スダルマン太子は、城に帰ってより、スバール姫への激しい恋の思いに囚われていた。
アリナは太子の命を奉じ、密かにスバール姫を都へ迎えようと、再びタニグク山へとやってきた。
明け方、谷川の下流の森でシャカンナのかつての部下、山賊のハンナとタンヤが恋愛論を語り合っているのを立ち聞きする。
ハンナ:恋愛至上主義者。「恋愛なるものはあまりに神聖すぎて、かれこれと論議する事さえも出来ない」恋愛は「一種の感激」「人間乃至人生に対する、大きな自然に対する溜息」
タンヤ:倫理道徳主義者。「倫理の点を考慮して初めて神聖な恋愛とも言える」
タンヤとハンナは盗賊の相談を始める。二人はスバール姫をかどわかそうと決意し、シャカンナの隠れ家のほうへ進んでゆく。
アリナは親娘の危難を救おうと密かに二人の後をつけるが、追いつけずに見失ってしまう。