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文献名1霊界物語 第74巻 天祥地瑞 丑の巻
文献名2第1篇 渺茫千里よみ(新仮名遣い)びょうぼうせんり
文献名3第9章 真鶴鳴動〔1877〕よみ(新仮名遣い)まなづるめいどう
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日----
あらすじ
宣伝歌

そもそも天地の中に、生言霊の御威光よりも尊いものは、他にない。

生言霊の功によって、山河が生まれ、草木が萌え出、あらゆる神々が生まれ出でるのだから。

紫微天界は、もともと愛と善の国土である。そして愛と善は、主の神の魂であり、姿そのものである。

愛は、神の心を生かすようにと生まれた、主の神の御賜物であった。

しかし、時がたつにつれ、愛があやしい恋の炎となり、さまざまな災いを起こすという、恐ろしい事態になった。

真鶴山の御魂として現れた生代比女は、太元顕津男の神への恋の炎を燃やした。

主の神の御言に忠実な顕津男の神に拒まれると、その失望は恨みと変じ、大蛇の姿となって、八十比女の一人、玉野比女を呪った。

そして、自ら恋の恨みの炎を消そうと、湖水に自ら飛び込んだ。

結比合(むすびあわせ)の神の歌

天界のすべてのものを結び合わせる誠の力は、恋である。

一方、喜びも悲しみも、楽しみも騒ぎも、また恋から湧き出でる。

恋はとどめることができない、ゆえに、玉野比女、生代比女の真心を、私はどうすることもできない。

美味素(うましもと)の神の歌

愛の果て、善の極みは恋となり、誠となって現れる。

しかし、恋の炎は天地のすべてを焼き払う炎ともなる。恋心は天地を塞ぎ、神の心を闇に包むことにもなる。

恐ろしきも楽しきも恋である。

二神が歌い終わると、再び山麓から猛火が燃え上がり、顕津男の神の身辺近く迫ってきた。顕津男の神は、神々を率いて、サソスセシ、ザゾズゼジの言霊と共に、生代比女を諭す歌を歌った。

すると、火焔はたちまち消えて、再び紫微天界の清浄さが辺りによみがえった。
主な人物 舞台 口述日1933(昭和8)年10月21日(旧09月3日) 口述場所水明閣 筆録者内崎照代 校正日 校正場所 初版発行日1934(昭和9)年1月5日 愛善世界社版 八幡書店版第13輯 194頁 修補版 校定版123頁 普及版 初版 ページ備考
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本文  天と地との世の中に
 生言霊の御稜威より
 尊きものはほかに無し
 天の神国も主の国も
 生言霊のいさをしに
 山河生れ草木萌え
 百の神々生れ出でぬ
 そもそも紫微の天界は
 愛と善との国土なり
 愛と善とは主の神の
 誠のみたまみすがたよ
 愛は天界のはじめより
 神の心を生かすべく
 生れ出でたる御賜
 さはあれ愛は重なりて
 遂にはあやしき恋となり
 胸の炎に天を焼き
 地を焦して諸々の
 禍おこす恐しさ
 真鶴山のみたまとし
 あらはれ出でし生代比女
 神の神言の瑞御霊
 太元顕津男の神の
 雄々しき御姿見るよりも
 恋の炎は燃え盛り
 面ほてりつつ玉の緒の
 命をかけて恋ひ給へば
 主の大神の御旨に
 そむかむ事をおそれまし
 言葉たくみに理を
 宣らせ給ふを比女神は
 忽ち失望落胆の
 淵に沈ませ給ひつつ
 胸の炎は燃えさかり
 天地を包む黒雲と
 忽ち変じ恐しき
 大蛇の姿と現れて
 玉野の比女に仇せむと
 言あげ給ふ恐しさ
 顕津男の神はじめとし
 百神等は悩みまし
 比女の心を和めむと
 よきほどほどに瑞御霊
 其の場を逃れ給ひしが
 胸の炎はをさまらず
 全身熱して燃え盛り
 強き悩みに堪へかねて
 湖水に飛び込みなやましさ
 消し止めむとなし給ふ
 比女の心ぞいぢらしき
 嗚呼惟神々々
 神は愛なり仁なり
 愛と情の終極は
 とくにとかれぬ恋の糸
 もつれ乱るぞ是非なけれ。
 結比合の神は御歌うたひ給ふ。

『天界の総てのものを結び合はす
  誠の力は恋なりにけり

 結び合ひ睦び合ひつつ水火合せ
  命を生まむ神業かしこき

 比古神は比女神を恋ひ比女神は
  比古神恋ふる天界の道

 喜びもまた悲しみも楽しみも
  騒ぎも恋よりわき出づるなり

 如何にせむ止むるよしもなきものは
  恋てふ駒のあがきなりけり

 ウの声の水火に生れし結び合せの
  神なるわれはかなしと思へり

 玉野比女生代の比女の真心を
  なだむる由も吾なかりける』

 美味素の神は御歌詠ませ給ふ。

『美味国弥栄の国玉の国に
  ときじくひらく恋の花かも

 愛の果て善の極みは恋となり
  誠となりてあらはるるなり

 天界に恋てふもののなかりせば
  さびしかるらむこれの国原

 やがて今再び荒び給ふらむ
  生代の比女は湖水を割りて

 この時ゆ天地一度に揺ぎ出し
  風吹き荒び雨地に溢れむ

 言霊に生み出で給ひし美味素の
  国も再び泥濘となるらむ

 久方の御空をはじめ地の上の
  総てを焼かむ恋の炎は

 恋心天と地とにふさがりて
  神の心を闇に包まむ

 恐しきものは恋なり楽しきも
  恋路にかをる花なりにけり』

 斯く歌はせ給ふ折しも、再び山麓より猛火燃え上り、顕津男の神の身辺近く迫り来ければ、瑞の御霊は止むを得ず、百神等を率ゐまして、
『サーソースーセーシー
 ザーゾーズーゼージー
 さがれさがれ炎よ煙よ
 瑞の御霊は炎を消さむ。

 真鶴の山は尊き神の山
  曲津の神の威猛るべきやは

 生代比女神はひたすらわれ恋ひつ
  炎となりしかあさましとおもふ

 国土を生み御子を生まさむ道の辺に
  さまたげするな恋の比女神

 我は今恋心なしさはあれど
  しばしを汝の犠牲とならむ

 国魂の神を生み得ば我はただ
  離りて進まむ苦しき身なるよ

 生代比女我を恋ふるも如何にせむ
  ただ一度の手枕なりせば』

 斯く歌ひ給ふや、足下まで燃え上りし火焔は忽ち跡なく消えて、芳香四辺に薫じ、迦陵頻伽の啼く音さへ清しく聞え来たるぞ不思議なれ。
(昭和八・一〇・二一 旧九・三 於水明閣 内崎照代謹録)
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