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文献名1霊界物語 第76巻 天祥地瑞 卯の巻
文献名2第2篇 晩春の神庭よみ(新仮名遣い)ばんしゅんのしんてい
文献名3第6章 報告祭〔1923〕よみ(新仮名遣い)ほうこくさい
著者出口王仁三郎
概要
備考
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あらすじ
春の陽気に桜の花が爛漫と咲き乱れる真昼頃、高野比女の神一同は、高地秀の宮居の清庭に駒のくつわを並べ、顔を輝かせて帰りついた。

留守を守っていた胎別男(みわけお)の神は、一同の無事の姿に喜び、長旅をねぎらおうと、諸神に命じて別殿に歓迎の宴の準備を始めた。

高野比女の神は大宮居の大前に禊祓い、感謝の祭典を行い太祝詞をあげた。その概要は:

掛巻(かけまく)も畏き紫微天界の真秀良場(まほらば)である高地秀山の岩底深く、宮柱を立て、高天原に千木が届くほど高く宮を構えて永遠に鎮まっておられる主の神、その大前に、御樋代の神である高野比女らは、謹んでかしこみかしこみも申し上げます。

そもそも、天界(かみくに)は、主の大神の広く厚い大御恵みと、赤く直く、正しい生言霊の神聖な威力によって鳴出でてできあがった国土である。

だから、わけ隔てなく大神の恩頼(みたまのふゆ)によって永遠に栄えるものであるし、大神の御恵みがなければ、立ち行かないものである。

そのことを深く悟り広く知って、ますますその偉大さを恐れ敬い奉ろうと、某吉日に万里の道を馬に乗って旅立ち、草枕の宿を重ねて、天津高宮に詣で奉った。

そこで、大神御自ら清く赤きご託宣を承り、一言も漏らさず肝に銘じて、その大御恵みをかたじけなく受け取らせていただいた。さらに、恐れ多くも主の神より、高地秀の宮居の宮司として、鋭敏鳴出(うなりづ)の神、天津女雄(あまつめを)の神の二神をお授けいただいた。

これで高地秀の宮居も栄えるだろうと思って嬉しく、おのおの御樋代神たちは玉の泉に禊を修め、感謝言を宣り、再び駒にまたがって大野ケ原を帰り来た。

途中、多くの曲津神の妨害も、主の大神の深く厚き守りに、事無く乗り越えて、今日この吉日に帰り来ることができた。

その嬉しさの千分の一でも報い奉ろうと、海河山野さまざまの美味のものを、机に横山のようにいっぱいに置き並べて奉ります。

この様子をよろしくご覧になりご理解いただきまして、この宮居に仕える者たちが、主の神の大御心に違えたり逆らったりすることがなく、いただいた真言の光を照らして仕え、罪穢れ・過ちなく、よろしく仕えられますよう、かしこみかしこみもお願い申し上げ奉ります。

また、別に申し上げます。高地秀の宮居を真中として、四方にある未だ若い国土の国津神たちが、おのおの日々の業務を励み勤めて、緩んだり怠ったりすることがありませんように。この天界がさらにさらに拓き栄えますように。また、紫微天界の真秀良場である貴い御名を落とさないよう、皆が励んで活動できますように。たった一つの我が膝をおり伏せ、鵜のごとく首をついて、かしこくもお願い申し上げます次第です。

惟神霊幸倍坐世、惟神霊幸倍坐世。

高野比女の神は、祝詞を終わり、諸神とともに直会の席につき、しばらく合掌しながら、この旅を振り返る述懐の歌を詠んだ。

次に鋭敏鳴出の神が述懐の歌を詠んだ。すると、ちょうど桜の花びらが一枚、ひらひらと、朝香比女の神の持った盃の上に落ちてきた浮かんだ。

朝香比女の神は微笑みつつ歌を歌った。

背の岐美(きみ)の 清き心の一弁(ひとひら)か わが盃に浮ける桜は

背の岐美の 心と思へば捨てられじ 花もろともにいただかむかな

そして花びらの浮いた神酒をぐっと飲み下し、次の歌を歌った。

背の岐美の 深き心の花弁(はなびら)と 神酒諸共に飲み干しにけり

御樋代の神と選まれ 背の君の水火(いき)と思ひて 飲みし花酒(はなざけ)よ

斯くならば 吾は御樋代神として 岐美の在所(ありか)をたづね行くべし

そして、各御樋代神たちはそれぞれ、この旅が成功に終わったことを寿ぐ述懐の歌を歌った。

十柱の神たちは、大宮に詣でた報告祭を奏上し終わると直会の席についた。そして、今回の旅で学んだ言霊の真理を告白しつつ、各々の居間に戻り、休みを取った。

折りしも、吹き来る春風に、庭いっぱいの桜は雪のごとく夕立のごとく、算を乱して清庭のおもてに散り敷き、庭は一面の花筵となった。そこに名残を惜しむように数多の胡蝶がやって来て、低く舞い遊び戯れていた。
主な人物 舞台 口述日1933(昭和8)年12月06日(旧10月19日) 口述場所水明閣 筆録者森良仁 校正日 校正場所 初版発行日1934(昭和9)年3月23日 愛善世界社版 八幡書店版第13輯 526頁 修補版 校定版267頁 普及版 初版 ページ備考
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本文  春の陽気は漂ひて、桜花爛漫と咲き乱れ、庭の面に一弁二弁と静に桜の花弁の散りこぼれたる真昼頃、高地秀の宮居の清庭に駒の轡を並べて、高野比女の神一行は御面輝かせ、目出度く此所に帰り給ひければ、胎別男の神は比女神の姿を見るより打喜び、恭しく出で迎へて長途の旅の労を犒ふべく、別殿に歓迎の馳走の準備に忙しく諸神を督して、忠実々々しく立ち働き給ひける。
 茲に高野比女の神一行は、大宮居の大前に禊祓ひを終り、感謝の祭典を行ひ太祝詞を宣らせ給ふ。
 海河山野の種々の美味物を八足の机代に置き足はし、十柱の神は式場に列座し其他の神々は末座に拝跪して、今日の目出度き祭典に列し給ひつつ、天を拝し地を拝し歓ばせ給ふ。
 高野比女の神は御前に拍手して、

『掛巻も畏き紫微天界の真秀良場なる高地秀山の下津岩根に、宮柱太敷立て高天原に千木高知りて、堅磐常磐に鎮まりいます主の大神の大前に、御樋代の神高野比女等、慎み敬ひ畏み畏みも白さく。抑此の天界は主の大神の広き厚き大御恵と、赤き直き正しき生言霊の御稜威に依りて、鳴り出で給ひし国土にしあれば、海と陸との別ちなく山と河との差別なく、広き厚き恩頼を蒙りて、弥遠永に立栄ゆるものにしあれば、一日片時も主の大神の御恵に離れては、世に立つべからざる事の由を、深く悟り広く究めて、弥益々に其畏さに戦慄き恐れ敬ひ奉らむとして、過ぎつる吉月の吉日を選み、万里の道を遥々と駒の背に跨り、岩根木根踏み佐久美て天津高宮に、草枕旅の宿りを重ねつつ詣で奉り、大御神の御口自から清き赤き貴き大神宣を承り、唯一言も洩らさじ忘れじと心の駒の手綱引締め、頸に受けて束の間も忘るる事なく、村肝の心に抱き胸に秘め、大御恵を忝けなみつつありしが、畏れ多くも主の大御神より高地秀の宮居の宮司として、此度新に鋭敏鳴出の神、其添柱として天津女雄の神を授け給ひぬ。天晴れ天晴れ今日よりは高地秀の宮居は弥生の花の咲き満つるが如く、秋の楓の紅に染むるが如く、弥美はしく弥清しく栄えまさむ事を、思ひ量りて嬉しみに堪へず、各自の御樋代神等は玉の泉に禊を修め、感謝言の神嘉言を宣り終へて、再び駒に跨りつ十柱の神等は果しも知らぬ大野原の駒の嘶き勇ましく、夜を日に次ぎて帰らむ道に、さやりたる八十曲津見の曲業も、主の大御神の深き厚き御守りに、喪なく事なく今日の吉日の吉時に、主の大御神を祭りたる此の宮居に帰りける、其嬉しさの千重の一重だも報い奉らむとして、海河山野の種々の美味物を百取の机代に横山の如く置き足はして奉る状を、𪫧怜に委曲に聞食相諾ひ給ひて、此の宮居に仕へ奉る司神等は大御心に違ひ奉らず逆ひ奉らず、大御神の授け給ひし真言の光を照らし仕へ、罪穢過なく𪫧怜に委曲に仕へしめ給へと畏み畏みも願ぎ奉る。
 言別けて白さく、高地秀の宮居を真中として、四方を廻れる稚国土原の、国津神等は各自に日々の業務を励しみ勤めて緩ぶ事なく、怠る事なく、此の天界を弥益に拓かせ栄えしめ給ひて、紫微天界の真秀良場たる貴き御名を落さじと、励み励み活動かしめ給へと、鹿児自物膝折伏せ、宇自物頸根突貫きて畏み畏みも願ぎ奉らくと白す。惟神霊幸倍坐世惟神霊幸倍坐世』

 高野比女の神は大前の祝詞を終り、しづしづと御前を下り諸神と共に、直会の席に着かせ給ひ、合掌久しうしつつ御歌詠ませ給ふ。

『足引の山鳥の尾の長旅も
  神の恵にやすくをはれり

 遥々と筑紫の宮居に駒並べて
  詣で来つるも惟神われ等は

 主の神の厚き恵しなかりせば
  此の旅立ちは難かりしものを

 広々と果しも知らぬ地稚き
  国原を行く危き旅なりし

 曲津神は到る処にさやらむと
  手組脛引きて待構へたりき

 斯の如危き旅も恙なく
  今日を御前に帰り来しはや

 十柱の賑はしき旅も斯の如
  苦しきものをと背の岐美を思ふ

 背の岐美の旅の艱みを今更に
  悟りけるかな愚かしき吾も

 何事も神の心の儘にして
  生るべきものと悟らひにけり

 主の神は宮居の司と鋭敏鳴出の
  神を聖所に降したまひぬ

 鋭敏鳴出の神の司の添柱と
  降り来ませる天津女雄の神

 高地秀の峰に春の気漂ひて
  今をさかりと桜咲くなり

 桜木の梢にうたふ鶯の
  声長閑なる東の宮居はも

 草枕長の旅より帰り見れば
  この清庭に春はふかめり

 御木も草も瑞気立ちつつ若やぎて
  天界の春を言祝ぎ顔なる』

 鋭敏鳴出の神は御歌詠ませ給ふ。

『御樋代神御供に仕へ漸くに
  此の聖所にわれ来つるかも

 東の宮居に仕へて思ふかな
  これの聖所はまた世になしと

 高地秀の山は隈なく桜木の
  花咲き満ちて長閑なりけり

 此処に来て始めて知りぬ天界の
  春の景色のさわやかなるを

 西の宮居の松の神苑に比ぶれば
  華美なるも東の宮居は

 西の宮居は心静かに落付けど
  東の宮居は心ときめく

 ときめける心抱きて高地秀の
  宮居に仕へつ国土固めばや

 御樋代の比女神等の心にも
  似て晴れ晴れし桜の盛りは

 非時に花は散らざれ萎れざれ
  生きたる神の庭に咲く花は』

 折もあれ桜の花弁は、ひらひらと直会の席に列なり給ふ朝香比女の神の持たせる御盃の上に、一弁落ち来り浮びたれば、朝香比女の神はほほ笑みつつ御歌詠ませ給ふ。

『背の岐美の清き心の一弁か
  わが盃に浮ける桜は

 背の岐美の心と思へば捨てられじ
  花もろともにいただかむかな』

 斯く歌ひながら花弁の浮ける神酒をぐつと飲み下し給ひ、

『背の岐美の深き心の花弁と
  神酒諸共に飲み干しにけり

 御樋代の神と選まれ背の岐美の
  水火と思ひて飲みし花酒よ

 斯くならば吾は御樋代神として
  岐美の在所をたづね行くべし』

 梅咲比女の神は御歌詠ませ給ふ。

『梅の花ははや散り果てて桜花
  また散り初めぬ神の御前に

 移り行く世の有様をまつぶさに
  梅と桜の花に見しはや

 白梅のつぼめる朝を立ち出でて
  桜花散る春を帰れり

 今日よりは心改めて大宮居に
  朝な夕なを真言捧げむ

 言霊に森羅万象は生るてふ
  由を悟りし吾は畏し

 終日を神の御前に太祝詞
  言霊捧げて仕へまつらな

 朝夕の祝詞は愚か夜も昼も
  かたみに宣るべき祝詞なりけり

 言霊の稜威に栄ゆる森羅万象は
  又言霊ぞ力なりける』

 香具比女の神は御歌詠ませ給ふ。

『非時の香具の木の実も言霊の
  尊き水火に生り出でしはや

 吾も亦香具の木の実ゆ生れたる
  神にしあらば言霊たふとし

 言霊の声を聞かずば片時も
  苦しさ覚ゆる吾体なりけり

 言霊の水火に空気を造り出し
  百の生命を生み出だすなり

 正しかる神魂の水火は天界を拓き
  曇れる水火は天界を傷ふ

 村肝の心曇りて濁りたる
  言霊の水火は鳴り出づるなり

 主の神を常磐に祀りし高地秀の
  宮居は清しも言霊澄めば

 吹き渡る梢の風も爽かに
  言霊清く鳴り響くなり

 庭の面を流るる瀬見の川水も
  澄みきり澄みきり透き徹りつつ

 常磐木の松の木の間に咲き満つる
  桜の眺めは殊更目出度き』

 寿々子比女の神は御歌詠ませ給ふ。

『はろばろと遠の旅路を重ね来て
  目出度く今日は感謝言宣る

 言霊の水火に生り出でし天界に
  澄める言霊の吾生命かも

 言霊の活用なくば束の間も
  生きて栄えぬ天界なりけり

 わがもてる意志想念も悉く
  生言霊の光なるらむ

 正しかる生言霊の光る天界は
  言葉のはしも慎むべきなり

 顕津男の神の拓きし高地秀の
  山の姿は生き通しなり

 高地秀の山を朝夕眺めつつ
  吾背の岐美と仕へ奉るも

 長旅に見え得ざりし高地秀の
  山の一しほ恋しき吾なり

 此の宮居は吾背の岐美の築きたる
  貴の宮居ぞ殊更うるはし

 朝夕にこれの神山を力とし
  吾背の岐美となして生くるも

 草枕旅を重ねて背の岐美の
  艱みを深く悟りつつ泣くも』

 宇都子比女の神は御歌詠ませ給ふ。

『今日よりは鋭敏鳴出の神現れまして
  宮居の司と仕へますかも

 天津女雄の神も出でまして大宮居の
  日々の仕へも革まるべし

 御樋代神旅なるあとは胎別男の
  神の司の依さしなりけり

 胎別男の神よ今日より鋭敏鳴出の
  神の司の神業補けよ

 御樋代の八柱神は聖殿に
  終日集ひて言霊宣るべし

 言霊の水火止まれば天界の
  森羅万象は枯れ萎むなり

 御樋代の神は御子生みのみならず
  生言霊の樋代なりしよ

 顕津男の神の御樋代と任けられしも
  生言霊を補くるためなりき

 樋代とは生代の意ぞ国魂の
  神生むのみの司にあらずも

 今日までは吾勤めさへ知らずして
  岐美をのみ恋ひしことの恥かしき』

 狭別比女の神は御歌詠ませ給ふ。

『宇都子比女神の言霊聞くにつけ
  吾も悟りぬ御樋代の司を

 雲霧を別けて昇らす天津日も
  主の言霊ゆ生り出でましける

 月も日も星も悉言霊の
  水火と思へば尊きろかも

 草も木も鳥も獣も言霊の
  水火に育つる天界なりけり

 桜花咲くも散らすも吹く風も
  皆言霊の水火なりにけり

 吾身又生言霊の幸はひに
  生れて言霊に仕へ奉る身よ

 言霊の水火の幸はひ無かりせば
  この天界は直に亡びむ

 遥々と旅を重ねて曲もなく
  帰りしわれも言霊の幸なり

 斯の如尊き稜威の言霊を
  忘れて祝詞を怠るべしやは

 気魂の濁らば心濁るべし
  心濁らば言霊汚れむ

 身を清め心清めて仕へなば
  生言霊は自と光るべし

 神々の要の勤は朝夕の
  禊の神事にまさるものなし

 主なき宮居は頓に淋しけれ
  生言霊の祝詞なければ

 胎別男の神の宣らする言霊の
  祝詞は弱くうすら濁りぬ

 御樋代神いまさぬ宮居の淋しさは
  主の神坐さぬ如くなりけり』

 花子比女の神は御歌詠ませ給ふ。

『高地秀山今を盛りと咲き匂ふ
  桜もしばしの命なるかも

 惜しめども花は梢に止まらず
  そよ吹く風にも散り初めにつつ

 夜嵐の花散らすかと吾はただ
  生言霊に支へて居るも

 束の間も花散らざれと支へつる
  吾言霊も怪しくなりぬ

 夜嵐は吹かねど梢の桜花
  時の来つればこぼれ落ちつつ

 落ち散りし庭の花弁眺めつつ
  踏むさへ惜しく思はるるかも

 移り行く世の有様を高地秀の
  宮居の桜に悟らひしはや

 花は散れど梢に若葉もえ立ちて
  眼あたらしく夏をさかえむ

 桜花散りたる庭に紅く白く
  匂へる牡丹のあでやかなるも

 さりながら又夏更けて丹牡丹の
  花は一弁々々くづれむ

 丹牡丹の蕾ほぐれて咲き初めし
  日より三日経て又散る世なるも

 清庭の白梅の花散り果てて
  跡に青々つぶら実生れり

 白梅は開きて散りて実を結び
  移り行く世の態を教ゆも』

 小夜子比女の神は御歌詠ませ給ふ。

『はろばろと遠の旅路を重ねつつ
  今大前に復命せり

 今日よりは神魂を清むと朝夕の
  禊の神事怠らざるべし

 禊して吉き言霊に天界を
  照らすは御樋代神の勤めよ

 朝夕は言ふも更なり暇あらば
  禊て貴の言霊宣らばや

 言霊の天照り助け生くる国土に
  怠るべしやは生言霊を

 言霊の水火澄みきらひて天地は
  弥遠永に栄えますべし

 月も日も生言霊に照り渡る
  曇るは曲津の水火にこそあれ』

 斯の如く十柱の神々は、下向の報告祭を大宮に奏上し終りて、直会の式に列し給ひ、此度の旅行にて学び得たる言霊の真理を告白しながら、各自の居間に就かせ安々と今日の一日を休らはせ給ひける。折しもあれ、ぼやぼやと吹き来る春風に満庭の桜は雪の如く夕立の如く、算を乱して清庭の面に散り敷きければ、庭は一面の花筵となりて、名残惜しげに数多の胡蝶来りて、低く舞ひ遊び戯れ居たりける。
(昭和八・一二・六 旧一〇・一九 於水明閣 森良仁謹録)
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