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文献名1霊界物語 第81巻 天祥地瑞 申の巻
文献名2第1篇 伊佐子の島
文献名3第6章 月見の宴〔2033〕
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日----
あらすじイドム国を手に入れたサール国王エールスは、風光明媚なイドム城に妃や重臣たちを集め、宴を開いていた。
述懐の歌を歌う中に、左守のチクターは、王を主の神と称え、重臣を高鉾・神鉾の天津神になぞらえて王を賞賛した。
右守のナーリスは左守の行き過ぎた言葉を戒めるが、逆に王の不興を買ってしまう。王は右守に、本国を守るように言いつけてサール国に帰し、厄介払いしてしまう。
忠臣でうるさがたの右守がいなくなった後は、左守チクター、軍師エーマンらの奸臣のみが残ることとなった。重臣たちは国務を忘れて、王、王妃とともに詩歌管弦・酒宴の歓楽にふけっていた。
主な人物 舞台 口述日1934(昭和9)年08月05日(旧06月25日) 口述場所伊豆別院 筆録者谷前清子 校正日 校正場所
OBC rm8106
本文の文字数5650
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本文  イドムの城は風光絶佳の勝地にして、東北を流るる水乃川は大栄山の溪々の流れを集めて川幅広く淙々たり。
 サールの国王エールスは、大栄山を乗り越え、大兵を率ゐて不意にイドム城を占領し、数多の従神と共に此処に住みけるが、大栄山北面のサールの国の風光に比べて住み心地よく、春夏秋冬恰も花園に住む心地して、地上の天国の生活を楽しみける。
 月は蒼空に皎々として輝き、虫の音清しき夕べ、水乃川に面せる大殿の窓を押し開き、川の面を瞰下しながら、軍師を初め左守、右守その他の重臣等と月見の宴を開き、水乃川の水面に浮ぶ月をほめながら、恍惚として美酒美食にあきゐたりける。
 エールス王は水乃川の夜の流れを見やりながら歌ふ。
『北の国サールの都を立ち出でて
  イドムの城に吾は酒酌む

 春もよし夏も亦よし秋もよし
  イドムの国は地上の天国

 イドム城主アヅミを追ひ散らし
  武勇を天下に現はしにけり

 吾武勇伊佐子の島に伝はりて
  四方の木草も吾になびけり

 村肝の心にかかるは月光の
  山にひそめるアヅミ王なり

 待て暫し百の軍をととのへて
  月光山の砦をはふらむ

 真珠を涙に造る真珠湖の
  人魚をとりてなぐさまむかな

 水乃川流るる月日の光見れば
  真珠の玉にさも似たるかな

 山も野も青く清しく鳥の声
  虫の音冴ゆるイドムの城かも

 世の中に楽しきものは国ひろめ
  戦の道の勝利なりけり

 吾は今伊佐子の島を統べ守り
  国津神等の王となりけり』

 サツクス姫は歌ふ。
『吾王の謀計皆図に当り
  イドムの城は吾手に入れり

 春夏の眺め妙なるこの国の
  主とならす王の雄々しさ

 アヅミ王の夢を覚して水乃川に
  静かに浮ぶ月と日のかげ

 魚族の遊べる様の明らかに
  この高殿ゆ見ゆる広川

 真珠湖の人魚をとりてこの川に
  放ちて見れば面白かるらむ

 さるにてもアヅミの王は必ずや
  イドムの城を窺ひゐるらむ

 アヅミ王の砦をはふり月光の
  山を追はずば心もとなし

 夜されば枕を高く安らかに
  寝むと思へばアヅミ王を滅ぼせ

 豊かなるイドムの国は月光の
  山の砦に黒雲迷ふ

 月も日もさはやかに照るイドムの国の
  黒雲なるよ月光山は』

 左守チクターは歌ふ。
『天ケ下の風致にとめるイドム城に
  王と酒酌む今宵の楽しさ

 月も日も清く流るる水乃川
  瞰下すこれの館めでたき

 月も日も真下を流るるこの城は
  紫微の宮居にまがふべらなる

 紫微の宮如何に清しくありとても
  イドムの城に及ばざるべし

 吾王は主の大神よ左守吾は
  高鉾の神右守は神鉾

 主の神は高鉾神鉾二柱
  従へイドムの城に天降らせり

 かかる世にかかる目出度き国を得て
  四海に臨む王は主の神』

 右守のナーリスは歌ふ。
『心得ぬ左守チクターの言葉かな
  神を無視せることの恐ろし

 人の国力に奪ひほこらかに
  神に擬ふは畏れ多きよ

 主の神を斎き奉りて朝夕に
  仕へざりせば国は滅びむ

 エールスの吾王始めチクター等
  心かへずば過ちあらむ

 吾言葉諾ひ給ひて今日よりは
  主の大神を敬ひ給へ

 王の手にイドムの城は入りたれど
  未だゑらぐべき時は来らじ

 国津神の心は未だ吾王の
  心のままに従はざるべし

 吾王の威力に服したるのみぞ
  心の底より服ひ居らじ

 この城は美しけれど国津神の
  恨の的となりしを知らずや』

 エールス王は憤然として面色を変へながら歌ふ。
『ナーリスの礼なき言葉聞くにつけ
  吾心持尖り初めたり

 大栄山の嶮を越えたる吾なれば
  汝が言葉は杞憂なるべし

 イドム城は吾にかなへりとこしへに
  これの勝地に住まむと思ふ

 村肝の心にかかるは故郷の
  サールの国よ吾子を思へり

 明日よりはサールの国に立ち帰り
  城をかためて固く守れよ

 諸々の司を束ねナーリスは
  サールの国の安きを守れ

 この国は左守のチクター、エーマンの
  軍師のあれば安けかるらむ』

 右守のナーリスは歌ふ。
『吾王の御言畏み今よりは
  サールの国に急ぎ帰らむ

 吾王よサツクス姫よゆるみなく
  イドムの国に臨ませ給へ

 王の威に恐れて数多の司等は
  心ならずも従ひ居るぞや

 すきあらば百の司は立ち上り
  王を襲はむと謀らひ居るも

 村肝の心驕りて思はざる
  なやみに遇はせ給ふまじ王』

 エーマンは歌ふ。
『吾王の軍を率ゐ漸くに
  イドムの国を服へやはしぬ

 吾王の御稜威と吾等が軍略に
  イドムの城は陥りにけり

 イドム王アヅミの臣数多く
  ひそみてあれば心許せじ

 さりながら軍師エーマンのある限り
  吾王安く穏にましませ

 幾万の敵の一度に攻め来とも
  吾戦略に討ちこらし見む』

 エールス王は欣然として歌ふ。
『エーマンの言葉吾意にかなひたり
  かたく守れよイドムの国を

 夜な夜なに月の流るる水乃川
  ながめて吾は酒酌まむかな』

 サツクス姫は歌ふ。
『エーマンの厳の言霊勇ましし
  右守の心と裏表なる

 吾王の旨をそこなふナーリスは
  国に帰りて世を固めよや』

 ナーリスは歌ふ。
『いざさらば国に帰らむ吾王の
  いますイドムの城を離れて』

 かくてナーリスはエールス王始め一同に暇を告げ、月下の原野を四五人の従者と共に馬に鞭うち、大栄山の頂さしてサールの故国に帰らむと急ぎける。
 エールス王は誠忠無比なる右守のナーリスが言葉を忌み嫌ひ、チクターやエーマンの奸佞邪智なる贋忠臣の言葉を喜び、常にナーリスに対して心中おだやかならざりけるが、余り住心地よからぬサールの国の守りとして右守を追ひ帰し、故国を守らしむることとなり、右守は遠く膝下を離れ大栄山を越えて帰りければ、王の機嫌はこの上なく、昼夜の区別なく国内の美しき女神を集めて、詩歌管絃の快楽に耽る事となりぬ。
 軍師のエーマンも、左守のチクターも、共に国務を忘れて歓楽に耽り、恰もイドム城は青楼の如き感を呈しけり。
 満月の空に輝く夕、エールス王はサツクス姫を始め、左守のチクター、軍師エーマンその他の司を一堂に集め、数多の美人に酌をさせながら心地よげに歌ふ。
『僕はサールの都の主
  今はイドムの王となる

 月は皎々青空渡る
  吾はいういう酒を酌む

 月の浮かるる水乃の川を
  見つつ酒酌むイドム城

 右守ナーリス故国へ帰し
  胸の雲霧晴れ渡る

 伊佐子島根を二つに横ぎる
  大栄山脈なけりやよい

 山がなければサールが見える
  サール恋しく姫思ふ

 国に残せし七人をとめ
  さぞや待つだろ歎くだろ

 あまた臣をサールに残し
  吾はイドムの城に住む

 空は青々底ひも知れぬ
  星の真砂のきらきらと

 イドム城址のアヅミの王は
  生命からがら月光山へ

 月光山にはアヅミがこもる
  どうで一度は涙雨

 人魚棲むてふ真珠の湖へ
  うかぶ真珠の月の光

 世にも名高きイドムの城も
  今は吾等が住みどころ

 伊佐子島根は広しと言へど
  おなじ月日の光拝む』

と頗る上機嫌である。
 サツクス姫は又歌ふ。
『真珠湖水の人魚をとりて
  真珠吐かして遊びたい

 望の月照るこの高殿に
  真珠みたよな星が照る

 月は追ひ追ひ御空を高く
  昇り昇りて夜が更ける

 水乃川の河鹿の声は
  王の威勢をうたふてる

 王の威勢にイドムの城は
  陥ちて涼しき月が照る

 野辺を吹き来る夏夜の風に
  のりて出で来る虫の声

 花の香りは吹く夏風に
  城の中まで吹いて来る

 春は花咲き夏さり来れば
  月の澄みきるイドム城

 月の流るる水乃の川は
  朝夕べに虫が啼く

 清き流れの水乃の川は
  いく日見るともあきはせぬ

 秋の月夜の水乃の川は
  さぞや涼しかろ清しかろ』

 左守のチクターは歌ふ。
『王の御稜威の御光り受けて
  今日はイドムの月を観る

 山は大栄流れは水乃
  城はイドムよ空に月

 月は出た出た東の山を
  雲が悋気で影かくす

 十重に二十重に包める雲を
  分けてのぞいた月の顔

 雲のとばりをそと引き開けて
  月がのぞいたイドム城

 水は淙々常磐の流れ
  王は隆々世を治らす

 この世からなる天国住ひ
  夢か現かおもしろや

 日頃企画し思ひは晴れて
  今はイドムの城に住む

 虫の啼く音も小鳥の声も
  王の千歳を歌ふてる

 姿清しきサツクス姫の
  花の顔月が照る

 花は桜か牡丹か百合か
  王の御側の花がよい

 蝉のなく音も河鹿の声も
  今日のお酒の肴ぞや』

 エーマンは歌ふ。
『右守ナーリス、サールに帰り
  今は此世の鬼はない

 右守司の日頃の言葉
  いつも私の癪となる

 雲を払ふたイドムの城は
  晴れて清しき秋の月

 月は御空を水乃の川に
  清く清しく冴え渡る

 上と下とに月影ながめ
  王の御側で酒を酌む

 戦争するより働くよりも
  月に酒酌むおもしろさ

 死んで花身が咲かぬと聞けば
  生きて物言ふ花に酔ふ

 宵の月光ながめて酒に
  酔ふてよいよい夜の花

 夜の花をば手折りてここに
  天津御国の酒に酔ふ

 空に聳ゆる大栄山の
  上に湧き立つ雲の峰

 ながめゐる間に姿の変る
  雲の峰かよ吾心

 酒と物言ふ花さへあれば
  たとへお城は滅ぶとも

 アヅミ、ムラジの住ひし城に
  月を見ながら酒びたり』

 エールス王は立ち上り、エーマンをしつかと睨み、酔眼朦朧として歌ふ。
『エーマンの言葉礼なしこの城の
  滅ぶと言ひしそのたはごとは

 とこしへに栄あれよと祈るこそ
  汝が日頃の務めならずや

 斯くの如き心を持ちて吾軍の
  司とするは危かるべし』

 エーマンは恐る恐る歌ふ。
『吾王よ許し給はれ吾宣りし
  言葉は酒の戯言なりしよ

 酒と言ふ奴に心を奪はれて
  あらぬ事をば口走りつつ

 吾王の御代安かれと朝夕に
  戦争の業をはげむ吾なり

 願はくば広き心に宣り直し
  許させ給へ礼なき言葉を』

 サツクス姫は仲をとりて歌ふ。
『吾王にこひのみ申すエーマンが
  礼なき言葉を許し給はれ

 エーマンは酒癖悪き男故
  心にもなきことを吐くなり

 エーマンの清き心は予て知る
  吾言わけを許しませ王』

 さしも賑はひたる月見の宴席は、エーマンの脱線歌にエールス王の憤激となり、一座は興ざめ、しらけ切つたるまま夜は深々と更けわたり、宴席は閉ぢられにける。
 さりながらエールス王の怒りは漸くにとけ、エーマンは何の咎めもなく、元の軍師の職に異動なかりける。
(昭和九・八・五 旧六・二五 於伊豆別院 谷前清子謹録)
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