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文献名1霊界物語 第74巻 天祥地瑞 丑の巻
文献名2第3篇 玉藻霊山よみ(新仮名遣い)たまもれいざん
文献名3第24章 誠の化身〔1892〕よみ(新仮名遣い)まことのけしん
著者出口王仁三郎
概要
備考言霊の活字の方向が異なるものが3行ある。a147「ウーウーウーウウアーアーアーアアアア」、a149「ウーウーウーアーアーアーアアー」、a151「スースースー」。第75巻8章にも同様の行がある。
タグ データ凡例 データ最終更新日2021-07-14 23:01:03
あらすじ
本津真言の神が大幣を打ち振りながら先頭にたち、宮の階段を登っていった。顕津男の神はその後に従い、階段の最上段にうずくまって神言をあげ、大神のご託宣を願った。

しかし、大神からの神宣はいつまでたってもこなかった。

次に、玉野比女が宣旨の願いを歌に込めて歌ったが、何も起こらなかった。

続いて、生代比女が祈りの歌を歌ったが、やはり何も起こらない。

待合比古の神の後、最後に力充男の神が歌った。力充男の神は、本津真言の神こそが、主の神の御化身であったのだ、と悟りの歌を歌う。

この歌に、顕津男の神・玉野比女の神・生代比女の神・待合比古の神は驚いて、まず力充男の神へ敬拝し、そして本津真言の神の前にひざまずいて不礼を謝った。

神々が主神である本津真言の神に歌を歌う間、本津真言の神は厳然としていたが、その顔はますます輝いた。その間、不思議にも一言も言葉を発することはなかった。

最後に、力充男の神が、瑞御霊の御神業を助けて国造りをしようと誓いの歌を歌うと、主の神の化身である本津真言の神は、望みどおり国造りを助けよう、と歌うと、たちまち天から迎え来た紫紺の雲に包まれて、天空へと帰って行った。
主な人物 舞台 口述日1933(昭和8)年10月30日(旧09月12日) 口述場所水明閣 筆録者加藤明子 校正日 校正場所 初版発行日1934(昭和9)年1月5日 愛善世界社版 八幡書店版第13輯 269頁 修補版 校定版407頁 普及版 初版 ページ備考
OBC rm7424
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本文  本津真言の神は、時到れりと先頭に立ち大幣を打ちふり、庭の面を清めながら、宮の階段をしづしづ登り給へば、顕津男の神も御後に従ひ、階段の最上段に蹲りて神言を宣らせ給ふ。

『掛け巻も綾に畏き、主の大神の天降らせ給ふ玉藻ケ丘の聖所に、大宮柱太知り立て、高天原に千木高知れる此の聖宮に、今日の吉き日の吉き時を、天降り給ひし、大御神の神言請ひのみまつりて、まだ国土稚き真鶴の荒野原を拓き固めむとす。仰ぎ願はくは主の大御神の生言霊の御稜威幸ひ給ひて、太元顕津男の神に依さし給へる神業を、𪫧怜に委曲に守り助け、紫微天界の南の国の国津柱を生ましめ給へ。畏くも紫微の宮居を立ち出でて、四方の荒野原に国土生み神生みの業仕へまつるとすれど、我はもとより言霊の力全からねば思ふに任せず、御依さしの業もはかどりまつらず、恐れ謹み朝な夕なに我身を省みつつ仕へまつる事のよしを、平けく安らけく聞し召して、わが願言を諾ひ給へ、国土造る神業につきても、わが足はぬ処を確に教へ導き給ひて、夜の守り日の守りに守り幸へ給へ、大御神の大神言を宣り聞かし給へと、謹み敬ひ畏み畏みも申す』

 顕津男の神は大御前に平れ伏して、祝詞畏み申上げ給へども、主の大神の御心如何にましますか、何の神宣も下し給はず、寂然として松吹くそよ風の音もなく、静まりかへれるぞ不思議なれ。茲に顕津男の神は恐れみ謹み、御歌詠ませ給ふ。

『かけまくも畏きこれの大神の
  神言たまはれ国土造るため

 御依さしの国土生み神生み朝夕に
  仕へてなほもおそれ恥ぢらふ

 わがなさむ業悉く主の神の
  御旨のままに仕へまつるも

 真鶴の国土稚ければ主の神の
  御水火の助けに固めむと思ふ

 願くは厳の言霊垂れたまひ
  わがゆく道を示したまはれ

 玉野比女の神の神言は神生みの
  業後れましわが罪にして

 ためらへる間に年月うつりつつ
  神業怠りし我を悔いまつる

 大神の御心曇らせ奉る
  わが怠りをゆるさせたまへ

 力なき我にしあれば大神の
  任けの半もならぬを畏る

 一言の生言霊をたまへかし
  膝折り伏せて請ひのみまつるも

 鹿児自物膝折りふせて宇自物我
  頸根突貫き請ひのみまつる

 小雄鹿の耳振り立てて聞し召せ
  わが国土生みの太祝詞を』

 斯く真心をこめて顕津男の神は種々願言を申し給へども、主の大神の御心いかに面白からず思し召しけむ、只一言の神宣さへも賜はらねば、神々は御神慮の程をはかりかね階段に平れ伏して、畏み戦き給ふのみ。茲に玉野比女の神は頭を擡げ、拍手の音も爽かに願言申し給はく、

『久方の天津高宮ゆ遥けくも
  天降りし神の功畏し

 年月を玉野の宮に仕へ来て
  今日の天降りに遇ふぞ嬉しき

 神生みの神業に反きし過を
  ゆるさせ給へ主の大御神

 そよと吹く風さへもなき今日の日の
  しづけさ神心はかりかねつも

 真鶴の翼の音も止まりて
  松の梢に陽の光鈍し

 主の神の神心如何になごめむと
  吾は心を千々に砕きつ

 顕津男の神をゆるさせたまへかし
  神生みの神業止むなく後れしを

 ためらひの心は遂に神生みの
  神業に外れ罪となりぬる

 皇神の依さし言葉をためらひて
  世に習ひたる罪許しませ

 朝夕に謹み御前につかへつつ
  なほ神業の後るるを恐れつ

 一言の主の大神の神宣言
  聞かま欲しやと泣きつつ祈るも』

 斯く玉野比女の神の生言霊の祈りにも何の御言葉もなく、四辺はますます静まりかへるのみ。生代比女の神は御前に、畏み祈りの御歌詠ませ給ふ。

『真鶴の山の御魂と現れし
  吾は生代比女神あはれみたまへ

 生代比女畏れ多くも瑞御霊の
  神生みの業に仕へまつりし

 罪ならばきためたまひてわが魂を
  みがかせたまへ主の大御神

 主の神の御水火のこもるわが腹に
  宿らせたまふ貴の御子かも

 おそるおそるこれの聖所に詣でけり
  恋に溺れしことを悔いつつ

 真心の凝り固まりて貴の神子は
  わが体内にやどりましぬる

 真鶴の国土稚ければ貴御子を
  育くみそだてて仕へまつらむ

 玉野比女の年さびませるをあななひて
  吾仕へたる神生みの神業よ

 大神の依さしなけれど貴の御子
  孕める吾をゆるさせたまへ

 天地はそよ風の音もなきままに
  静まりかへる今日の不思議さ

 言霊の水火なかりせばもろもろの
  神も草木もしなび果つべし

 願くは主の大神の御水火より
  生り成りませよ国土生かすべく

 主の神の御水火止まらば天地も
  神も草木も尽き果つるべし

 真心を凝らして祈れど主の神の
  御水火かからぬ今日の淋しさ

 村肝の心あせれど如何にせむ
  主の大神の言葉なければ

 玉野森の常磐の松も真鶴も
  萎れそめたりこのたまゆらを

 真鶴の声も聞えずなりにけり
  主の大神の御水火とまりて

 常磐樹の松さへ緑の色あせて
  四辺淋しくなりにけらしな』

 斯く御歌詠ませ祈り給へども、恰も岩石に向つて語るが如く、何の反響もなかりける。茲に待合比古の神は御歌詠ませ給ふ。

『月と日を重ねて待ちし今日の日の
  淋しさ思へば吾は悲しも

 年月を玉野の比女に仕へ来て
  今日の淋しき清庭にあふかな

 主の神の黙したまへるたまゆらに
  わが魂線は萎れむとすも

 国土を生み神を生ますと瑞御霊
  現れます今日ぞ守らせたまへ』

 力充男の神は御歌詠ませ給ふ。

『言霊のス声の水火はとまりたれど
  われはウ声の言霊活かさむ

 ウーウーウーウウアーアーアーアアアア
  久方のス声にかへれわが言霊よ

 ウーウーウーアーアーアーアアー
  力充男神はス声によみがへりてむ

 スースースー静に宮の御扉を
  開きて出でませ元つ親神

 サソスセシ神の伊吹の言霊に
  よみがへれかし玉野の森よ

 生き生きて生きの果なき天界ぞ
  如何にス声のとどまるべきやは

 かくまでにわが言霊を宣りつれど
  御扉あかぬは不思議なるかも

 主の神は吾等の身魂をみがかむと
  本津真言の神とあれますか

 愚なるわが魂線よ主の神は
  本津真言の神なりしはや』

 この御歌に驚きて、太元顕津男の神、玉野比女の神、生代比女の神、待合比古の神はまづ力充男の神へ敬拝し、本津真言の神の御前に拝跪して不礼を謝し、言霊歌を宣らせ給ふ。
 顕津男の神の御歌。

『愚なる我霊線よ主の神の
  みそば近くにありて知らざりき

 かくのごと曇りし霊の如何にして
  国土生み神生みの神業なるべき

 主の神と我悟りたるたまゆらに
  本津真言の神を畏れし

 本津真言の神とわが前に現れますを
  知らぬわが身の愚さを悔ゆ

 天地の真言はとほきに非ずして
  わが目の前に光らせにけり

 本津真言の神を知らずにうつろなる
  宮に祈りし我恥づかしも

 本津真言の神とあれます主の神よ
  許させたまへ礼なき我を

 今日よりは霊を洗ひて言霊を
  清め澄ませつ国土生みに仕へむ

 一言の依さし言葉を聞かずして
  我はますます心許なき』

 本津真言の神は儼然としてますます御面輝かせ給ひ、一言も宣らせ給はぬぞ不思議なる。玉野比女の神は御歌詠ませ給ふ。

『朝夕に親しく御姿拝みつつ
  主の大神と悟らざりしよ

 今迄の礼なき罪をゆるせかし
  本津真言は主の神なりしよ

 ウアの水火神と現れまし今ここに
  本津真言の神を生せり

 玉の宮きづきまつると朝夕に
  本津真言の神はつとめし

 主の神の深き経綸を知らずして
  宮司とのみ思ひけるかな

 神生みの業をつぶさに果し得ざるも
  わが魂線のくもればなりける

 今となり神生みの業仕へずて
  年さびにけるよしを悟りぬ

 若くても智慧証覚の足らずして
  国津柱の御子生るべき

 生代比女神の神言はすがすがし
  御子孕ませるを宜よと思ふ

 主の神の依さしの神生み業さへも
  魂の曇れば仕ふるすべなし

 主の神はわが言霊のくもれるを
  悟らせ生代にかへたまひしか

 愚なるわが魂線よ濁りたる
  わが言霊よ悲し恥づかし

 瑞御霊後れしわけもわが魂の
  年経りしよしも悟り得し今日よ』

 生代比女の神は御歌詠ませ給ふ。

『瑞御霊わがあこがれしたまゆらの
  真言に御子は孕みたまひし

 恋雲に包まれし吾も主の神の
  天津真言によみがへりたり

 主の神の水火の真言によみがへる
  そのたまゆらを御子孕ませり

 今日よりは御子育むと村肝の
  心くばりて恋を忘れむ

 主の神の経綸の糸にしばられて
  われは暫しを狂ひたるかも

 今となりて心開きぬわが魂は
  とこよの春によみがへりけむ

 真鶴の国の国魂神なれば
  朝夕御子をつつしみ守らむ

 いやしかるわが体内に主の神の
  御霊やどらす畏さ尊さ

 本津真言の神の御側に近く仕へ
  わが魂線は勇みたちたり

 この丘に吾登りてゆ主の神は
  本津真言の神と悟りぬ

 兎も角も瑞の御霊に従ひて
  吾はつつしみ黙し居たりぬ

 本津真言の神の御身は光なりき
  わが眼にうつるは月光のみにて

 真寸鏡かかりし如き心地して
  吾恥づかしく照らされて居し

 今日よりは玉野湖水あせむ
  わが曇りたる心晴るれば

 一片の雲霧もなしわが魂は
  すみきらひたり月日の如くに』

 力充男の神は御歌詠ませ給ふ。

『この丘の玉の泉に朝夕を
  みそぎて真の神知らざりき

 本津真言神はまさしく主の神の
  化身なりしか吾恥づかしも

 主の神の御霊になりし玉野丘に
  仕へて真の神知らざりしよ

 瑞御霊清しく雄々しくましまして
  玉野湖畔に御子孕ませり

 今日よりは吾つつしみて瑞御霊の
  神業助けて国土造りせむ

 遠見男の神の一行は山麓に
  禊したまへば迎へ来らむ』

 茲にはじめて本津真言の神は、言霊朗かに御歌詠ませ給ふ。

『畏しや力充男の神の言葉
  我うべなひて国土生み助けむ

 いざさらば天津高宮にかへるべし
  百神等よ健かにあれ』

 斯く歌ひ給ひて、主の神の化身なる本津真言の神は、忽ち天上より降り来る紫紺の雲に包まれて、久方の空高く帰らせ給ひしぞ尊けれ。
(昭和八・一〇・三〇 旧九・一二 於水明閣 加藤明子謹録)
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