天界にも栄枯盛衰があり、神々にも若境と老境がある。神々は若返り甦りつつ、永遠に若さを保って各々の職掌に生きるのである。
玉野比女は、主の神の宣旨を受けて長い年月、神生みの業を待っていたが、適齢を過ごしてしまった。そこに再び主の神の宣旨あり、より大きな国生みの神業を任されたのであった。
顕津男の神を迎えた玉野比女は、ともに真鶴国の国生みをし、造り固めようと歌いかける。
顕津男の神は、凡神の目を恐れて神業を始めるのが遅れたことを悔い、玉野比女に詫びるが、玉野比女、本津真言の神、待合比古の神は、これからの国生みに希望を託す歌を歌う。
一同は主の神に面会するため、白砂を敷き詰めた玉野丘の庭を歩んで行く。玉野比女は、年老いた松の影に顕津男の神を導いた。
そこに、鏡のように木漏れ日を映した、深く青く輝く清泉があった。
玉野比女は清泉の傍らに立って、この泉は主の神の御霊が現れたものであり、主の神にご面会する前には、必ずここで禊をする場所だと説明する。
顕津男の神は泉の清清しさをたたえる歌を歌い、七度禊をした。そして玉野比女に手をひかれ、本津真言の神を先頭に、待合比古の神を殿にして、白砂の庭をそっと歩いて玉の宮の聖殿をさして進んで行った。