文献名1霊界物語 第78巻 天祥地瑞 巳の巻
文献名2第2篇 焼野ケ原よみ(新仮名遣い)やけのがはら
文献名3第11章 初対面〔1967〕よみ(新仮名遣い)しょたいめん
著者出口王仁三郎
概要
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データ最終更新日----
あらすじ島の守り神である葦原比女の神は、三男二女の従者神を従えて朝香比女の神を迎えにやってきた。
葦原比女の神は、邪神の力が強く、この島を拓くことができなかったことを語り、朝香比女の神に感謝を表した。朝香比女の神は、グロノスの島という名を改めて、葦原の国、と名乗るよう歌った。
真以比古の神は、鷹巣の山に逃げ込んだ邪神が再び襲い来ることを心配し、国土の宝として、真火の燧石(ひうちいし)を賜るよう、朝香比女に頼んだ。朝香比女の神は燧石を贈ることを約束し、真以比古の神は感謝の歌を歌った。
従者神たちは、これまでの経緯を述懐の歌に歌い、また互いの出会いを喜び合う歌を歌った。ここに、十二柱の女男の神々は、野中の常盤樹の森かげを指して、黄昏の野路を急ぎ進んでいった。
主な人物
舞台
口述日1933(昭和8)年12月21日(旧11月5日)
口述場所大阪分院蒼雲閣
筆録者白石恵子
校正日
校正場所
初版発行日1934(昭和9)年5月5日
愛善世界社版
八幡書店版第14輯 77頁
修補版
校定版186頁
普及版
初版
ページ備考
OBC rm7811
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本文
朝香比女の神は、中野河の忽ち大地と変じたる新しき地を踏みわたらむとし給ふ折もあれ、この島の守り神とかねてより天降りましし八十比女神の一柱なる葦原比女の神は、三男二女の従神を従へ、朝香比女の神を迎へ奉るべく、漸くにしてこれの河岸に着かせ給ひ、
『八十柱御樋代神と選まれし
吾は葦原比女の神なり
醜神の醜の曲業うちはらひ
光の公は天降りましぬる
天晴れ天晴れ光の神の御功に
グロスの島は明け放れたり
二十年の昔妾は此の島に
天降りて国土を拓かむとせし
さりながら曲津見の猛び強ければ
中野の河の外に出でざりき
よしあしのむた茂りたる大野原を
拓き給ひし光の公はも
いや尊き光の神の御功を
伏し拝みつつ涙しにけり
高地秀の宮ゆ天降りし朝香比女の
光に四方の雲霧晴れたる
グロノスやゴロスの曲津見は河を越えて
鷹巣の山にかくろひにけり
今日よりは光の神の功績に
グロノス、ゴロスの曲津言向けむ』
朝香比女の神は御歌詠ませ給ふ。
『八十柱御樋代神にあはむとて
吾は荒野をわけて来つるも
顕津男の神の出でまし日長くも
待たせ給ひし公の雄々しさ
吾もまた顕津男の神に見合はむと
はろばろ此処に進み来つるも
グロノスの島を今日より改めて
葦原の国と名乗らせ給へ
目路の限り陽炎もゆる春の野に
御樋代神とあひにけるかも
はろばろと吾たづね来し比女神は
いとまめやかにおはしましける』
真以比古の神は御歌詠ませ給ふ。
『葦原比女神に仕へて二十年を
この国原にいきつきしはや
力なき吾にしあれば曲津見を
よそに見るより他なかりけり
久方のよき日めぐりて朝香比女の
貴の光を拝み奉るも
真火をもて荒野を焼かせ給ひたる
その功績に曲津は逃げたり
曲神は暫し姿をかくせども
時経て再び猛び来らむ
公こそは光の神にましまさば
国土の宝と燧石をたまはれ』
朝香比女の神は御歌詠ませ給ふ。
『真以比古神の言の葉を諾ひて
国土の宝と燧石を贈らむ
光強き夜光の玉も何かあらむ
生きたる真火の力に及ばず』
真以比古の神は御歌詠ませ給ふ。
『有難し光の神の神宣
吾は頸にうけて忘れじ
朝香比女神の賜ひし燧石は
曲津を征伐の宝なるかも
萱草の生ひ茂りたる鷹巣の山に
真火を放ちて曲津を退はむ
かくならば葦原の国土は永久に
安く栄えむ神のまにまに』
初頭比古の神は御歌詠ませ給ふ。
『わが公に仕へ奉りて中野河に
生言霊の奇瑞見しかな
御樋代の神にあはむと焼野原を
夜を日につぎて駈り来しはや
千早振る神の依さしの御樋代神は
八十比女ながらも光らせ給へる
八柱の御樋代神に仕へつつ
八十柱比女にあひにけるかも』
成山比古の神は御歌詠ませ給ふ。
『はろばろと来ませる公を犒らはむ
術もなきかな荒野の中にて
ともかくも葦原の宮居に急ぎませ
真言の限り仕へまつらむ
漸くに春の陽気の漂へる
大野に立ちて楽しき吾なり
真鶴は天津御空に列をなし
輪を描きつつ公を迎ふも
百鳥の声もさやけくなりにけり
光の神の出でまししより
今日よりは此の葦原の国中に
醜の黒雲立たじと思ふ
今日までは狭霧立ちこめ黒雲は
御空覆ひて冬心地せり
血腥き風の覆ひし大野原も
春日かをりて梅の香ただよふ
迦陵頻伽終日うたへど今日までは
しめりがちなる醜の草原』
栄春比女の神は御歌詠ませ給ふ。
『御樋代神の出でましただに迎へむと
葦原比女の神いそがせり
村肝の心あせれど黒雲の
闇深ければなやみてしはや
朝香比女神の放たせ給ひたる
真火の力に野は開けたり
よしあしの風に煽られ燃えさかる
さまをし見れば火の海なりけり
疾風に焼け過ぎにける大野原は
ただ一塵も止めざりける
葦原の宮居に進む道遠み
黄昏せまるを淋しむ吾なり
願はくはこれの荒野の松かげに
今宵一夜を宿らせ給へ
明日されば駒の轡を並べつつ
貴の聖所に導き奉らむ』
起立比古の神は御歌詠ませ給ふ。
『神々の厚き心に動かされ
吾は進むも葦原の宮居へ
さりながら今宵は松の下かげに
わが公と共に雨宿りせむ』
八栄比女神は御歌詠ませ給ふ。
『天津日は海の彼方に傾きて
御空に白き昼月のかげ
昼月の淡き真下に一つ星の
かげは伊添ひて輝けるかも
月舟の右上方にやや薄き
星一つあり何のしるしか
つくづくと思へば嬉し顕津男の
神の出でまし近づきにけむ
月の下に輝き給ふ一つ星は
朝香の比女の御姿なるらむ
月の上に薄く光れる星かげは
葦原比女の御魂なるべし
夕されば天津日光はなけれども
冴え渡るらむ月舟のかげも』
立世比女の神は御歌詠ませ給ふ。
『国土稚く浮脂なす島ケ根を
永久に固むと吾渡り来し
顕津男の神にあはむと出でたたす
朝香の比女の御供仕へつ
曲神の伊猛り狂ひしグロス島も
今日はめでたし葦原の国土よ
よしあしの生ひ茂りたる荒野原
辿りつ分けつ吾は来にけり
比女神の身ながら曲津と戦ひつ
吾は雄心湧き立ちにけり
五千方里ありと聞ゆる葦原の
島根に御樋代神と語るも
村肝の心勇みてわが胸の
高鳴り止まず腕はふるへり』
霊生比古の神は御歌詠ませ給ふ。
『朝夕に御樋代神に仕へ来つ
今日如す楽しき日はあらざりき
御樋代の光の神の現れましに
吾魂線はうなり出でけり
鋭敏鳴出の神の宣らせる言霊に
吾葦原の曲津は失せぬる
時じくに御空包みし黒雲の
跡形もなく晴れにけらしな
主の神の依さしのままに二十年を
仕へて功なき吾を恥づる
御樋代の神は雄々しくましませど
御供の神の力足らざり
二柱御樋代神の天降りましし
此葦原の国土は永久なれ
常世ゆく闇は漸く晴れにけり
光の神の貴の功に』
天晴比女の神は御歌詠ませ給ふ。
『御供に仕へ奉りて今日のごと
勇ましき戦吾見ざりけり
グロノスとゴロスの曲津見言霊に
うたれし時のさまのあはれさ
主の神の賜ひし厳の言霊と
燧石しあれば曲津はひそまむ
いざさらば彼方の森に進むべし
一夜の雨の宿り求めて』
茲に十二柱の女男の神々は、野中のこんもりとした常磐樹の森かげさして、黄昏の野路を急ぎ進ませ給ひける。
(昭和八・一二・二一 旧一一・五 於大阪分院蒼雲閣 白石恵子謹録)