アリナは、玄真坊が左守シャカンナを兄弟分と呼び、自分の罪を認めようとしないのに困って、シャカンナ本人に相談にやってきた。
シャカンナは、3人の泥棒を内々に自分ひとりで取り調べることとなった。
シャカンナは、かつて自分が山賊をしていたことが、今回のことで明らかになってしまうのではないかとひそかに思い悩む
昔、政変で城を追われたシャカンナは、国政再興を夢見て、山賊となって力を蓄えようとした。しかし彼の悲願であった国政再興は、武力ではなく、娘のスバールが開明的な太子に見初められ、また自分を追放した政敵の息子=アリナの協力を得たことによって実現したのであった(第六十七巻第三篇から第六十八巻参照)。
シャカンナの前に引き出された3人は昔のことを並べ立て、無理難題をふっかけてシャカンナをゆする。
シャカンナは、昔の部下の有様に責任を感じ、金を与えて放免する。しかしその後すぐに、自分は遺書を残し、神前で切腹して果てた。
昔の義理によってしたこととはいえ、罪人を自分の一存で放免することは国法違反であり、その責任を取っての詰め腹であった。アリナは王・王妃に、シャカンナの遺書とともに事の顛末を報告したのであった。