千草姫はキューバーの行方が依然としてわからないため、ますます逆上し、照国別、照公に残虐な扱いをするように獄卒に命じた。また、これまでの旧臣を殲滅しようと計ったりと、無道の行いがはなはだしくなってきた。
このさまを見て太子は、レール、マークに命じて、千草姫がハリマの森に参拝する所を襲って滅ぼそうと画策した。
レール、マークは千草姫を襲撃するが果たせず、捕縛されて牢獄に投げ込まれてしまった。牢獄で二人は、照国別、照公と出会う。
レール、マーク、照国別、照公の4人は、今の時勢を歌に歌って牢獄の時を過ごす。
と、そこへ一人の牢番がやってくる。実はその牢番は照国別の弟子、春公であった。春公は葵の沼で(第40巻第19章参照)師一行からはぐれた後、トルマン城下にやってきて、看守に身を変えて様子を探っていたところであった。
春公のおかげで、千草姫の通達も効をなさず、照国別たちは無事に過ごせることとなっていたのであった。