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文献名1霊界物語 第65巻 山河草木 辰の巻
文献名2第2篇 地異転変よみ(新仮名遣い)ちいてんぺん
文献名3第11章 大笑裡〔1667〕よみ(新仮名遣い)だいしょうり
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日----
あらすじ
主な人物 舞台 口述日1923(大正12)年07月16日(旧06月3日) 口述場所祥雲閣 筆録者加藤明子 校正日 校正場所 初版発行日1926(大正15)年4月14日 愛善世界社版124頁 八幡書店版第11輯 655頁 修補版 校定版130頁 普及版59頁 初版 ページ備考
OBC rm6511
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本文  ヤク、エールの両人は、バット、カークス、ベース三人を、デビス姫を幽閉してある牢獄に打ち込み、治道居士、デビス姫、ブラヷーダ姫をそつと牢獄の外に引き出し、暗夜を幸ひ人目にかからぬ堅牢な一室に、茶やパンを与へて休ませて置き、セールの居間に進み入り、
ヤク『もし親分様、御命令通り、ブラヷーダと治道居士を、デビスの牢獄へ放り込んで置きました。さうして治道居士は身動きが出来ない所迄、がんじ搦に縛つて置きましたから、もはや安心で厶います』
セール『ヤア、ヤク、エールの両人御苦労だつた。そんなら是から、俺も見に往かうかなア』
ヤク『アノ旦那様、二人の美人が仰有るのには、旦那様と其他四五人の上役許り立ち会つて貰ひたいとの事です。そして顔が見えると嫌ですから、燈火をつけないで、見聞いや、聴聞して欲しいとの事です』
エール『サア旦那様、早くお越を願ひます』
セール『ヨシヨシ、そんなら小頭許り列席さしたらよからう。牢獄の外で様子を聞く事にせう』
と五人の小頭を従へ、エール、ヤクも共に牢獄の外に八人づらつと並んで、中の様子を考へて居る。カークスは、デビス姫の声色をつかつて、
カークス『ヤア其方は、恨み重なる、憎さも憎き治道居士であらうがな。天命逃れず此牢獄に連れ込まれ、繊弱き女に仇を打たれるとは、さてもさても不便な奴だ。これも前世の因縁と諦めたがよからうぞや』
 バットは治道居士の声色を使つて、
バット『アハヽヽヽ。猪口才千万な身の程知らず奴が、俺を何と心得て居る。何程高手小手に縛たればとて、これ程のひよろひよろ縄、打ち切るに何の手間暇がかからうぞ。下らぬ事を致して、後悔するな。吾こそはバラモン軍に於て、英雄豪傑の仇名を取つた鬼春別の中将だ。三千人の軍隊を三寸の舌端を以て指揮し来つた某、今は三五教の比丘となり、一蓑一笠の修験者となりたればとて、昔取つたる杵柄の、未だに残る腕の冴え、見事指一本でも触るなら、サア、触て見よ』
カークス『ホヽヽヽヽ。此期に及んで、何の繰言、もはや叶はぬ……日頃のデビスが恨み、サア一刀浴びて見よ。これブラヷーダさま、お前も夫の仇ぢやないか。サア妾と両方から両方の耳を、滅多切に斬り落しませう』
 ベースはブラヷーダの仮声を使ひ、
ベース『姉上様の仰せ迄もなく、此恨を晴らさで置きませうか。磐石をもつて卵をわるが如き此場合、これも全くセール親分さまの御同情の致す所、サア鬼春別の治道居士、たとへ汝は三軍を指揮した勇将たりとも、も早かうなつては身動きもなるまい。繊弱き女の腕に満身の恨を込めたこの刃、覚悟をせよ。サア姉上様、一、二、三でやりませう。貴女は左の耳、私は右の耳を……ホヽヽヽまあ心地よき事だなア、一、二、三つ』
バット『エヽヽ痛いわい。耳がチヽ千切れるぢやないか。血が出るぢやないか。ウン、アヽい痛いとは申さぬ。俺も男だ、ウヽヽヽウン』
カークス『痛いであらう。痛いやうに斬つたのだ。血が出るのはあたりまへぢや。ても扨ても気持のよい事だなア』
ベース『これや鬼春別、此ブラヷーダが恨の刃、些とは痛からう。思ひ知つたであらうのう』
バット『いや早誠にもつて痛く厶らぬ事はないわい。エヘヽヽヽ』
カークス『はて頑固い、此でもか。いやこれでもか。(男の声)こーれでもかー』
と思はず知らず地声を出して了つた。外に聞いて居たセールは驚いて、
セール『オイ、デビス姫、何と云ふ太い声を出すのだ。まるで男だないか』
カークス『何だか知りませぬが、あんな声が出たのですよ。私はいつも神懸を致しますから、大方大天狗が憑つて手伝ふてくれたので厶いませう…(男声)デビス姫は虎熊山の大天狗が憑つて守護致して居るぞよ。セール決して疑ふ事はならぬぞよ』
セール『ハイ、決して疑ひませぬ』
ベース『これや治道居士とやら、夫の仇サア胸をついてやらう。些とは痛うても辛棒せよ。明日の朝迄嬲殺し……てもさても愉快の事だわい。オホヽヽヽ。あまりをかしうて、シシ芝居が出来ぬワイのう』
バット『オイ、ベース。ではないブラヷーダ姫、左様な事を申すと治道居士も何だか張り合が無いわい。サア早く思ふ存分にしたがよからう』
ベース『汝の言葉を待つ迄もなく腹をえぐつてやらう』
バット『アイタヽヽヽター、暫く暫くシシ暫くお待ち下さりませう』
カークス『此期に及んで何の躊躇、血迷ふたか、ヤ、おくれたか……バット……いやいや、治道居士……』
バット『アイヤ、血迷ひもせぬ、後れもせぬ。某事はビクトリ山の麓に於て、治国別が部下の者共に駆難まされ、此恨を報いむと、テルモン山の麓に来る折、是なるデビス姫、ブラヷーダ姫の両人に出会ひ、仇の端とつけ覗ふ中、ブラヷーダの夫伊太彦なるもの、横合より槍のキツ先を扱きながら攻め来る、シヤー猪口才なと渡り戦ふ。上段下段某が力に敵しかね、伊太彦は其場に斃り、手下のもの共ちりぢりバット花を嵐のさそひし如く、逃げ往く可笑しさ、ハヽヽヽ。もうかうなる上は破れかぶれ、どうなりと勝手に致せ、たとへ此場に死するとも、魂魄此土に留まり、汝の素首引抜かむ。ヒウドロドロドロ』
カークス『(男の声)オイ、そんないやらしい事云ふて呉れない、芝居が出来ぬぢやないか。(女の声)モシモシセール様、妾には大天狗がうつつて居りますから、時々ど拍子の抜けた声を出します。何卒了見して(雷声)下さいませ』
と雷の如くに後の一語を出す。セールは二人の女を信じ切つて居るので、黙言つて二人の言葉を聞いて居る。五人の小頭は合点が往かず、腑に落ちぬと思ひながら、頭が黙言つて居るので、不審の雲に包まれながら、息をこらして聞いて居た。
ベール『姉さま、もう是位で一思ひにやつてやりませうか』
カークス『さう致しませう。これや治道居士、艮を刺してやらう。喉はどこだ』
と云ひながら、暗がりで喉のあたりを探つた。バットはこそばゆくなつて思はず知らずフヽヽヽヽと吹き出した。
カークス『おのれ頑固い……デビス姫の腕の冴え、食つて見よー』
 『キヤアツ』と云つた切りバタバタバタと音をさせ、一言も発しなくなつた。
カークス『ホヽヽヽホー、日頃の恨、妹が夫の仇、思ひ知つたか南無頓生菩提治道居士ー』
ベース『夫の仇、思ひ知つたであらうなア。南無バラモン帝釈自在天、有難く御神徳を感謝致します』
バット『ヤア恨めしやなア。此治道居士は思はぬ不覚を取り、小盗人に高手小手に縛られ、身動きならぬやうにせられ、三人の女に酷まれ、今は世になき亡骸の、恨は募る虎熊の山、汝許りならず、此岩窟の大盗人、セールを初め其他の奴原、生首引きぬき、仇を討たいでおかうか、残念やな、ク、口惜やな』
 セールは首筋元からゾクゾクと寒気がしだし、真蒼の顔をし、暗がりに慄ひながら、
セール『コヽヽコラ治道居士とやら、締めたがよからうぞ。何と云つても、もうかうなつては此世に縁がないのだから覚悟をして神妙に成仏せい。南無頓生菩提治道居士…』
カークス『もしセール様、おかげをもつて本望を遂げました。どうぞ昼よりも明く灯をつけて下さいませ』
 セールは慄ひながら、
セール『アヽ結構々々。オイ皆の者灯の用意だ』
 『ハイ』と答へてヤク、エールの両人は蝋燭を点じて来た。セール外五人の小頭はびつくり腰を抜かし地べたに平太つて慄うて居る。蝋燭の火は幾つともなく点ぜられた。よくよく見れば、治道居士、デビス姫、ブラヷーダはニコニコしながらセールの前に立つて居る。牢獄の中から、カークスは相変らず、デビス姫の声色にて、
カークス『どうぞ旦那様、開けて下さいませ。本望を遂げまして厶います』
ベース『もし旦那様、早く此の戸をあけて下さい。幽霊が恐ろしう厶います』
 外のデビス姫は初めて口を開き、
デビス『もしセール様、私は本当のデビス姫で厶いますよ。牢獄に居るのは私の替玉、秘密をカークスと云ふ男で厶います』
セール『ナヽ何と、お前は又どうして出たのか』
デビス『ホヽヽヽ貴方もいい頓馬ですねえ』
ブラヷーダ『もしセールさま、私はブラヷーダで厶います。永らく御厄介に預かりましたネエ』
セール『何、お前はいつの間に出たのだ』
ブラヷーダ『ハイ、斯うなつたら何も彼も申上げますが、ヤク、エール様のお取計らひによつて、私は無事に安全地帯にのがれ、ベースさまを替玉に使つたので厶いますわ。ホヽヽヽ』
治道『拙者は鬼春別将軍治道居士で厶る。牢獄の中にて殺されたりと見しは汝が乾児たりしバットであるぞよ。オイ、バット、もうよい。ヤア、エール、戸口を明けてやれ』
 ハイと答へてエールは忽ち戸口をパツと開いた。三人はニコニコしながら入口の窓を潜つて出て来た。セールを初め五人の小頭は早腰を抜かし、口をポカンと明けて、真蒼な顔をしてゐる。かかる所へ暗を通して聞え来る宣伝歌の声、
『神が表に現はれて  善と悪とを立分ける
 此世を作りし神直日  心も広き大直日
 唯何事も人の世は  直日に見直せ聞直せ
 曲の過ち宣り直せ  朝日は照るとも曇るとも
 月は盈つとも虧るとも  仮令大地は沈むとも
 誠の力は世を救ふ  三五教の宣伝使
 神の教の伊太彦が  此岩窟に囚はれし
 デビスの姫やブラヷーダ  二人の珍の御使を
 救はむためにハールをば  先頭に立ててスタスタと
 登りて茲に現はれぬ  鬼春別の治道居士
 定めて無事におはすらむ  これの岩窟の頭分
 セールは今や何処に居る  一時も早く出迎へて
 吾言霊の神力に  心を直し霊清め
 誠の道に帰れかし  吾に夜光の御玉あり
 神は吾等を守りつつ  虎熊山の征伐に
 早くも向はせたまひけり  あゝ惟神々々
 御霊幸倍ましませよ』
と謡ひ乍ら此場にやつて来る。三度吃驚のセールは、地上に頭をくつつけ涙をたらして慄ひ居る。是よりセールを初め、其他の盗人共は何れも悪事の恐るべきを悟り、心の底より悔改め、三五教に帰順し、向後は決して悪事をなさざる事を誓ひ、打ち揃ひ三五の大神の御名を唱へ、改悛の意を表はした。茲に治道居士及び伊太彦は又もやブラヷーダ、デビス姫と袂を分ち、思ひ思ひにエルサレムを指して進む事とした。セールは虎熊山の岩窟に火を放ち、数多の乾児と共に悔い改めて此場を立ち出で、各自に自が郷里に帰る事となつた。ハールは伊太彦に許されて、エルサレム迄従ひ往く事となつた。あゝ惟神霊幸倍坐世。
(大正一二・七・一六 旧六・三 於祥雲閣 加藤明子録)
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【霊界物語誕生百周年】
大正10年(1921年)10月18日に王仁三郎が霊界物語の著述を開始してから
令和3年(2021年)10月18日で百年目を迎えます。
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