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文献名1霊界物語 第76巻 天祥地瑞 卯の巻
文献名2前付よみ(新仮名遣い)
文献名3インドネシヤ創造説よみ(新仮名遣い)いんどねいやそうぞうせつ
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日----
あらすじ
主な人物 舞台 口述日 口述場所 筆録者 校正日 校正場所 初版発行日1934(昭和9)年3月23日 愛善世界社版 八幡書店版第13輯 484頁 修補版 校定版121頁 普及版 初版 ページ備考
OBC rm760017
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本文  太初には、茫々たる海があるだけでした。海原の中に一つの大きな岩があつて、絶えず波に洗はれてゐましたが、その岩から一羽の鶴が生れました。岩は鶴を産むときに汗を流しました。そしてその汗からルミム・ウットといふ女神が生れました。
 鶴が女神に対つて、
『二握の砂を取つて撒きちらしてごらん』
と言ひました。ルミム・ウットはすぐ二握の砂を取つて、海原に撒きちらしますと、見る見るそれが大きくなつて世界が出来ました。
 世界が出来上ると、女神は高い山に登つて、その頂に突立つて、吹き来る西風に体を曝してゐました。そのうちに身重になつて、一人の男の子を産みました。
 男の子が大きくなると、ルミム・ウットが妻を娶るやうに勧めました。男はその言葉に従つてあちらこちらを探し廻りましたが、どうしても女を見つけることが出来ませんでした。ルミム・ウットは気の毒に思つて、自分の背丈と同じ長さの杖を息子に与へて、
『この杖よりも背の低い女を探すがいい。そんな女を探したら、それがお前の妻となるべき運命を持つた女ですよ』
と教へました。そして二人は別れて、世界を一めぐりすることになりました。母は右に廻り、子は左に廻つた。子は左に廻つて、永い間歩き続けてゐるうちに、たうとう世界を一巡りしてしまつて、二人がぱつたり出会ひました。二人は余り永い間別れてゐたので、お互に見知りませんでした。男はすぐに杖と女との高さを比べて見ましたが、杖は男が気のつかぬうちにだんだんと伸びてゐましたので、女の背丈よりずつと高かつたのでした。
『これだこれだ、この女こそお母さんに教はつた通りの女だ』
と思つて、たうとうルミム・ウットを自分の妻にしてしまひました。
 ルミム・ウットは沢山の子供を産みました。そしてそれがみんな神さまとなりました。(ミナハツサ島)
 また一説に、太初には、茫々たる海と、それに覆ひかぶさつてゐる天空があるだけでした。
 ある時、天空から一つの大きな岩が海の中に墜ちて来ました。そして月日がたつにつれて、赤裸々な岩の面に粘土が積み重なると、そこに沢山の虫が生れました。
 虫どもは、絶えず岩の面をかぢりつづけますので、小さい砂土がだんだんと岩を覆ふやうになりました。と、天空に輝く太陽から、木でこしらへた刀の柄が落ちて来て、砂土の中に根をおろして、大きな樹となりました。暫くすると、今度は月から葡萄の蔓が落ちて来て、樹にまつはりつきました。
 かうして樹と葡萄とが抱き合つて、一人の男の子と、一人の女の子とを産みました。そしてその二人が結婚して、カヤン族の祖先となりました。(中央ボルネオのカヤン族)
 神々の誕生についての一説には、世界の初めに、一匹の蜘蛛が天から降りて来て、巣を造りました。と、小さい石が一つ蜘蛛の巣にひつかかりましたが、それが段々大きくなつて、天が下一ぱいに広がる大地となりました。
 暫くすると、天空から地衣が墜ちて来て、岩の上に根をおろし、地衣の間から虫が生れて、頻りに糞をひり、その糞から岩の上の土壌が出来ました。
 暫くすると、また天から一本の樹が墜ちて来て、土壌の中に根をおろしました。それから今度は一匹の蟹が大地に降りて来て、鋭い鋏脚でやたらに地面をかきむしり掘り返しました。かうして沢山の山や谷が出来ました。
 一本の葡萄の蔓が樹に抱きつきました。さうしてゐると、一人の男と一人の女とが、天からこの樹の上に降りて来て、男は刀の柄を、女は紡錘を地面に落しました。と、刀の柄と紡錘とが夫婦となつて、一人の子供を産みましたが、その子供は体と頭とを持つてゐるだけで手も足もありませんでした。
 この怪物がひとりでに、二人の子を産みました。一人は男で、一人は女でした。男女は結婚して沢山の子を産み、その子がまた沢山の子を産む。かうしてゐるうちにだんだんと形態が完全になつて来ました。それがいろんな神様でありました。(中央ボルネオ)

   蛇の頭の上の大地

 世界の初めには、天空と海とがあるだけでした。海の中に一匹の大きな蛇が泳ぎ廻つてゐました。その蛇は、光り輝く石をはめた黄金の冠を頭にしてゐました。
 ある時天空にゐる一人の神が、下界を見おろしますと、海の中に光り輝くものが動いてゐます。何だらうと眼をこらすと、それは蛇の頭になつてゐる黄金の冠でした。神は、
『あの上に大地をこしらへることにしよう』
と言つて、一握の地を天空から投げ落しました。土はうまく蛇の頭に落ちかかつて、一つの島となりましたが、月日がたつにつれて、だんだんと大きくなつて、たうとう大地となりました。(東南ボルネオ)
 また一説に、空には七つの世界があります。そしてそのうちで最も高いところにある世界に神々のうちで最も偉大なムラ・ディアディが、二羽の鳥を召使として住んでゐました。
 ムラ・ディアディは、七つの世界の一つに大きな樹を生やして、その枝で天を支へることにしました。それから一羽の牝鶏をこしらへて、それを大きな樹にとまらせると、やがて三つの卵を産みました。
 暫らくすると、三つの卵から三人の女の子が生れました。そこでムラ・ディアディは、三人の男を造つて、女たちと結婚させることにしました。これ等の男女の間に大勢の子が生れて、それがまたお互に夫婦になることになりましたが、一人の女だけは、どうしても結婚しようとしませんでした。かの女の夫となるべき男は、蜥蜴のやうな顔をして、カメレオンのやうな皮膚をしてゐました。だから女はそれを嫌つて、
『わたしは結婚なんか決してしない。糸を紡ぐ方がいくらいいかも知れぬ』
と言つて、朝から晩まで糸を紡いでゐました。と、ある日かの女が紡錘を取り落しました。紡錘は天上界から遥か下の方に広がつてゐる海に墜ちました。女は天上界からだらりと垂れてゐる糸を伝つて海の面に降りて来ました。
 海の中には、一匹の大きな蛇が浮んでゐました。女はそれを見ると、天を仰いで、
『ムラ・ディアディさま、土を少しばかり下さいな』
と叫びました。天界にゐるムラ・ディアディはこれを聞くと、召使の鳥を一羽呼び出して、
『これを下界の女に持つて行つておくれ』
と言つて、一握の土を渡しました。鳥がその土を女のところに持つて来ますと、女はそれを蛇の頭にふりまきました。と、土は見る見る大きくなつて、たうとう大地となりました。
 蛇は、自分の頭の上に大地が出来たので、重くて苦しくてたまりません。彼は力まかせに首を振りました。大地は忽ち蛇の頭から転げ落ちて、海の中に沈んでしまひました。ムラ・ディアディはこれを見ると、すぐに八つの太陽を造つてかんかん照りつけさせました。激しい太陽の熱に、海の水がどんどん乾いて、やがて大地が水の上に現れて来ました。女は蛇の体に刀を突き刺して、一つの島にしかと縛りつけました。
『かうして置けば、二度と大地をこはすことはなからう』
 女はかう言つて喜んでゐますと、天界にゐるムラ・ディアディが、
『かうなると、あの児も一人では置けぬ』
と言つて、嫌はれた男を吹筒と一しよに筵に包んで、空から投げおろしました。
 大地に落ちて来た男は、腹が空いたので吹矢を飛ばして、一羽の鳩を射ましたが、狙がそれて中りませんでした。しかし男はうまく吹矢に縋りついて、女の住んでゐる村に飛んで行きました。女は今は拒みかねて、彼と結婚をしました。それが人間の祖先であります。(スマトラ島のトバ・バタク族)
 また、神々のうちで最も偉大なバタラ・グルの妻が、お産をしようとしてゐる時、
『鹿の肉が食べたい。早く持つて来て頂戴』
と言ひ出しました。バタラ・グルはすぐに一人の召使をやつて、鹿を射とめさせることにしました。しかし召使はどうしても鹿を狩り出すことが出来ないで、空しく帰つて来ました。バタラ・グルは更に大鴉をやりましたが、これも駄目でした。しかし獲物をあさり廻つてゐるうちに、深い穴を見つけました。試しに棒を投げ込んで見ましたが、いつまでたつても、底に届いたらしい響がかへつて来ませんでした。
『とても深い穴らしい。一つ底を探つて見よう』
 大鴉はかう思つて、穴の中に舞ひ込みました。そして真暗いところをいつまでもいつまでも舞ひ降つて居ると、到頭漫々たる海原に出ました。大鴉はひどく疲れましたが、幸ひ自分が投げおろした棒が、波に漂つてゐましたので、その上にとまつて休んでゐました。
 バタラ・グルは待ち遠しくなつて、五六人の召使と一しよに、大鴉を探しに出かけました。すると深い穴が見つかりましたので、一握りの砂と七本の樹と鑿と山羊と蜂とを携へて、穴の中に舞ひ降りました。海の面に降りつくと、先づ光を呼んで、あたりを包んでゐる闇を追ひ退けました。それから七本の樹で筏を造るために、山羊と蜂とに樹を支へさせて、自ら鑿を揮ひました。筏が出来上ると、持つて来た一握りの土をその上にまきました。土は見る間に広がつて大地となりました。(スマトラ島のハイリ・バタク族)

 以上古今東西各国の、天地開闢宇宙創造の説は、我皇典の所伝の外は、何れも荒唐無稽にして、歯牙にかくるに足らざるを知るべし。即ち宇宙創造は夢中想像にして天地開闢は、癲痴怪百なり。我説示する天祥地瑞の宇宙創造説や天地開闢説に比して、天地霄壤の差異あるを玩味すべきなり。
   昭和八年十二月五日 旧十月十八日   於水明閣 口述者識
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