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文献名1霊界物語 第73巻 天祥地瑞 子の巻
文献名2第1篇 紫微天界よみ(新仮名遣い)しびてんかい
文献名3第11章 紫微の宮司〔1842〕よみ(新仮名遣い)しびのみやつかさ
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ天之道立の神(天の道立の神、天の道立男の神) データ凡例 データ最終更新日2018-10-28 17:48:32
あらすじ
天之道立の神は、主の大神の命によって紫天界の西の宮居の神司となった。そして、あまねく神人の強化に専念し、天津誠の教えを説き諭した。

一方、太元顕津男の神は、東の高地秀の宮の神司となり、右手に剣、左手に鏡をかざし、霊界における霊魂・物質両面の守護に任じられた。

天之道立の神は個別の神々の誠について教え、太元顕津男の神は宇宙万有に対しての教化をつかさどっていた。天之道立の教えは平易にして耳に入りやすいものであったが、太元顕津男の教えは、範囲が広大で小事に関わらないため理解しがたく、結果、配下の神々の中からも反抗者が現れてきた。

この状況を顕津男の神は嘆いて三十一文字の歌を歌った。

曰く、厳霊である西の宮(天之道立)の教えは凡神の耳に入りやすく、東の宮(顕津男)の教えは悟り難い。

自分が八十柱の比女神を従えていることを、国魂神の神業を理解しない凡神たちは非難している。

それどころか、自分の身近にいる八柱の比女神の中にも、主の神の経綸を知らない者がいる。

罪汚れのないと思われた天国にも、怪しいことに醜神が現れ出した。私は惟神真言の道を行き、邪神の荒ぶる世に勝とう。
主な人物 舞台 口述日1933(昭和8)年10月10日(旧08月21日) 口述場所水明閣 筆録者加藤明子 校正日 校正場所 初版発行日1933(昭和8)年11月22日 愛善世界社版 八幡書店版第13輯 51頁 修補版 校定版73頁 普及版 初版 ページ備考
OBC rm7311
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本文  天の道立の神は茲に主の神の大神言をもちて、紫天界の西の宮居の神司となり、遍く神人の教化に専念し給ひ、天津誠の御教を𪫧怜に委曲に説き給ひ、太元顕津男の神は東の国なる高地秀の宮に神司として日夜奉仕し給ひ、右手に御剣をもたし左手に鏡をかざしつつ、霊界に於ける霊魂、物質両面の守護に任じ給ひたれば、其神業に於て大なる相違のおはす事はもとよりなり。如何に紫微天界と雖も清浄無垢にして至賢至明なる神人数多おはさざれば、其統制につきては、いたく神慮を難ませ給ひたり。
 天の道立の神は個神々々についての誠を教へ給ひ、太元顕津男の神は宇宙万有に対しての教化を司り給ひけるが、西の宮の教は意外に凡神の耳に入り易く、且つ誠を誠として認め得るに反して、東の宮の御教は範囲広大にして小事に関はらず、万有修理固成の守護なれば、いづれも凡神の耳に入り難く、遂には配下の神々の中よりも反抗者現れ来りて、顕津男の神をなやまし奉る事一再ならざりける。顕津男の神は表に個神の悟り得べき西の宮の教を唱導し、聰明なる神人に対しては天下経綸の大業を説き明したまへば、其苦心又一方ならざりき。
 顕津男の神は高地秀の峰に上り御代を歎きつつ、御声さへも湿らせて三十一文字の言霊を宣らせたまふ。其御歌。

『東の空より輝く天津陽も
  西に傾く神代なりにけり

 ふき荒ぶ醜の嵐をなごめむと
  幾年我はなやみたりしよ

 大神の神旨にそむくよしもなく
  泣きいさちつつ永久につとむる

 よしあしの真言のもとを白浪の
  漂ふ世こそ淋しかりけり

 厳御霊西の宮居の御教は
  凡神達の耳に入るなり

 東の宮の教は凡神の
  悟り難きぞ惟神なる

 大宇宙現れ出でし昔より
  今に苦しき我なりにけり

 長き世を経綸の為めに苦しみて
  泣きいさちつつ今に及べり

 八十比女を我持たせれば凡神は
  経綸を知らず言挙げなすも

 八十比女の御樋代なくば如何にして
  此天界をひらき得べきや

 主の神の神言かしこみ凡神の
  嘲り譏りに忍びつつ居る

 永久に神国を立つる礎は
  国魂神を生むより外なし

 ももさらふ蟹の横さの道もある
  神代に我は正道をゆく

 大なる真言の道は凡神の
  目に入り難く諾ひ難し

 千万に心くだきて高地秀の
  宮に朝夕仕へまつるも

 万世の末の末までわが魂は
  若返りつつ世の為めいそしむ

 凡神には西の道説き賢神に
  東の道を説くはせわしも

 わが身近く侍る妻さへ主の神の
  真言の経綸知らぬ淋しさ

 わが近く仕ふる八人の比女神の
  中にも我を悟らぬ神あり

 凡神の心の暗に乗じつつ
  醜の曲霊はかき廻すなり

 一日だも祓ひの言葉宣らざれば
  忽ち乱れむ此天界は

 さしのぼる天津日光も時折は
  黒雲つつむと思ひて忍ぶも

 経緯の神の経綸も知らずして
  さわぎ廻るも凡神の群

 成し遂ぐるまでは心をゆるめじと
  思ひつ辛き我身なりけり

 果しなき此天界を治めむと
  心矢竹にはやる我なり

 まことにも大中小の差別あり
  凡神大なる真言を知らず

 上根の御魂の神に非ざれば
  わが説く真言はみとめ得られじ

 中根の神はわが身の経綸をば
  言葉喧しくさやぎ廻るも

 さりながら諭せば諾ふ中根の
  みたまは我の力なりけり

 上根の御魂少く中根の
  御魂もあまり多からぬ神代

 うようよと下根のみたまはびこりて
  わが説く道にさやるうるささ

 うるさしと言ひて捨てなば凡神の
  安きを守る道は立たなく

 愛善の真言の心ふりおこし
  朝夕をいそしむ我は

 玉の緒の命死せむと思ふまで
  幾度我は心をなやめし

 曲津みたまを真言の魂に甦し
  授けむとする我は苦しも

 主の神の至純至粋の言霊に
  生れし世界もくもるうたてさ

 朝夕に妖邪の空気払はねば
  この天国は暗世とならむ

 大神の神言かしこみ大宮を
  玉と鉾との光に守らむ

 わが身には左守右守の神もなく
  独り淋しく世を開くなり

 比女神は数多あれども今すぐに
  力とならむ種のすくなき

 御祭に仕へまつらむ暇もなく
  我は神国をかけ廻りつつ

 神まつる司の神は沢あれど
  わが神業を助くる術なし

 直接のわが神業を助け守る
  神の出でまし待つぞ久しき

 鬼大蛇醜女探女も日に月に
  むらがり起りて道にさやれり

 果しなき紫微天界の神業に
  仕へて朝夕身魂砕きつ

 久方の天の道立男の神の
  教生かしてなやむ我なり

 此国に真言の道を知る神の
  十柱あらば我はなやまじ

 主の神に朝夕を祈れども
  つぎつぎおこる醜のたけびよ

 高地秀の尾上は如何に高くとも
  わが苦しみに及ばざるべし

 主の神の造りたまひし天国の
  司よ今日より我は歎かじ』

 斯くの如く顕津男の神は肝むかふ心の鉾をとり直し、大勇猛心を発揮し、国向けの鉾をとらし給ひ、大善の道に進ませ給ひぬ。

『罪汚れ無しと思へる天国も
  醜の仇雲たつぞ怪しき

 惟神真言の道をふみしめて
  邪神の荒ぶ世に我勝たむ』

(昭和八・一〇・一〇 旧八・二一 於水明閣 加藤明子謹録)
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