし歎てさよ
 天地一時は明けく  いと穏かに治まりし
 如く表面は見えつれど  豊葦原の国々は
 魔神の健び猛くして  再び修羅の八巷と
 なり変りたる惨状を  見るに忍びず瑞御霊
 国武彦と相共に  三五教を開きまし
 深山の奥の時鳥  八千八声の血を絞り
 この土の上に安らけき  五六七の御代を建設し
 八岐大蛇や醜神を  生言霊に言向けて
 姉の御神に奉り  世の災を除かむと
 コーカス山やウブスナの  山の尾の上に神館
 見立て給ひて御教を  開き給ひし尊さよ
 八岐大蛇の分霊  かかりて此世を乱し行く
 ハルナの都の悪神を  先づ第一に言向けて
 此世の枉を払はむと  心も清き宣伝使
 数多派遣し給ひしが  瑞の御霊の御娘
 五十子の姫の夫とます  玉国別の音彦に
 心の空も真純彦  教を伝ふる三千彦や
 伊太彦司を添へ玉ひ  ハルナの都に遣はして
 神の恵を人草の  身魂に照らし給はむと
 任け給ひしぞ尊けれ。
    ○
 玉国別の宣伝使  三人の司と諸共に
 河鹿峠を打渡り  懐谷の山猿に
 苦しみ乍ら神力に  守られ祠の神の森
 とどまり病を養ひつ  珍の宮居を建て終り
 祝詞の声も勇ましく  御前を立ちて山河を
 渡り漸くテルモンの  館に入りてデビス姫
 親と妹との危難をば  救ひて神の御名を挙げ
 デビスの姫を三千彦の  妻と定めてテルモンの
 湖水を渡り種々の  珍の神業なし遂げて
 アヅモス山のバーチルが  館に立ち寄りアヅモスの
 山に隠れしタクシャカの  竜王始め妻神の
 サーガラ竜王救ひつつ  夜光の玉や如意宝珠
 竜王の手より受取りて  真澄の空の夏の道
 草鞋に足をすり乍ら  伊太彦デビス四柱の
 御供と共にエルサレム  聖地を指して進み行く
 日も黄昏れて道の辺の  祠の前に立寄れば
 思ひも寄らぬ法螺の貝  鬼春別の治道居士
 比丘の司に廻り会ひ  ここに一行六人は
 スダルマ山の山麓を  右に眺めて辿りつつ
 声も涼しき宣伝歌  四辺の山河轟かし
 空気を清めて進み行く。
(大正一二・五・一八 旧四・三 於竜宮館 北村隆光録)
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