火炎山の爆発によってほとんどの猛獣毒蛇たちは全滅したが、鱗の固い爬虫類は湖水の岸辺の水奔草の中にもぐりこんで、害をなしていた。
朝空男、国生男の二神が降った忍ケ丘の付近は、湖水が一里近くまで迫っていたこともあり、これら生き残った猛獣や水奔鬼が登って来ようとするために、冬男たち精霊はその防御に苦心していた。
二神は精霊たちを安堵させると、攻めてくる猛獣や水奔鬼の群れに向かって代わる代わる生言霊を宣りあげた。すると、悪魔たちは言霊に妨げられて丘に登ってこれなくなった。
二神は、生言霊によって悪魔を清めるために自分たちは御樋代神によって使わされたのだ、と歌った。冬男たちは感謝の歌を捧げた。
国生男の神は、忍ケ丘に館を作って住み、国土を治めようと歌った。朝空男の神は、しばらく国生男の神と一緒にここに止まって国を治めようと歌った。そして、火の湖が平穏に復する日を待つこととなった。