太元顕津男の神は、御霊を月界にとどめ、肉体は高地秀の宮に仕えて神の経綸を遂行していたが、厳の御霊の教えを誤って信じた凡神は、種々あらぬことを言いふらして顕津男の神を力限りに妨げた。
太元顕津男の神は高地秀の峰に登り、自分が救おうとしている神々から救いの業を妨げられ、大神の経綸を果たせないでいる苦悶の心を、述懐の歌に歌った。
また顕津男の神に仕える八十柱の比女神たちも、いたずらに時を過ごし老い去り、その間にも世はますます曇りすさんで、天界も邪神のために収拾がつかない状態になってしまった。
顕津男の神に側近く仕える八柱の比女神たちもまた、顕津男の神に対しての述懐を三十一文字の歌に歌い、顕津男と歌を交わした。
寿々子比女、朝香比女、宇都子比女、梅咲比女、花子比女らは、凡神らの妨げによって顕津男の神との契りがずっとできないでいることを嘆き、顕津男を責めながらも、顕津男の神への思慕の念を歌い、妨害を打ち破るよう顕津男を励ます。