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文献名1霊界物語 第66巻 山河草木 巳の巻
文献名2第3篇 異燭獣虚よみ(新仮名遣い)いしょくじゅうきょ
文献名3第12章 恋の暗路〔1694〕よみ(新仮名遣い)こいのやみじ
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2018-04-18 15:53:58
あらすじ
主な人物【セ】サンダー(ジャンクの二男)、シーゴー坊、ショール、コリ【場】-【名】サンダーの父(コマの村の里庄ジャンク)、サンダーの母、スガコ姫、玄真坊、ヨリコ姫 舞台コマの村の里庄の家のサンダーの部屋、門口、オーラ山 口述日1924(大正13)年12月16日(旧11月20日) 口述場所祥雲閣 筆録者北村隆光 校正日 校正場所 初版発行日1926(大正15)年6月29日 愛善世界社版165頁 八幡書店版第11輯 791頁 修補版 校定版165頁 普及版67頁 初版 ページ備考
OBC rm6612
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本文  コマの村の里庄が二男サンダーは許嫁のジャンクの娘スガコの行衛不明となりしより怏々として楽しまず、日夜煩悶苦悩の結果、神経病を起して一室に閉ぢ籠り、人に会ふのを嫌ふやうになつた。両親はサンダーの憂欝に沈める状態を見ていろいろに心を苦め、医者よ、薬よ、修験者よと騒ぎまはれども、サンダーは一切の医薬を排し且修験者の祈祷を嫌ひ、一室に潜んで時々自分の髪の毛を毟つたり耳を掻いたり、体中を自分の爪で掻き拗り、半狂乱の如くになつて居た。さうして時々怪しげな声で述懐をのべて居る。
サンダー『ジャンクの家に生れたる  トルマン国に名も高き
 美人と聞えしスガコさま  結ぶの神の引合せ
 いつかは合うて妹と背の  赤き縁を結び昆布
 苦労するめの夫婦ぞと  楽しみ待つた甲斐もなく
 世は味気なき諸行無常  今に行衛も白雲の
 何処の果にましますか  柳の眉毛涼しき目許
 つんもりしたる鼻貌  紅の唇、花の口
 耳にかけたる七宝や  時々光る夜光石
 髪は烏の濡羽色  起居物腰しとやかに
 棚機姫の大空ゆ  天降りましたる風情にて
 此世に人と生れまし  吾恋妻となり玉ふ
 間近き空に果敢なくも  秋の木の葉と散り果てて
 何処のいづこに在しますか  但しは猛き獣の
 餌食とならせ玉ひしか  思へば思へば味気なき
 憂世に残されいつ迄も  長らふ事の恥しさ
 吾等も男の子の端なれば  恋しき妻を奪はれて
 いかで此儘泣き止まむ  吾玉の緒のある限り
 雲を分けても探し出し  容貌美はしき姫の顔
 再びまみえ村肝の  心の奥を語り合ひ
 互に手に手を取り交し  此世を広く楽もしく
 暮さむものと思ふより  頭は痛み胸つかへ
 日月空に輝けど  いとも暗けき心地して
 闇夜を渡る如くなり  あゝ如何にせむ千秋の
 怨はつきじトルマンの  国に塞がる雲の空
 空行く雁の心しあらば  恋しき姫の在所をば
 尋ね求めて吾恋ふる  心を伝へ呉れよかし
 儘ならぬ世と云ひ乍ら  神や仏に見放され
 かかる憂目を味あふか  親の罪とは誰が云ふ
 誠の神は親々の  重き罪をば生みの子の
 身魂に迄も厳かに  加へますべき道理なし
 あゝ惟神々々  天地の間に神まさば
 吾胸先の苦しさを  いと速かに科戸辺の
 風に払はせ玉へかし  朝な夕なに姫の身の
 いと安かれと真心を  捧げて祈り奉る
 捧げて祈り奉る』
 かく歌ひ了り、サンダーは力なげに気晴らしの為とて郊外に出で往来の人を眺めてゐた。サンダーは国内きつての美男子で白面の青年、常に女装を好み、何人も相会ふ人は之を男子と認むるものはなき程の美貌を備へてゐた。彼は門口に立つて空行く雲をポカンとして眺めて居ると、そこへ錫杖をガチヤンガチヤンと音させ乍ら現はれ来る白髪異様の修験者、彼が美貌を見て、その前に錫杖を止め、顔色を和げ乍ら、
修験者『これこれお嬢さま、貴女は顔色が悪いやうだが、何か心配事が厶るかな。若い娘に、よくあるラブと云ふ病ではなからうか。それならばオーラ山に現はれ玉ふ救世主の許に参拝し御祈願を籠めなされ。必ず霊験がありますよ。拙僧はオーラ山の活神玄真坊様の高弟でシーゴー坊と申すもの、人助けのために各地を遍歴致す修験者で厶る。いかなる煩悶苦悩も、オーラ山の玄真坊さまに伺へば忽ち煙散霧消し、平和と幸福の太陽が、貴方の心天に輝くであらう。帰妙頂礼神道加持謹上再拝』
と厳かに呪文を唱へる。サンダーは今迄修験者の祈祷を両親から勧められ、又出入の者からも勧められてゐたが、チツトも気が向かなかつた。然るに今目のあたり威儀厳然たる修験者に会ひ、どこともなく頼もしき言葉に釣り込まれ、少しく心が動き出した。
サンダー『もし、修験者様、私はあるにあられぬ煩悶苦悩の淵に沈んで居ります。もはや此世が嫌になり、一層天国の旅をなさむかと只今思案にくれてゐた所で厶りますが、いかなる煩悶苦悩も玄真坊と云ふ活神様に願へばお助け下さるでせうか』
シーゴー『貴方は、まだお聞きなさらぬか。御霊験の顕著なること日月の如く、オーラ山に向つて参拝する善男善女は蟻の甘きに集ふ如く、明六つより午後の七つ時までは引もきらぬ群集、各自神徳を頂いて帰りますよ。中には妻を失ひ、娘を失ひいろいろ心配して居られた方が、玄真坊の天眼力によつて、所在分り歓喜の涙に浴して居られる方も沢山厶ります。まづ一度お詣りなさいませ』
サンダー『あらたかな神様がオーラ山に現れたといふ事はチヨコチヨコ承つて居ますが、偽救主、偽キリストが雨後の筍の如く現れる時節ですから、又その種類と存じ、僕共の忠告をも聞かず今迄疎んじて居りましたが、貴方のお話を聞いてどうやら心が動き出して来ました。然らば近い中、気分のよい日を考へて参拝致すで厶りませう』
シーゴー『や、それは結構です、屹度後利益がありますよ。一日も早くお詣りなさいませ』
と云ひ乍ら、素知らぬ顔して又もや錫杖をガチヤつかせ乍ら遠く彼方へ進み行く。
 サンダーは暗夜に一縷の光明を得たる如き心地して、その日の夕暮よりソツと吾家を抜け出でオーラ山の大杉の星の光を目あてとし、道々歌を歌ひ乍ら夜風に吹かれつつトボトボと進み行くのであつた。
サンダー『天津御空は澄み渡り  草より出でし日の神は
 又もや草に入りまして  あとに輝く望の月
 星の光は疎にて  気は澄み渡る大野原
 吹き来る風に百草の  そよぎの音も騒がしく
 犬の泣き声かしましく  彼方此方の村々ゆ
 聞え来るぞ恐ろしき  スガコの姫の所在をば
 探ねむものと足乳根の  父と母との目を忍び
 夜に紛れて一人旅  淋しき野路も誰故ぞ
 生命に代へて愛したる  スガコの君があればこそ
 スガコの姫よスガコさま  お前は何処の空にゐる
 無言霊話があるならば  ここに居ますと一言の
 音信吾に送りませ  吾魂は夜な夜なに
 汝が所在を探ねむと  中有に迷へど限りなき
 此地の上の弥広さ  何の手掛りなく計り
 涙に袖を搾りつつ  夜は淋しき一人寝の
 枕に通ふ虫の音も  汝が命の囁きと
 思ひ迷ふぞ果敢なけれ  此世に神の在ますなら
 恋し焦れし二人仲  結ぶの神の引合せ
 必ず会はせ給ふとは  思ひ慰めゐるなれど
 心も暗き吾思ひ  汲ませ給へよスガコ姫
 呼べど叫べど荒風の  中を遮る悲しさに
 吾真心も汝が耳に  直に入らぬが口惜しや
 夢になりとも会はま欲しと  思ひ寝れば夢に入り
 恋しき汝が訪ひの  声かと見れば雨の音
 風の野原を渡る声  汝を松虫、鈴虫や
 実にもはかなき蓑虫の  日に日に細る霜の下
 実にも淋しき吾心根を  汲みとりませよスガコ姫
 汝に会はむと朝夕に  思ふ恋路の募り来て
 今は全く病気の  ままならぬ身となりにけり
 さはさり乍ら汝思ふ  恋の力の不思議なる
 病躯を起して野路山路  区別白露分けて行く
 オーラの山の生神の  稜威を受けて妹と背の
 汝に会はむが楽みに  冷たき夜風を浴び乍ら
 露の芝草踏みしめて  心の空の明りをば
 杖や力と頼みつつ  吾はイソイソ上り行く
 吾はイソイソ上り行く』
 サンダーはトボトボと夜露滴る高原を、オーラ山目あてに進みしが、途中に於てガラリと夜を明して了つた。身体綿の如く疲れ果て路傍の方形の岩に腰をかけ、息を休め遂には眠についた。音に名高き美青年、色は飽迄白く、玉の肌、衣を通して光るが如く眉涼しうして鼻筋通り、歯は象牙細工の如く白くして光沢あり、黒目勝の露を帯びたる目、誰が目にも女とより見えなかつた。大画伯の精根を凝らして成れる絵の中より抜け出て来た如き美人、四辺に芳香薫じ、音楽聞ゆるが如き思ひに満たされる。かかる美男子が女装したまま、頬杖をついて路傍の岩に腰打かけ眠つて居る其の風情は海棠の雨に萎るる如く、梅花の旭に匂へるが如く、一見人をして恍惚たらしめ、心魂をして宙に飛ばしむる如き光景である。
 そこへシーゴーの部下なる、ショール、コリ等は十七八名の手下を従へ、髯に露を浮かせ、尻切草鞋をパサつかせ乍ら此場に現はれ来り、サンダーの眠れる姿を見て夢か現か将又天女の降臨か。魔か女かとアツケにとられ、少時佇んでゐた。
 ショールは頻りに首を振り乍ら、左右の部下を顧み、
ショール『何と、綺麗なものだなア。オイ、まともから拝むと、目がマクマクするぢやないか。あれは果して人間だらうか、もし人間とすれば此間のやうに、何とか一芝居をして玄真坊様の岩窟に引張込まうぢやないか。さうすりやキツト御褒美に、又甘い酒でもふれまつて貰うと、ままだよ。なあコリ、貴様どう考へるか』
コリ『ウン全くだ』
ショール『何が全くだい。全くでは意味が分らぬぢやないか』
コリ『ウンウン何しろ全くだ。全く御免を蒙り度いわい。彼奴ア、キツト化衆だ。此世の中にあんな美人があらう筈がない、相手になるな。此間の美人だつて神徳高き玄真坊様が何程口説いてもたらしても、お挺にあはないのだもの。俺達のやうな小盗児連は、まづ相手にならぬ方がましだよ。いらはぬ神に祟なしだ。何時、尻尾を出すか知れない、サア逃げろ 逃げろ』
とがやがや立ち騒ぐ。此声にサンダーはフツト目を覚まし、四辺を見れば森の烏はカアカアと清く鳴き亘り、小鳥はチユンチユン ジヤンジヤンと鼓膜を揺がせる。サンダーはショール、コリの一隊に向ひ徐に口を開いて、
サンダー『もし、そこに居らるる方々、物をお尋ね致しますがオーラ山の修験者、玄真坊のお住居は何処で厶いますか。遠方から大杉を見当に参りましたが、麓にかかつてより目標を見失なひ、行手に悩んで居ります。どうか御案内下さいますまいか』
 ショールは此の声にやつと安心し、
ショール『ヤツパリ人間だ』
と小声に囁き乍ら、
ショール『ハイ、私は此辺をうろついてゐる泥棒で厶いますが、玄真坊様の処へ案内せよと仰有いますけど、私のやうな悪人は到底お側へも寄れませぬ。此間も玄真坊に鉄拳の雨にあひ、吾々一同はコリコリ致して居ります。のうコリ、痛かつたな。又もや、こんな処にうろついて居る所を玄真坊様に見付けられたならば、「これ貴様はあれほど戒めて居るのに、ショールコリもせず小盗児をやつてるか」と、いかいお目玉を頂いては睾丸が縮み上ります。此道をスツト一直線に三十町許りお上りになれば、そこが玄真坊様のお館です。分らな、暫く待つて下さい。もう半時もすれば沢山な参詣者がここを通りますよ。さうすれば一緒にお上りになれば御案内もいりますまい』
サンダー『泥棒が泥棒と名乗るのは今が聞初めだ。そんな正直な事で泥棒渡世が出来るのか』
ショール『ハイ、貴方に対してのみ、こんな正直な事を申したのです。隠したつて貴下のその眼孔には、直ぐ看破されますからな。大方お嬢さまはシーゴー様の修験者に聞いてお詣りになつたのでせう』
サンダー『あゝさうです。修験者が私の門前を通り、あらたかな神様があるから詣れと云つて下さつたので、とるものも取り敢へず夜の道を急いで、やつて来たのですよ』
ショール『男のやうな言葉扱もあり、女のやうな言葉扱もあり、私としては、お前さまの正体は分りませぬが、貴下はそんな事云つて吾々の行動を調べて居らつしやるのでせう。大親分のヨリコ姫女帝様でせうがな』
 サンダーは……女装をしてゐる事なり、ヤツパリ彼奴等は女と見て居る、今ヨリコ姫女帝と云ふたのは何か山賊の親分の名かも知れない。あゝ云ふ木端盗人は親分の顔を見る事の出来ないものだ。キツト数千の団体を抱へてゐる大親分だらう。此奴を一つ計略にかけ、疲れた足を歩むのを助かるため舁がして上つて見ようかな……と俄に大胆な心を起しワザとおチヨボ口をし乍ら、
サンダー『オホヽヽヽ、お前は妾の乾児と見えるな、お前の察し通りヨリコ姫女帝だよ。玄真坊さまのお側へ案内して呉れや。妾の体を大切に、荒男がよつて此阪道を舁き上げるのだよ。サア御褒美に之を与げよう』
と懐より小判をとり出し、ばらばらと大地に投げつけた、小盗児連は先を争うて拾ひ懐に捻ぢ込み、サンダーを大親分と思ひ、お手車に乗せて、きついきつい赤土の滑る坂道を汗をタラタラ流し乍ら大杉の下、玄真坊が所在へと送り行く。
(大正一三・一二・一六 旧一一・二〇 於祥雲閣 北村隆光録)
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