伊太彦、カークス、ベースの三人はスーラヤ湖の湖辺の漁村に出た。竜王がいるスーラヤ島に渡る舟を探して訪ね歩いた。船頭はみな出払っており、老夫婦の親切によって宿泊して舟を待つことになった。
伊太彦はスダルマ山の麓で神懸状態になってからにわかに若々しく美しくなっていた。これは木花姫命の御魂が伊太彦に大事業を果たさせるべく、御守護になっていたからであった。しかし伊太彦当人はまったくそのことに気づいていなかった。
老夫婦もカークス、ベースも、伊太彦がなんとなく威厳が備わっているので下にもおかず親切にする。伊太彦は別亭に案内されてそこで休むことになった。
老夫婦には年若い兄妹があった。兄のアスマガルダは船に乗って漁に出ており、家には妹のブラヷーダがいた。
深夜に老夫婦の娘ブラヷーダが伊太彦の寝所にやってきた。ブラヷーダは三五教の神のお告げがあり、伊太彦が夫になる男だと告げたという。伊太彦は返事に困り、ブラヷーダと問答しながら夜を明かした。