玉野の森は、東西十里、南北二十里。年老いた松の木が覆い茂り、地は白砂で覆われ、あちこちに水清き泉が湧いている。すがすがしく神々しい森である。
玉野比女は、森の中央の小高い丘の上に宮を構え、自ら斎主となって主の大神の神霊を祀っていた。
顕津男の神は、玉野の森に足を踏み入れると、駒を止めて歌を歌った。玉野の森をたたえ、玉野比女を呼ばわった。
遠見男の神が一行の先頭に立った。従者の神々は次々に、玉野の森の荘厳さをたたえる歌を歌いながら、玉野比女の館を探して駒を進める。。
生代比女も、馬上より玉野比女に呼びかける歌を歌うと、駒に鞭打って先に駆けて行ってしまった。
一行は玉野の森の中央の、玉野比女の館を目指して進んでいる。