文献名1霊界物語 第75巻 天祥地瑞 寅の巻
文献名2第2篇 国魂出現よみ(新仮名遣い)くにたましゅつげん
文献名3第9章 千代の鶴〔1903〕よみ(新仮名遣い)ちよのつる
著者出口王仁三郎
概要
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あらすじ神々の祈願のかいあって、生代比女は安らかに御子を産み落とした。この御子産みを助け功あったのは、産玉の神であった。
生まれた御子の名は、千代鶴姫の命と名づけられた。
顕津男の神は喜んで、大前に感謝の神嘉言を宣り上げた。そして、御子誕生の嬉しさを歌に歌った。
玉野比女は祝いの歌を歌い、生代比女は嬉しさと感謝の歌を歌った。
圓屋比古の神は、御子産みを終えた述懐を歌い、自分の新しい職掌である三笠山の国守に発っていった。
他の神々は、それぞれ神業をひとつ終えた述懐と国魂神誕生のめでたさを歌い、黄昏になったところで、各々寝所に帰って休んだ。
主な人物
舞台
口述日1933(昭和8)年11月17日(旧09月30日)
口述場所水明閣
筆録者谷前清子
校正日
校正場所
初版発行日1934(昭和9)年2月3日
愛善世界社版
八幡書店版第13輯 329頁
修補版
校定版152頁
普及版
初版
ページ備考
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本文
顕津男の神始め、玉野比女の神、生代比女の神、其の他の神々は、玉野宮の大前に生言霊の祈願をこらし給へば、生代比女の神はここにいよいよ月足らひ日経ちて、玉の御子を安々と産み落し給ひける。
この御子産みの神業を助け奉りたるは、産玉の神にぞありける。
生れませる御子の御名を、千代鶴姫の命と称へ奉る。
顕津男の神は、御子の生れませる瑞祥を喜び給ひて、大御前に感謝の神嘉言を宣らせ給ふ。
『掛巻も綾に畏き、玉藻山の下津岩根に宮柱太敷立て、高天原に千木高知りて鎮まりいます玉野宮の大神の大前に、慎み敬ひ畏み畏みも白さく。八十日日はあれ共、今日の吉き日の吉き時に、千代万代と栄え果てなき、真鶴の国の貴の真秀良場玉藻の山の頂上に、清しくも天降り鎮りいます主の大御神天之峯火夫の神の大前に感謝言奉る。抑々此の真鶴の国は未だ地稚く、朝夕の御霧は時じくに立ち籠め、月日の光さへ折々に曇らひぬるを、生言霊の御稜威によりて国魂神と神定めてし千代鶴姫の命は、ここに目出度大御産声を挙げさせ給ひぬ。故此を以て大御前に海河山野の種々の美味物を八足の机代に置き足はして、御子の生ひたちを守らせ給へと、天に跼り地に蹐して恐み畏み願ぎ奉るさまを、平けく安らけく聞召し相諾ひ給ひて、天と地とのあらむ限り、たまきはる生命永久に生ひ栄えて大御依さしの神業に仕へしめ給へと、恐み畏みもこひのみ奉らくと白す。
天地も一度に開く心地かな
国魂神は今生れましぬ
呱々の声聞くもさやけし玉藻山の
玉野宮居に月日かがよふ
八重垣となりて包みし深霧も
産声とともに晴れ渡りける
天地の開く思ひや家鶏の声
御子の泣かせる声につれつつ
千代鶴姫命の行末に幸あれと
玉藻の山の聖所に祈るも
主の神の依さし給ひし神業を
やうやく終へて御子生れましぬ
生れませる御子の面を眺むれば
真玉白玉のよそほひなるも
月と日になぞらへ得べき二つの目も
澄みきりてあり神のいさをに
つんもりと姿正しき鼻の峰
二つの穴もほどほどにして
澄みきらふ玉の泉の口許に
紅さして薫りこそすれ
紅梅の露にほころぶ御子の口の
そのやさしさに我見とれける
兎も角も真鶴山の国柱
生れます今日は嬉しかりけり
真鶴の国の栄を言祝ぎて
千代鶴姫の命生れける
真鶴の国の司と生れませる
千代鶴姫の太りたるかも』
玉野比女の神は御歌詠ませ給ふ。
『玉藻山ふくれ上りて空高き
これの聖所に御子生れましぬ
生れませる千代鶴姫の命はも
真鶴国の御柱なりける
生代比女神の功績なかりせば
国魂神は生れまさざるを
天も地も今日は一入澄みきりて
生れます御子を寿ぎにけり
天渡る月日の光もさやかなり
国津柱の生れましぬれば
主の神の神業に後れし吾にして
今日の喜びたへがてに思ふ
今日よりは玉野宮居に額づきて
まことの限り仕へ奉らむ
千代鶴姫神の命の生ひ先きに
幸多かれと日夜を祈らむ
白梅の花はいみじく香るなり
これの聖所に姫生れまして
真鶴は今日の喜びことほぐか
常磐の松に群れつうたへり
家鶏鳥は時じく歌ひ姫命の
その生ひ立ちを寿ぐがに聞ゆ
白駒の嘶き高く聞ゆなり
御子生れませる朝の庭に
真鶴の国の四方八方包みたる
深霧晴れて月日は照らふ
昼月の光白々と久方の
空にすみきりのぞかせ給ふ』
生代比女の神は御歌詠ませ給ふ。
『浮雲の空にそびゆる玉藻山の
聖所に御子は生れましにけり
顕津男の神の神言の水火こりて
国魂神と命生れましぬ
国魂の御子の泣かせる産声は
天津御空にひびき渡れり
六合にひびき渡りし言霊は
国魂神の産声なりけり
今日よりは真鶴の国もかたらかに
いと安らかに栄え行くかも
産玉の神の守りに千代鶴姫の
命は安く生れましにける
神々は言ふも更なり後の世の
人にも幸あれ産玉の厳
産玉の神は今日より万代の
末の末まで産屋守りませ
昔よりためしもあらぬ高山の
尾根に生れます御子は気高き
うち仰ぎ御子の面ざし眺むれば
顕津男の神によくも似ませる
言霊の水火と水火とのむつび合ひて
生れます御子のうるはしきかも
産声を始めて聞きしたまゆらに
わが魂線は笑み栄えける
果しなき望み抱きて果しなき
この国原に栄えむとぞ思ふ
千代鶴姫神の命を朝夕に
守りて国を治めむとぞ思ふ
わが恋はつもり積りて千代鶴姫の
国魂神と生り出でにけり
はしけやし国魂神の御声に
四方の雲霧立ち去りにけり
天渡る天津陽光もさやかなり
白梅薫るこれの聖所は
万代の末の末まで国魂神の
御稜威照れよと吾は祈るも
朝夕に主の大神を祈りてし
むくいは今日の喜びなりける
真鶴の山に帰りて国魂神を
永久にはごくみ育て守らむ』
遠見男の神は御歌詠ませ給ふ。
『瑞御霊神に仕へて今ここに
この喜びに会ひにけらしな
東雲と真鶴の国を治めゆく
吾は嬉しも命生れましぬ
白駒の嘶き強く家鶏鳥の
鳴く音さやけし御子生れし今日は
常磐樹の松の梢にむらがりて
神世をことほぐ真鶴の声
玉藻山千条の滝の音冴えて
吹く風すがし宮の清庭
種々のなやみ苦しみしのびつつ
御子を生ませり顕津男の神は
八十年を待たせ給ひし玉野比女の
御心思へば嬉し悲しも
玉野比女の御手代となりし生代比女
神は功を立て給ひけり
滝の音もいとさやさやに聞え来る
宮居の庭はいとも清しき』
圓屋比古の神は御歌詠ませ給ふ。
『玉手姫命を守る吾ながら
千代鶴姫の生れに会ひける
圓屋比古神は御魂を現して
瑞の御霊に従ひ来りぬ
御子産みの業をへ給ふ今日よりは
急ぎ帰らむ三笠の山に
三笠山の百神等はわが帰り
待ちわぶるらむ空を仰ぎて
いざさらば化身のわれは帰るべし
瑞の御霊よすこやかにませ
百神の御前に白す吾こそは
圓屋比古神の御魂なるぞや
圓屋比古神の御魂は右左
二つに分れて守りゐたりき
いざさらば三笠の山に帰るべし
百神等よすこやかなれかし
千代鶴姫命の生ひ先を朝夕に
吾は祈らむ三笠の山に』
斯く述懐歌を歌ひ終り、圓屋比古の神は白駒の背に跨りて玉藻の山を下り、一目散に雲を霞と駆け出で給ふぞ雄々しけれ。
国中比古の神は御歌詠ませ給ふ。
『久方の天は晴れたりあらがねの
地は澄み澄み射照らひにけり
天地も開くる思ひ今日の日の
千代鶴姫の生れまし目出度し
真鶴の国の柱と生れませる
瑞の御霊の御子ぞうるはし
美しく雄々しくやさしくましまして
国魂神と生れます貴御子よ
玉藻山廻れる四方の国原も
今日の吉き日に霧晴れ渡りぬ
常磐樹の松にむらがる真鶴の
鳴く音に千代のひびきありける
東雲の空に鳴きたつ家鶏鳥の
声清しもよ御子生れし今日は
駿馬の嘶き殊に美しも
千代万代のこゑをそろへて
たまきはる御子の生命の永かれと
御名賜ひけむ千代鶴姫の命と
真鶴の国の司は生れましぬ
恐れつつしみ朝夕仕へむ
四方八方に朝夕の霧立ちて
小暗き国原今日より晴れなむ
四方八方に霧なす湯気の立昇る
わが国原の果もなきかな
果しなく拡ごり拡ごり限りなき
稚国原を知食す御子よ
今日よりは姫の命の御尾前に
仕へて国土を拓きゆくべし』
宇礼志穂の神は御歌詠ませ給ふ。
『産声を清しく聞きぬ吾はただ
心をどりてたへがたく思ふ
喜びの極みなるかも真鶴の
国魂神は生れましける
嬉しさは何にたとへむ物もなし
かたじけなしと思ふのみなる
天渡る月日の駒も歩み止めて
みそなはすらむ生れし貴御子を
千代鶴姫命の生れまし寿ぐか
今日は梅ケ香殊に芳し
白梅の花の梢に鳴きたつる
迦陵頻伽の声も冴えたり
天そそるこれの高根に産声を
挙げたる御子の姿たふとし
白玉のいすみ渡らひ赤玉の
輝き給ふ千代鶴姫の命よ
赤玉は緒さへ光れど白玉の
御子のよそほひ尊かりけり
たまきはる生命を永久に保ちまして
真鶴の国を知食しめしませ』
美波志比古の神は御歌詠ませ給ふ。
『天津日もこれの聖所に降りまして
今日の吉き日を照らしましつつ
天渡る月読の舟は白玉の
光澄みきらへり白雲のあなたに
白雲のとばり破れて青雲の
肌ふかぶかと輝きにけり
主の神の澄みきらひたる御霊かも
この貴御子の面ざし清しも
足引の玉藻の山は高けれど
御子の功の高きに及ばず
顕津男の神の御稜威の尊さを
生れます御子の面に見るかな
生代比女恋の炎の燃え立ちて
固まり生れし貴の御子かも
天界は愛と善との世にしあれば
いかで恐れむ恋の思ひを
天界に恋てふ恋は多けれど
かかるためしは始めなりける』
産玉の神は御歌詠ませ給ふ。
『千代鶴姫命の産声まつぶさに
聞きしゆ心とみに和めり
平けくいと安らけく産みませし
生代の比女の幸を思へり
真鶴の国の要よ生代比女の
誠の恋は御子を生ませり
水火と水火結び合せに生れませし
御子は国魂神にましける』
魂機張の神は御歌詠ませ給ふ。
『たまきはる生命を永久に守るべし
国魂神と生れます御子を
玉の緒の生命ながらへ天界に
若返りつつ道に仕へむ
八雲立つ玉藻の山の頂上に
天地開く神声聞くかな
駿馬は御子の生れます幸ひを
うたふが如く嘶きて居り
真鶴の声勇ましく聞ゆなり
常磐の松のこずゑこずゑに
迦陵頻伽時じく歌ひ家鶏の鳴く
この神山は神の御舎よ
玉野宮の清庭に立ちて国魂の
神の出でまし寿ぐ今日かな
白梅の花の装ひ永久に
幸くあれませ千代鶴姫の命よ
千代鶴姫堅磐常磐の松ケ枝に
月日宿して幸くいませよ』
結比合の神は御歌詠ませ給ふ。
『水火と水火結び合せて生れませる
国魂神のすがた清しも
生代比女瑞の御霊に水火合せ
結び合せて生れます御子はも
主の神の神言畏み吾はしも
結び合せの神と仕へし
むつかしき恋てふ恋もやすやすと
遂げさせ給はむ結比合の神は
山と海結び合せて燃え上る
木草も湯気も神世をうるほす
国魂の神生れましぬ生代比女の
神のよろこび思はるるかも
一度は雄猛び給ひし生代比女も
なごみて御子を生ませ給ひぬ
玉野湖の波ををどらせ荒風を
吹かせすさびし比女思ひ出すも
今となりて白玉の御子を生みましし
恋のすさびをあやしと思ふ
神を恋ふるならば生代の比女のごと
つらぬき通せ御子を生むまで』
美味素の神は御歌詠ませ給ふ。
『生れませる国魂神の御魂に
美し味はひおくり奉らむ
美味素の神のさづくる味はひに
四方の神々従ろひこそすれ
味はひのなき御魂ならば如何にして
この国原の治まるべきやは
天界のよろづのものはことごとく
味はひありて栄ゆくものなる』
神々は各自述懐を歌ひ給ひて、黄昏になりければ、各自寝所に入りて休ませ給ひぬ。
(昭和八・一一・一七 旧九・三〇 於水明閣 谷前清子謹録)