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文献名1霊界物語 第65巻 山河草木 辰の巻
文献名2第3篇 虎熊惨状よみ(新仮名遣い)とらくまさんじょう
文献名3第15章 饅頭塚〔1671〕よみ(新仮名遣い)まんじゅうづか
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日----
あらすじ
主な人物 舞台 口述日1923(大正12)年07月16日(旧06月3日) 口述場所祥雲閣 筆録者加藤明子 校正日 校正場所 初版発行日1926(大正15)年4月14日 愛善世界社版173頁 八幡書店版第11輯 672頁 修補版 校定版181頁 普及版80頁 初版 ページ備考
OBC rm6515
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本文 ブラヷーダ姫『吾背の君に従ひて  父と母とに生別れ
 スーラヤ湖水を打ち渡り  エルの港に安着し
 初稚姫の神人に  誡められて唯一人
 恋しき夫に生別れ  歩みもなれぬ旅の空
 草鞋に足を喰はれつつ  夜を日についで山を越え
 幾多の谷をうち渡り  ハルセイ湖の畔まで
 来かかる折しも盗人の  群になんなく捉へられ
 名もおそろしき虎熊の  曲の岩窟に連れ往かれ
 昼尚ほ暗き岩窟の  牢獄の中に囚はれて
 吾身の不運をかこつ折  隣の牢獄にデビス姫
 囚はれ居ますと悟りしゆ  気の毒なりと思へども
 何とはなしに気も勇み  地獄で仏にあひしごと
 心は俄に輝きぬ  かかる所へ治道居士
 夢寐にも忘れぬ伊太彦の  吾背の君が現はれて
 醜の身魂をことごとく  生言霊にまつろはし
 妾二人の命をば  救ひたまひて一言の
 情の言葉もかけずして  再び神の大道に
 進ませたまひし雄々しさよ  又もや妾は唯一人
 神の教を白雲の  国のあなたに伝へむと
 炎熱はげしき大野原  虻には刺され土蜂に
 脅かされて漸うに  セルの山辺に来て見れば
 俄に四辺暗澹と  不快の空気に包まれぬ
 唯事ならじと神の御名  ただ一心に唱へつつ
 千花の香る山路を  進み来れる折柄に
 大地は俄に震動し  後に聞ゆる爆音は
 獅子狼か虎熊か  但しは大蛇の襲来か
 百千万の雷の  一度に落ちし如くなる
 其音響に振りかへり  空を仰いで眺むれば
 豈計らむや昨日まで  醜の曲津に捉はれて
 苦しみ居たる思出の  印象深き雲の山
 虎熊岳の爆発と  悟りし時の恐ろしさ
 身の毛はよだち足はなへ  進み兼ねたる女気の
 何と詮方泣く涙  止めかねたる許りなり
 漸く心も安らぎて  胸の動悸も鎮静し
 足も漸くすこやかに  なりし吾身の嬉しさよ
 此世に神の居まさずば  此恐ろしき爆音に
 妾は清き玉の緒の  命も消えて失せましを
 尊き神の御恵  仰ぐも畏き次第なり
 あゝ惟神々々  御霊幸倍ましませよ
 朝日は照るとも曇るとも  月は盈つとも虧くるとも
 仮令夫に離るとも  真と神の御教は
 幾千代迄も離れまじ  さはさりながら皇神よ
 吾背の君の行末を  やすく守らせたまひつつ
 ハルナの都の空高く  月の顔花の色
 夫婦の再会恙なく  許させたまへ大御神
 一重に願ひ奉る  あゝ惟神々々
 神の教へぞ尊けれ  神の恵ぞ有難き』
 斯かる所へ足をチガチガさせた一匹の野狐現はれ来り、ブラヷーダの裾を喰はへて無理無体に草野の中に引張らうとする。ブラヷーダは驚いて逃げむとすれど、野狐は執念深く裾を喰へ如何に藻掻いても放さないので、ブラヷーダは止むを得ず、野狐に引かるるまま、身の丈を没する草野の中へ従いて往く。野狐は原野の中に饅頭形になつて居る丘の傍の、可なり大きな穴に引張り込んで了つた。暫くすると山岳も崩るる許りの大音響が聞えた。これは、虎熊山の爆発によつて、山の神として古くより身を潜めて、世界に邪気を送りつつあつた八大竜王の一、マナスインナーガラシヤーであつた。此竜王は身の長さ五百万丈に余り、其太さもそれに適当し、三百万丈の恐ろしき竜神である。身体長大にして、九天の上に昇り、或は須弥仙を廻ること七廻りと称せられ、よく大海の水を止めて、海中に山を湧出させ、或は島を沈没させると云ふ恐ろしき悪竜である。今や竜神は、ブラヷーダが隠れて居る野狐の穴の上を、身体の一部が通つて居るのである。俄に穴の中がパツと暗くなつたと思へば、何とも云へぬ腥臭い息が鼻を襲ふて来た。野狐は穴の口にうづくまつて姫の安全を守つて居た。俄に再び穴の中が明くなつたと思へば、野狐は忽ち又ブラヷーダの裾を喰へて外へ引き出さうとした。ブラヷーダは引かるるままに外に出て見れば、四辺の草木は皆倒れ目も届かぬ許りの広い草の溝が穿たれたやうになつて居る。ブラヷーダは野狐に向ひ感謝の意を表して、
ブラヷ『吾命助けたまひし汝が命
  其御恵をいつか忘れむ。

 汝なくば吾はあへなく身失せなむ
  命の親の野狐の生神』

と歌ふや、野狐は尾を振り、首を振り、喜びの色を現はし、再び元の山道へと送つて来た。
ブラヷーダ姫『いざさらば恋しき君に別れなむ
  やすくましませ千代に八千代に』

 野狐は再び草原に姿を隠した。ブラヷーダは後振りかへり、天に冲する虎熊山の噴煙を眺めて、
ブラヷ『仰ぎ見れば虎熊山の空高く
  おほひけるかな醜の黒雲。

 天津日もかくれて見えぬ世の中に
  醜のまがみの独り荒べる。

 世の人の生血を絞る曲こそは
  虎熊山に住みしなるらむ。

 皇神の怒りに触れて高山は
  爆発しけむさても恐ろし。

 人々の恨を集めて噴火口
  吐き出す煙は空を覆へる。

 西東南も北も黒雲に
  包まれてけり今日の大空。

 いづみたま瑞の御霊のなかりせば
  此黒雲を如何に払はむ。

 荒鉄の地に洪水氾濫し
  空に黒雲立ちふさぎける。

 黒雲を伊吹払ひて紅の
  光をみする厳の大神。

 濁流をながし清めて神国の
  昔にかへす瑞の大神。

 火と水の恵によりて地の上も
  いと安らけく開けゆくらむ。

 日はかくれ月は山辺に戦きて
  星さへ見えぬ御世ぞうたてき。

 大空も谷の底ひもおしなべて
  雲霧ふさぐ今の世の中。

 厳御霊瑞の御霊のなかりせば
  砕けたる世を如何に固めむ。

 ブラヷーダ吾はかよわき身なれども
  瑞の御霊に従ひゆかむ。

 高山に生ふる諸木は荒風に
  揉まれて柱になるものはなし。

 足曳の深山の奥の谷底に
  生ふる大木ぞ世の柱なる。

 皇神の作りたまひし世の中は
  神より外に頼るべきなし。

 よしやよし人は高きに登るとも
  いつかはおちむ猿の木登り。

 千丈の滝よりおつる水音は
  ただ轟々と底にとどろく。

 飛ぶ鳥も虎熊山の震ひてゆ
  征矢の如くに地におちにけり』

 かく歌ひてブラヷーダ姫は又もや小声に宣伝歌を謡ひ乍ら、杖を力に、トボトボと雑草茂る小径をわけて、西へ西へと進み行く。
    ○
 霞の奥雲のあなたに皇神の
  黄金の宮の見ゆる嬉しさ。

(大正一二・七・一六 旧六・三 於祥雲閣 加藤明子録)
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