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文献名1霊界物語 第79巻 天祥地瑞 午の巻
文献名2第2篇 竜宮風景よみ(新仮名遣い)りゅうぐうふうけい
文献名3第13章 鰐の背〔1994〕よみ(新仮名遣い)わにのせ
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日----
あらすじ
艶男は燕子花と示し合わせて、ひそかに竜宮島を出てともに故郷に帰ろうと決心を固めた。艶男と燕子花は、麗子にも知らせずに、郊外の散歩にことよせて、真夜中に第一門の方へと急いで行った。

第一門の鉄門を開けると、そこは渚で波が迫っていた。艶男はいかにしてこの湖を越えようかと思案にくれる歌を歌っていると、波をかき分けて現れた八尋の大鰐があった。鰐は水面に背を現し、二人に背に乗るよう促している風であった。

二人は天の与えとばかりに鰐の背に飛び乗ると、鰐は湖を南のほうへと泳ぎだした。艶男と燕子花はこの天佑に喜び、感謝の歌を歌った。

すると、後方からどっとときの声があがった。二人が月光を透かし見れば、これは二人が逃げたことが発覚し、竜神たちが追っ手を放ったのであった。

これは一大事と、燕子花は声を張り上げて天之数歌をしきりに奏上した。するとときの声はぴたりと止んで、鰐の速度はいっそう速くなった。

水上山がほんのりと見えはじめ、二人は水上山の国津神の国への思いを歌に交わした。すると、波の奥から忽然と一艘の舟が漕ぎ寄せてきた。見ると、これは水火土の神であった。

水火土の神は艶男らを迎えに待っていたと言い、ここからは海の瀬が強いので、鰐の背から舟に移るように二人を促した。艶男はここまで送ってくれた鰐に感謝合掌し、二人は水火土の神の舟に乗って、月照る海原を南へと漕ぎ出て行った。
主な人物 舞台 口述日1934(昭和9)年07月18日(旧06月7日) 口述場所関東別院南風閣 筆録者谷前清子 校正日 校正場所 初版発行日1934(昭和9)年10月25日 愛善世界社版 八幡書店版第14輯 233頁 修補版 校定版261頁 普及版 初版 ページ備考
OBC rm7913
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本文  艶男は燕子花と諜し合せ、夜陰にまぎれて竜宮島を立出で、父母のいます国に帰らむと、決心を固めてゐた。
 大竜身彦の命に止められむ事をおそれ、麗子の弟姫神にも告げず、郊外の散歩にことよせ、月照り渡る真夜中頃、大楼門をくぐり第一門の方へと急ぎゆく。道の側の百草千草は夜露の玉に月光輝き、得も言はれぬ風情である。艶男はその自然をながめて、
『道の辺に咲く百草の花にさへ
  月の御霊は宿らせ給へり

 草の上に恋を歌へる虫の音も
  今宵は清く月に冴えたり

 渚辺に寄する波音聞きながら
  月の夜路を二人ゆくかも

 しのびゆく元津御国の旅立は
  虫の声にも驚かされける

 二人ゆく空を照して月読は
  吾を守らせ給ふがに見ゆ

 心安く元津御国に還らせ給へ
  御空に輝く月読の神』

 燕子花は歌ふ。
『竜神の島に生ひ立ちし燕子花
  吾は水上の山に栄えむ

 月見れば竜の玉かと疑はる
  吾は夜路を君と行くなり

 草の葉に置く白露に月照りて
  二人の袖はぬれにけらしな

 恐ろしく又楽しくも思ふかな
  君に引かれて離りゆく身は

 この島に今日を名残の別れぞと
  おもへば何か悲しかりけり

 夜光る玉にもまさる君故に
  吾は嬉しく従ひゆくも』

 斯くして第一の門に着き、鉄門を中より易々と開き、渚辺に出で、躍り狂ふ波の秀をながめて艶男は、
『翼なき身は如何にせむ白波の
  竜の島根を去る由もなし

 打寄する波の白帆に照る月を
  玉と仰ぎて帰らまく思ふ

 さりながら翼もなければ鰭もなし
  鳥にも魚にもなれぬかなしさ

 大空の月も憐れみ給ふらむ
  汀に立てる二人の姿を

 ゆくりなく君が情の露あびて
  又も汀の露にぬれぬる

 天地の神よ吾等を憐れみて
  水上の山へ渡らせ給へ

 渡るにも御舟なければ如何にせむ
  波の上に浮くこの島ケ根を』

 斯く歌ふ折しも、波を分けてぬつと現はれ来る八尋鰐あり。水面に背を現し、之に乗らせ給へと言ひたげなり。二人は天の与へと鰐の背に飛び乗れば、鰐は何事も万事承知の上とばかり、荒波の湖を游ぎながら、南へ南へと走りゆく。鰐の背に乗れる二人は交々歌ふ。
艶男『鰐の背に救はれ水上の山もとに
  帰る思へば楽しかりけり

 大空も湖の底ひも月照りて
  その中原を行く身は清し

 湖底に御空うつしてまたたける
  星は真砂にさも似たるかな

 そよと吹く風に面をなでられて
  こひしき君と吾帰り行くも

 果てしなきこの湖原も足早き
  鰐の助けにとく帰るべし

 この鰐は神のたまひし賜ぞ
  吾おろそかに如何で思はむ

 鰐よ鰐吾を助けて元津国に
  とく帰らせよ波を分けつつ』

 燕子花は歌ふ。
『有難き神の使ひの鰐の子に
  救はれ君が御国に行くかも

 吾も亦元の身体を持ち居らば
  鰐の如くに送らむものを

 斯くならば吾は人の身湖原を
  渡らむ力失せにけらしな

 惟神神の恵みか大空の
  月は一入冴え渡りける

 白波の立ちのまにまに月読は
  かげをおとして輝き給ふ

 水底の魚族までも見えわたる
  今宵の月のさやかなるかも

 竜神の追及き来るも恐るまじ
  みあしの早き鰐に頼れば

 湖原を飛び交ふ千鳥の音も冴えて
  心清しき月の湖原

 天地にかかる例はあらなみの
  上分け走る今日の嬉しさ』

 斯く歌ふ折しも、後方に当りて千万人の鬨の声、どつとばかりに聞え来るにぞ、艶男、燕子花の二人は後振り返り手を差上げ月光に透し見れば、こはそもいかに、両人が月夜を力に逃げ去りし事発覚し、大竜身彦の命は数多の竜神等に下知を降し、二人の後を追つかけよと厳命なしければ、竜神は吾も吾もと先を争ひ、波間を浮きつ沈みつ、一瀉千里の勢にて追ひしき追ひまくるにぞありけり。
 こは一大事と燕子花は声を張り上げ、人身となりしを幸ひ、天の数歌を頻に奏上する、この声天地に響き湖も割るるばかりなり。
『一二三四五六七八九十百千万
 千万の神守り給へ
 竜神の切先を止めさせ給へ
 鰐よ鰐よ力限りに走れよ走れよ
 水上山は霞の奥にぼんやりと浮く
 走れよ走れよ生命限りに』
 斯く歌ふや、鬨の声はぴたりと止みて、鰐の足は一入速くなりける。
『有難し吾言霊に海津見の
  神の功は現れにけり

 諸々の竜神等の襲ひ来る
  矢先き逃れて安けき湖原

 大竜身彦の命の御功を
  とどめて安き夜の湖原』

 艶男は歌ふ。
『一輪の月は御空に輝けり
  吾は一つの鰐に乗り行く

 八尋鰐足はやければ竜神は
  最早や追付くおそれだもなし

 老いませる吾垂乳根は吾行方
  探ねて日夜を歎かせ給はむ

 一時も早く御顔拝まむと
  思へば心いらだちにけり

 水火土の神に救はれ吾生命
  蘇りたる湖原はこれ

 ほのぼのと水上山は見え初めぬ
  月夜の空にぼんやりとして

 千鳥啼くこの湖原を細女と
  行くは夢路を辿るが如し

 夢の世に夢を見ながら細女と
  鰐の背に乗り湖原渡るも

 竜宮の島もよけれど水上山
  吾故郷は恋しかりけり

 いとこやの麗子姫に立ち別れ
  今燕子花を伴ひ帰るも

 燕子花よ汝は面勝神なれば
  言向けやはせ国津神等を』

 燕子花は歌ふ。
『尊かる君の言葉をうべなひて
  言向けやはさむ国津神等を

 離れ島の乙女なれども君と在れば
  吾は恐れじ如何なる人にも

 湖風は強くなりけり波の秀は
  いや高々と狂ひ出しぬ

 風強み波おこるとも何かあらむ
  神の恵に抱かるる身は

 天地の神に抱かれ吾恋ふる
  夫に抱かれ安き湖原

 鰐の背に易々渡る湖原の
  風も恐れじ波も恐れじ

 白波のしぶきにあはれ吾袖は
  うるほひにけり湿らひにけり

 抱き合ひて泣ける夕の涙にも
  いやまさりつつ濡るる吾袖』

 斯く歌ふ折しも、波の奥より忽然として現れし一艘の舟、此方に向つて漕ぎ来る。近より見れば豈計らむや、水火土の神にましける。
 水火土の神はにこにこしながら、
『久々に帰らす君を迎へむと
  吾は御舟を持ちて来れり

 これよりは湖の瀬強し鰐の舟
  返してこれに乗りうつらせよ

 垂乳根の父と母とは汝が行方
  歎かせ給ひ衰へ給へり

 水上の山はほんのり見ゆれども
  波路は遠し吾は送らむ』

 艶男は之に答へて、
『ありがたし水火土の神の御心
  生命死すとも忘れざらまし

 竜宮の島に渡りて求めたる
  花の蕾の燕子花はこれ

 竜宮の島根ゆ移すこの花を
  水上の山に植ゑたく思ふ

 水火土の神よ吾妻諸共に
  送らせ給へ水上の山へ』

と言ひながら、鰐の背より水火土の神の御舟に移り、鰐に向つて合掌しながら、
『浪猛る大湖原を安々と
  送りし君に感謝を捧げむ

 天津神の御使ならめや八尋鰐の
  今日の功は永久に忘れじ

 いざさらば別れを告げむ八尋鰐よ
  汝は吾身の生命なるぞや

 水上山吾故郷に帰りなば
  汝を守護の神と斎かむ』

 斯く歌ふや、八尋鰐は静々その全身を水に没し、後白波となりにける。これより水火土の神は波の秀を分けながら、月照る湖原を南へ南へと漕ぎ行く。
(昭和九・七・一八 旧六・七 於関東別院南風閣 谷前清子謹録)
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