チンリウ姫、乳母のアララギ、アララギの娘センリウの三人は敵城に囚われ、牢獄に入れられて互いに述懐の歌を歌って身の不孝を歎いていた。
三人はイドム国を忍び、王と王妃の行方を案じ、またサール国への恨みを歌っていた。
そこへ、エームス太子の侍従・朝月、夕月の両人が足音を忍ばせてやってきた。そして、エームス太子のチンリウ姫への思いを告げ、牢獄から出ようと思ったら、太子の思いを受け入れるよう説得をはじめた。
チンリウ姫は敵国の太子の情けを受けるくらいなら、生命を捨てた方がましだ、と憤慨した。
朝月、夕月は、姫と太子の結婚が成れば、イドム国も再興されて平和が訪れるだろう、と姫を口説くが、チンリウ姫は頑として二人の説得を拒みつづけた。
朝月、夕月はすごすごと立ち去り、こうなったら力づくで姫を従わせようか、と相談をめぐらしている。