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文献名1霊界物語 第74巻 天祥地瑞 丑の巻
文献名2第1篇 渺茫千里よみ(新仮名遣い)びょうぼうせんり
文献名3第4章 朝露の光〔1872〕よみ(新仮名遣い)あさつゆのかげ
著者出口王仁三郎
概要
備考
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あらすじ
紫微天界は、太陽の光が現在の地球の7倍あり、月もまた同じだけの明るさがあるが、妖邪の気が鬱積する遠方の地は、地球のように夜がある。

だから、顕津男の神が紫微天界をくまなくまわり、明るく清める必要があるのである。

顕津男の神のサソスセシの言霊によって清められた河は、清美河という名を与えられた。

夜明けとともに一行は起き、歌を交し合う。多々久美の神は、ふたたび言霊によって雲霧を払えば、その神徳にみな感嘆の歌を歌った。

近見男の神は自ら先導を申し出、自ら名前を遠見男の神と改めた。

その日の夕暮れ、一行は真鶴山のふもとにたどり着いた。
主な人物 舞台 口述日1933(昭和8)年10月21日(旧09月3日) 口述場所水明閣 筆録者加藤明子 校正日 校正場所 初版発行日1934(昭和9)年1月5日 愛善世界社版 八幡書店版第13輯 175頁 修補版 校定版54頁 普及版 初版 ページ備考
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本文  抑々紫微の天界は、太陽の光強く明るきこと、現代我が地球の七倍にして、月の光又之に準ずると雖も、妖邪の気鬱積して、未だ全く神徳に潤はざる遼遠の国土は、矢張り我が地球の如く昼夜の区別生じ、夜は暗く、僅に月星の薄雲を透して地上を照すのみなりしなり。故に顕津男の神、紫微天界を隈もなく明し清め、国土造り神生みせむと、百の艱みを忍びつつ四方を廻り給ふぞ畏けれ。
 茲に濁河の汚れもサソスセシの言霊の水火によりて清まりたれば、清美河と言ふ名を与へ給ひつつ、河岸の草の生に十一柱の神は夜を明し給ひぬ。
 夜はほのぼのと明け放れ、どんよりと重き御空の奥より、大太陽は茫然として鈍き光を投げつつ昇らせ給ひぬ。顕津男の神は御歌詠ませ給ふ。

『罪穢ここに集り濁河
  生言霊に清まりしはや

 今日よりは清美の河と名を称へ
  命水四方にひたさしめむかな

 ほのぼのと東の空を昇ります
  天津日光に四辺あかるき

 輝ける紫微天界も果の国は
  言霊の水火の助け少なき

 一夜を草の褥に腕枕
  寝ぬれば露に身はひたされぬ

 真鶴の山の雲霧吹き払ひ
  聖所となして国土拓かばや

 草枕旅のなやみの夜を重ね
  清美の河をややに渡りぬ』

 近見男の神は歌ひ給ふ。

『瑞御霊の神の功に奴羽玉の
  夜は明け放れ朝日昇れり

 朝津日の光も一しほ明けく
  かがやき給ひぬ露の草生に

 濁らへる河水とみに澄みきりて
  岐美の功をてらしぬるかも

 草の葉におく露の玉悉く
  瑞の御霊と朝を輝く

 打ち仰ぐ遥の空に雲たつは
  真鶴山か慕はしと思ふ

 駿馬は朝を勇みて嘶きつ
  露の玉てる草食みて居り

 遠近の荒れたる国土を拓きまし
  神を生ませる神業畏し

 曇りなき神の御国もともすれば
  汚れ重なり曲神出づるも

 千万の艱みにあひて四方八方の
  曲を払はす瑞御霊はや

 月も日も御空に照れどこの国土は
  醜神の水火にくもらへりけり

 雲霧を伊吹き払ひて主の神の
  依さしの美しき国土拓きませ』

 圓屋比古の神は御歌詠ませ給ふ。

『駒並めて千里の荒野を渡りつつ
  岐美にいそひて楽しき旅なり

 横河の早瀬を渡り濁河
  澄まして越えし今日のすがしさ

 見の限り千草八千草醜草の
  蔓る野路を拓きゆくかも

 草の根にひそみて鳴ける虫の音も
  今朝は一しほ清しく思ほゆ

 草枕旅のつかれも駿馬の
  嘶き聞けば安まりにけり

 駒並めて又も荒野をいさぎよく
  いざや進まむ真鶴の山へ』

 宇礼志穂の神は御歌詠ませ給ふ。

『奴羽玉の夜は明けはなれ草も木も
  わが魂線も甦りつつ

 久方の御空つつみし醜雲も
  いや次々に薄らぎゆくも

 月も日も御空に光れど醜雲の
  さやりに光の鈍くもある哉

 醜雲は月日のかげを塞ぎつつ
  大野ケ原をとぢこめて居り

 醜雲は如何に天地を閉づるとも
  月日の光はほの明るかり

 月読の神霊宿らす瑞御霊
  いませば旅のやすかりにけり

 多々久美の神よ科戸の風よびて
  御空の雲を吹き払ひませよ』

 多々久美の神は御歌詠ませ給ふ。

『科戸辺の風よ吹け吹け岐美がゆく
  今日の御空の雲を晴らして

 ハホフヘヒ生言霊の力にて
  重なる雲も隈なく散らむ

 バボブベビ生言霊を宣り上ぐる
  暇もあらに雲切れにけり

 パポプペピ言霊宣りし間もあらず
  青雲の肌現れにけり

 瑞御霊進ます路に雨降るな
  雲も起るな荒風立つな

 万代の末のすゑまで瑞御霊
  旅するよき日は御空晴らせよ

 多々久美の神は天地に誓ひつつ
  幾千代までも岐美を守らむ

 国土を生み神生み給ふ瑞御霊
  旅に立たせるよき日を晴らさむ』

 茲に多々久美の神は、生言霊によりて御空の雲霧を晴らし、雨を止め給へば、百神等は其神徳に驚き、言霊の水火の尊き事を悟り給ひ、感歎の余り御歌詠ませ給ふ。
 顕津男の神の御歌。

『わがいゆく道の隈手も恙なく
  雲を晴らしし言霊尊し

 幾万劫の末の代までもわが旅を
  守ると宣りし神ぞ畏き

 若返り若返りつつ末つ世までも
  我いそしまむ神代の為めに』

 近見男の神は御歌詠ませ給ふ。

『神生みの神業仕ふる瑞御霊
  守らす多々久美の神の功よ

 今までは荒ぶる神と思ひつつ
  見あやまりしか多々久美の神を』

 多々久美の神は之に答へて、

『多々久美の吾は御供に仕へむと
  たたくみ居たるよ近見男の神

 深くはかり遠くたたくむ神業を
  汝近見男は悟らざりしよ

 近くのみ見やぶる神にましませば
  近見男神と名をたまひけむ』

 近見男の神は御歌詠ませ給ふ。

『恥しも遠くを知らぬ近見男の
  浅く近きを見て居たりける

 今よりは遠見男の神と吾なりて
  御前に謹み仕へまつらむ

 いざさらば真鶴山に御供せむ
  瑞の御霊や早や出でまさね』

 茲に顕津男の神はひらりと駒に跨り、遠く西南の天を仰ぎ見つ、

『目路遠く真鶴山はかすみたり
  万里行く駒に鞭うち進まむ』

と生言霊の御歌と共に、一鞭あてて驀地に西南の空をめざして進ませ給ふぞ勇ましき。茲に近見男の神は、御前に仕へまつりつつ声も朗かに歌ひ給ふ。
『荒野を包みし闇の幕
 神の伊吹に晴れ渡り
 夜はほのぼのと明けにける
 天津月日は大空に
 輝きませど中空に
 さやれる雲の深くして
 わがゆく路はほの暗く
 なやめる折しも多々久美の
 生言霊に雲は散り
 御空は全く晴れにけり
 草葉の露もあちこちに
 五色に光れる大野原
 虫の鳴く音に送られて
 真鶴山の聖場に
 向つて進む勇ましさ
 近見男の神今日よりは
 遠見男神と改めて
 瑞の御霊の御前に
 仕へまつらむ惟神
 生言霊の幸ひに
 わが神業を完全に
 遂げさせ給へと願ぎまつる
 天津日は照る月は冴ゆ
 大野ケ原におだやかに
 ふき来る風も芳ばしく
 実に天国の祥徴を
 今目のあたり見る心地
 心も勇み駒勇み
 万里の荒野を駈けてゆく
 今日の旅こそ楽しけれ』
 近見男の神は自ら遠見男の神と名乗り、先頭に立ちて御歌詠ませつつ進ませ給へば、百神等も次々に行進歌をうたひうたひ、其日の黄昏るる頃、漸く真鶴山の麓まで進ませ給ひける。
(昭和八・一〇・二一 旧九・三 於水明閣 加藤明子謹録)
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