本津真言の神が大幣を打ち振りながら先頭にたち、宮の階段を登っていった。顕津男の神はその後に従い、階段の最上段にうずくまって神言をあげ、大神のご託宣を願った。
しかし、大神からの神宣はいつまでたってもこなかった。
次に、玉野比女が宣旨の願いを歌に込めて歌ったが、何も起こらなかった。
続いて、生代比女が祈りの歌を歌ったが、やはり何も起こらない。
待合比古の神の後、最後に力充男の神が歌った。力充男の神は、本津真言の神こそが、主の神の御化身であったのだ、と悟りの歌を歌う。
この歌に、顕津男の神・玉野比女の神・生代比女の神・待合比古の神は驚いて、まず力充男の神へ敬拝し、そして本津真言の神の前にひざまずいて不礼を謝った。
神々が主神である本津真言の神に歌を歌う間、本津真言の神は厳然としていたが、その顔はますます輝いた。その間、不思議にも一言も言葉を発することはなかった。
最後に、力充男の神が、瑞御霊の御神業を助けて国造りをしようと誓いの歌を歌うと、主の神の化身である本津真言の神は、望みどおり国造りを助けよう、と歌うと、たちまち天から迎え来た紫紺の雲に包まれて、天空へと帰って行った。